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12人目の禁呪師  作者: 日本軍の衛生兵
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3年ぶりの王都より

 ミラ達3人がモンスタートラップにかかった日から1週間がたった日

 朝5時フェミネア大森林中層上空


 朝の冷えた空気の中、王都に向かって飛ぶ人影があった。

 その人影は、漆黒のロングコートに身を包んだ白髪銀眼の少年……シリスだ。

 今シリスは、スカイボードに乗ってフェミネア大深林の上空を飛んでいる。しかし、スカイボードの大きさは1週間前に件の3人を乗せた時と違い1人が乗れるくらいの大きさに変わっていた。


「見えて来たな」


 シリスが呟く。スカイボードに乗って高速飛行する事10分、遂に王都城壁が見えてきた。


 流石にスカイボードに乗ったまま行っては問題になると、シリスは森の中に降りる。

 シリスがボードから降りるとボードは何処かに消えてしまった。


「よし、行くか」


 シリスは、王都に向かって歩く。


 しばらく歩くと森を抜け城門が見えてきた。

 まだ朝の5時だというのに城門の前には馬車に乗った商人や貴族とその護衛なのであろう冒険者が並んでいる。


 シリスはその1番後ろに並ぶ。


『のう、主様、一体いつになったら中に入れるのじゃ?」


 並んで待つ事30分シリスの頭の中に女性の声が響き渡った。


『後30分位だもう少し我慢しろリベーラ』

『しょうがないのう』


 女性の声に対してシリスは頭の中で言葉を思い浮かべるとこれまた自分の脳内に声が響き渡る。

 女性……リベーラは渋々と行った様子で了承する。


 30分後要約シリスの番がやってきた。


「少年、何か身分を証明するものは持っているかな?」


 門の前にいた騎士の男がシリスに対して、質問する。


「えっと、冒険者カードで大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ」

「えっと」


 シリスはポケットの中に入っている1枚のカードを取り出すと騎士に見せた。


「ありがとよ、少年。えー、シリス・リアクター15歳……ん?」

「どうかしましたか?」

「シリス君、冒険者カードを最後に更新したのはいつだい?」

「えっと、確か3年前ですけど、何かダメなことでもありましたか?」

「シリス君、冒険者カードは1年に一回更新しないと初期化されるということは知っているかい?」

「へっ?」


 騎士から告げられた衝撃の事実にシリスは素っ頓狂な声を上げる。


『やっぱ、主様は抜けとるのう』


 頭の中でリベーラが何かつぶやいている様だがシリスは無視して話を進める。


「あ、あの冒険者カードって元に戻すことは出来ないんですか?」

「出来るぞ」

「本当ですか!」

「お、おうギルドに行けば復元することができる。そうだな、じゃあ、仮通行許可証を発行するからついて来てくれ」


 そう言って騎士は詰所の方向に歩いて行く、そしてシリスも騎士の後に続いて歩いて行く。


「少し待っていてくれ」


 そう言って騎士は詰所の中に入って行く。


 3分後騎士が詰所から出てくる。その手には1枚の鉄で出来たカードが握られていた。


「これが、仮通行許可証だ。冒険者カードを復元したらそれを1週間以内に持って来てくれ」

「分かりました。ありがとうございました」


 シリスは騎士に頭を下げると王都の中をギルドに向かって歩いて行く。


「しょ、少女にしか見えねぇ」


 シリスが立ち去った後、騎士のそんな呟きだけが響き渡った。


 ルーデンス王国王都レーフィスは、王城を中心にして半径10キロを囲む様に城壁があり王都内部は上層・中層・下層の3つの層に分けられている。


 上層には王族や1部の上流階級の貴族達、中層には中・下流の貴族と十数人の豪商、下層には平民が住んでいる。

 それぞれの層の間には城壁程では無いが大きな壁があり、門は東西南北にそれぞれ1つずつしか無い。


 そして冒険者ギルドは王都東区画下層の中央に位置している。


「3年前とおんなじだなぁ」

『ここが人間の街かでっかいのう」

『当たり前だ、半径10キロだぞ。小さい訳がない」


 そう言ってシリスは冒険者ギルドの中に入る。


 カランカラン


 扉を開けると鈴のなる音がした。

 中には結構の数の人が居る、冒険者は基本的に朝依頼を受けて夜までに依頼を達成して帰ってくるのが主流なのだ。


