四四劇目 「血も涙も無い”巨満児”ブーチャカ!?新米構成員がやらかした」
ブーチャカの前では、一般構成員はゴミも同然らしいです。
「あぁ?引き金が引けねえって、壊れてんのか?貸してみろ」
ブーチャカはデリンジャーをネネから取り上げると、客席にいる自分の部下の構成員に銃口を向けた。
BAN!!
「ぐえええええ!“巨満児”様!!何を〜っ!!!」
「なんだ、ちゃんと弾出るじゃねえか・・・」
ブーチャカは銃の作動を確かめる為だけに、構成員を撃ったのだ。
その行為自体は誰も居ない床や壁でも、一切変わりはなかっただろう。
打たれた構成員は、悲痛な声と疑問を抱いた表情を浮かべたまま、多量出血し、動かなくなった。
ブーチャカはそんな事は、露ほども問題ではないといった具合に、そのデリンジャーを眺めながら「なんで引き金が引けないなんて言ったんだよ」とネネを軽く詰っている。
「ひでぇ、俺らの事を何とも思ってねえのかよ」
「いくら幹部だっつってもよ・・・俺、最終戦線抜けようかな」
それは構成員になった新米や、ただ悪さをしたい為だけに最終戦線に入った半端者だろう。数人のそれらが、不満を漏らし互いに囁き合う。
それはもしかして今試し打ちだけの為に命を落としたのは、自分だったかもしれない恐怖から漏れた愚痴でもあった。
すると先輩構成員が、焦ったように「おい、止せ!そんな事を言ったら」と、慌てたように愚痴を漏らした数人の構成員を制した。
「誰だ?今文句言った奴ぁ・・・出てこい」
低いうなり声が、山のような巨漢から放たれる。
それは狂気を満ちた雰囲気と、よく研がれた刃物のような雰囲気とが入り混じった、そこにいる者の肌を刺すような心地を作り出した。
眼が血走り、こめかみに血管が浮き出ている。
「この俺に文句言った奴、10秒以内に出てこい。じゃねえと、連帯責任でここにいる皆ぶち殺す」
ライブハウスは地獄のような雰囲気で満たされ、最後通告が放たれた。
「10秒って意外とあるナリね」
ベルはワンレンの髪を掻き上げると、呑気に感想を述べた。
がしかし、周囲の事情を知る構成員達は、「早くしろ!!」「お前ら、前に出ろ!!」などと慌てながら、何の事情も知らなかった新参構成員を仁義無く売り飛ばそうと、背中を突く。
「1・・・。2・・・。6・・・。9・・・」
と実質5秒の理不尽なカウントダウンが、木霊する。
「にゃにゃにゃにゃ!!!数えてる数字が飛び飛びニャ!!!」
「さすが幹部、容赦がないのだ」
リリラルはネコ耳をクルクルさせ、アスカはブルマのゴムをパチンとさせて言った。
「感心してる場合じゃねえだろ!!」
というか、作者!!!!
いつまで俺らを登場させない気だ!!!!
さっさと戦闘描写に持ってけよ!!!
俺は主人公として、心の中で作者に要求をした。
☆
「うわっ、先輩何すんスか」
「押すなって」
ブーチャカにポロリと愚痴を吐いた、新参構成員が他の構成員達によって、ステージの前に押し出された。
「てめえらか。いい肝っ玉してるじゃねえか、俺に楯突くなんてよぉ。ええ?コラァ」
「いや、“巨満児”ブーチャカ様!!別にそういうワケじゃねえです!!」
「つい口をついたというか、目の前で仲間が仲間に撃たれて、ちっとビックリしたっつうか、な!?」
「お、おう!!それにほら、俺ら最終戦線に入ったばかりで、そんな事すら幹部に言っちゃまずかったのか知らなかったんス!!」
前に出た三人の新米構成員が、身振り手振りを交えて、ブーチャカに故意が無かった事を必死に訴える。
「ほほう、じゃあ金輪際、今みたいなおフザケはしねえと?」
「え、ええ!!もちろん!!」
「当たり前です!!」
「幹部様の行動が、俺らの規律っス!!」
「そうかぁ。それを聞いて俺ぁ、安心したよ」
その必死さに満足したかのように、ブーチャカは、にたぁと微笑む。
前に出た三人は、それが赦免の証だと思い、ホッと肩を撫で下ろす。
が、他の構成員達は知っていた。
それが執行の前触れだと。
「“分厚肉張手”っ!!!!!」
低い声でうなり声をあげると、“巨満児”はその掌を、三人の居る方に振り抜いた。
金持ちの家にあるテレビ程のその巨大な掌は、三人を一変に捕捉した。
BOOOOOOOOON!!!!!!!
そして三人は、その体躯をひしゃげさせながら、壁にめり込むほどの勢いで衝突した。それはヒビが入るほどの衝撃だった。
「ごべべべべべべ・・・・・」
血を吐き出し、白目を剥き、三人は床に突っ伏した。
「他に、文句言ってた奴ぁ・・・居ねえよな?」
その血走らせた眼と歯茎をむき出しにした狂える巨漢は、その光景を見て棒立ちになっている客席の構成員達を睨みつけた。
彼らは皆、唇がプルプルするほどに顔を全力で横に振り、一斉に否定の意と従属の意を露わにした。
次回、今度こそバトル回に行きます・・・多分。
主人公にもツッコミを入れられちゃったし。




