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七劇目 「男装娘に魔石を埋め込んだのはスク水ネクロマンサーっ!?」

「男の子の格好をするのが好きなのだ」

だから一人称が「俺」なのね。

凛々しい表情と涼しげな目つきは宝塚の男役にも負けずとも劣らないものがあった。

「ザゥ、あのルビーなんとかならないかニャ?」

リリラルの言葉にマリアが頭を振り否定の意を示す。

「無理だ。無理に引き抜こうとすれば、大爆発を起こしてお前らにも危害が及ぶ」

「でもザゥなら何かできるかもしれないニャ。さっきの戦いも見たニャ?S級ハイエストのザゥだったニャら」

「・・・・・・どちらにしろ任務失敗で死ぬ命。好きにしろ」

と言ってマリアは襟ぐりを引っ張り、胸元をグイと出す。

「では、お言葉に甘えて」

俺は手をおっぱいの方に伸ばそうとすると、マリアとリリラルの両方から

「そっちじゃなーーいっっ!!」

と盛大に突っ込まれた。





改めて俺は胸元の中心部にマリアの身体に半分めり込んだルビーを見た。

「これ、どうすれば良い」

「俺の胸にこの魔石を嵌め込んだのは、最終戦線の幹部の一人『スク水死霊魔術師ネクロマンサー』ジェリカ」

「え?スク水なの?」

「あぁ、その方が動きやすいかららしい。あと手術の時はゴーグルをする。そのジェリカは魔石を取り付けられた俺たちのような人間を『お人形ちゃん』と呼んでいた。俺はたまたま魔石を解除する方法を見たのだが、ジェリカは超高速でこの魔石を抜き取っていた。そして『これだけ速く引き抜ける奴なんているのかしら?居ないわよねぇ。居たらお人形ちゃんたちを簡単に解放に出来ちゃうもんね』と言っていた」

「え?じゃあ、つまり、特別な解除方は無く、ただ素早く引っこ抜くだけと?」

「嗚呼」

大丈夫かな。俺がまだ自分のスキルで出来た事は、ミノタウロスを持ち上げて投げ飛ばしただけだ。

今度は『スピードさ』。果たして俺のスキルにあるのだろうか。

俺は何度かシャドウボクシングでジャブを撃つように手を動かしてみる。



シュッ、シュッ



しかしどんなに素早く手を動かそうとも、自分の網膜がその腕の動きの遅さを捉えてしまう。

遅ぇな。

「やっぱりちょっと無理っぽ・・・い」

俺が向き直ると、二人は目を丸くして俺のジャブを見ていた。

「み、み、み。見えなかったニャ」

「は?何の事?」と俺は聞き返した。

「貴様の手の動きだ。もう一度やってみてくれ」

「???・・・あ、あぁ」

俺は頭の上に疑問符を抱えながら、言われた通りもう一度ジャブをする。

今度は二人を見ながら。

すると俺が手を動かす度に、二人は口をあんぐり開けて俺の撃つジャブを見ていた。

「いや、そんな反応されても、俺は全然疾く感じないんだけど」

俺ははっきりとそう言うと、リリラルが的を得た応えを投げ返した。

「それはザゥの動体視力が同じくらい良いからニャ」

あ、そうか。

撃ってる本人おれが自分のパンチを視えないなんて事は確かにあり得ない。



流石、S級ハイエストスキルオーナー。

俺は自画自賛をした。



「貴様なら解除出来るかもしれんっ!!頼むっ!!」

マリアは俺の正面に立ち首元をグイと引き下げると、その大きな胸の谷間を眼前にグイグイと押し付けるように露出させる。

俺はそれに気を取られそうになりながら、もう一度集中すると手の動きを最終確認する。

「こうやって、こう。こうやって、こう」

俺は数回イメトレをして、息を吐いて魔石に手を当てた。

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