 シリスは、ギルドの中に入るとあたりを少し見渡してから1人の見知った受付嬢を見つけるとその列の最後尾に並んだ。


 ギルドの中に入った時は結構視線を集めたが、今はもう依頼を見たりパーティーメンバー達とのおしゃべりに戻っている。


 数分でシリスの番が回って来た。


「次の方どうぞ」

「久しいぶりです、フィアさん」

「えっ、し、シリスさん、ですか?」


 薄い黄緑色の腰まで届く長い髪の毛に翡翠色の目、ギルドの制服に身を包んだ受付嬢……フィアはシリスを見て驚愕の表情を浮かべた。


「シリスさん、本当にシリスさんなんですか」

「本当ですよ。3年ぶりですね」

「はい、3年ぶりですシリスさん。本当に無事で良かったです。私心配したんですからね」

「悪かったですよ。僕も色々あ「おい、がきぃ、テメェ何フィアさんと楽しそうに話してんだ」……何か用ですか?」


 感動の再会、の途中にシリスに向かって1人の男が叫んだ。

 見るとそこには、背中にでっかい剣を背負った大男とその後ろに大男と同じくらいの体格の男が3人いた。


「おいテメェ、ぶっ殺すぞ。ガキのくせしてギルドなんか着てんじゃねーよ。ガキはお家に帰ってママのおっぱいでも吸ってろぎゃはははははは」

「そうだガキ、俺たちのフィアさんと楽しく話してんじゃねえ」

「……フィアさんこの人達のランクは?」

「え、えっとAランクパーティーウルフファング(狼の牙)リーダーのベルさんがAランク、メンバーのギラさん、ジンさん、ガルさんがBランクです」


 シリスはそのパーティーの名前を聞いて、これでAランクって嘘だろなどと考えていると、


「驚いたか、俺こそウルフファングのリーダーベル様だ。今なら土下座して靴をなめたら許してやるよ」


 などと、行ってきたので、シリスは至って真面目にこう答える。


「すみません、どちら様ですか?」

「はっ?」


 ベルが素っ頓狂な声を上げる。


「えっと、一様3年前からありますよ、当時はCランクパーティーでしたけど」


 フィアが、3年間冒険者稼業から離れていてわからないシリスにパーティーのことを教える。


「どうやら俺様達の力を教えてやらなきゃいけないようだな」


 ベルがシリスに向かって手を伸ばす。


 しかし、その手はシリスに触れることはなかった。

 伸ばされたベルの手は、シリスとベル達の横から伸びた手によって抑えられている。


「その辺でやめないか、大の大人が揃って弱い者いじめとは恥を知れ」


 金髪のイケメンがいた。10人中10人が振り向くであろうイケメンがベルの腕を掴んでいる。


「あ、なんだテメェー、俺たちはそこのガキに用があるんだ」

「僕はウェリウスだ。それに、貴様らは弱い者をいじめて楽しいのかと聞いているんだ」


 救世主、大の大人が4人に襲われている少年……この状況で襲われているのが普通の少年ならそう考えたであろう。しかし、残念ながらシリス・リアクターとは普通、とは対極にいるような少年だ。


 つまり、シリスが今何をしているかそれは、


『僕が弱い者だと、この身長か、嫌やっぱり、この顔なのか』

『どっちもじゃろ』


 と、脳内でリベーラと自分の外見について話していた。

 だがその間にもベル達とウィリウスの喧嘩は続く。


「おい、こら貴族のボンボンが余計なこと言ってんじゃねーよ。ここはギルドだ、お前ら貴族の領地じゃねーんだよ」

「貴様我が、ビクトリア家を侮辱するか」

「あ、あの、みなさんやめてください」


 叫ぶ5人をフィアが止めようとするが、5人には聞こえていないようだ。


「フィアさん、あのイケメンは誰ですか?」

「あの人は、最近Aランクに上がったウィリウス・ヴィクトリア君です。ヴィクトリア侯爵家の長男で、まぁ……なんと言いますか、かなりの自己中です」

「ああ、僕の嫌いなタイプか」


 シリスは、基本的に貴族が嫌いだ。理由は色々あるが、今は語らないでおこう。


「それなら血統で決めて見てはどうだ?」


 5人の言い争いを見ていた冒険者の1人がそう声をかける。


「良いだろう。フィアさん闘技場使わせて貰うぜ」

「はー、しょうがないですね分かりました」


 そう言って5人は闘技場に向かった。どうやらシリスの事はすっかり頭から消えていたようだ。


「フィアさん、うるさい奴もいなくなったんで本題に入って良いですか?」


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