シリス・リアクター
「あの、シリスさん」
「何ですか?」
「シリスさんって戦えるんですか?」
ジャンがシリスに向かって質問する。だがこの質問は最もだ。何故なら、シリスは自分たちと同じくらいの年齢で、更に武器も何一つ持っていないのだから。
「ん、ああ、そう言うことね、大丈夫何も心配はいらないよ。それじゃ行こうか」
「シリスさん走れますか?」
このシーナの質問も最もだ、今シリスは、黒いマントを羽織っている、どう見ても走りずらそうだ。
「ん、走る必要なんてないよ」
「え?」
「スカイボード」
シリスがそう言うと、3人ほどが乗れる真っ黒な板が現れた。
「「‼︎」」
「これはスカイボードって言ってね僕が作った空飛ぶ魔道具さ。ほら乗った乗った」
2人は恐る恐るその板に乗る。そして最後にシリスが乗り魔力を板に流すと、何と板が浮いていき森の木よりも高い位置まで浮上した。
「きゃぁ」
「うわ」
「2人共方角はどっち?」
「「あ、あっちです」」
「分かった。じゃぁ飛ばすよ」
「「ちょっ」」
そして、シリスがスカイボードに魔力を流すと2人が指差した方に向かって凄いスピードで進んだ。
「ぎゃあああぁああぁぁって、全く揺れない」
「ほ、本当だ全く揺れない」
「そりゃぁ、ボードの周りは常に結界が張ってあるからね。基本的に揺れないし風圧もないんだよ」
そんなボードの話をしながら飛んでいくと、森の中にピンクと黒の巨体……オークとブラックオークの群れが見えてきた。
「あれだね、えっと、君達の仲間は……見つけた」
「ほ、本当ですか」
「ああ、でもかなり限界の様だ」
その時シリスが見つけたミラは、すでに満身創痍で制服はボロボロになり、髪も服も血で汚れていた。そして彼女の周りには、大量のオークとブラックオークの死体が転がっていて今彼女は周りをオーク達に囲まれもう逃げ道も無くただただオーク達を睨みつけている。
「2人は、この上で待機していて」
それだけ言うと、シリスはミラ目掛けて飛び降りたら。
「はぁはぁ、ここ、までか。2人は、はぁ、間に合わなかったか」
ミラの体は限界だった。今まで何十体のオークを斬ったか分からないが、もう既に腕は上がらず逃げようにも囲まれてるし足も動かない。
1体のダークオークがミラに向かって剣を振り下ろした。
(ここまでか)
ミラは目を瞑って自分を殺す衝撃を待った。しかし、その衝撃はいつになっても訪れることは無い。
何かが倒れる音がした。ミラは何があったのかと目を開ける。
するとそこには、ダークオークが真っ二つになって倒れており、その前に1人の少年が立っていた。
「貴方が、ミラさんですね。ジャンさんとシーナさんにから頼まれて助けに来たシリス・リアクターです」
ミラは驚愕の表情でシリスを見上げている。
「立てますか?」
そう言ってシリスはミラに手を差し出す。
ミラはその手を取って立ち上がるが、腰が抜けている様で後ろに倒れそうになった。
「おっと」
所で、シリスに支えられてそのままお姫様抱っこをされる。
すると、みるみるうちにミラの顔が赤くなっていく。
「あ、ありがとうございます」
「いえお気になさらず、スカイボード」
シリスがスカイボードを呼ぶとジャンとシーナの2人を乗せたボードが下りてくる。
「ミラさーん」
「ミラー」
と、2人はミラに向かって手を振っている。
シリスはミラを抱えたままスカイボードに乗ると魔力を流して浮上させる。
「それじゃ、救出もしたし最後にひと仕事しますか」
シリスはミラを下ろしてボードの上に座らせる。
(ん〜、ここで火を使うのもあれだし氷漬けも不味いだろうし、ん〜……そうだ、丁度いいのがあるな)
そんなっことを考えながら詠唱を始めた。
「我、数多の敵を屠る者
我が前に敵はいない
我に敵う者もいない
悪鬼を封印し漆黒の鎖よ
我が名の下の
我の敵を討ち滅ぼせ
第628番禁呪指定殺傷魔法
『デーモンチェイン』」
シリスの周りの空中の至る所から鎖が飛び出しオーク達に襲いかかる。
そして、10秒もしないうちにオーク達は、全滅した。
「す、凄い」
「な、何だよこの魔法」
「か、かっこいい」
シリスの放った魔法?を見て3人は3者3様の反応をした。
それを見てシリスは苦笑する。
「それじゃ王都の近くまで送っていくよ」