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四三劇目 「ブーチャカの愛人になったネネ!?彼女の意志は一体どこへ!?」

猩々緋色鉱石を埋め込まれ、ブーチャカの思い通りに動く、チコの姉、ネネ。


チコは彼女を救えるのでしょうか!?

「着いたでやんす!!ここがライブハウスでやんす」


ヤンスが裏手に回り、俺らを中に導く。

そして「白塗りを忘れないで!でヤンス」と、忠告。


ライブハウスの中はチコのコンサート中でブーチャカと構成員が居る。

最終戦線の構成員が、その証としてやっているという白塗りを手早く施すと、俺らは中に入っていった。


チコのコンサートはクライマックス。

その“天声”で、仇である最終戦線の面々を感動の渦に導いている。


「プロだな。てか、マジで構成員の顔白いぞ!!」


俺たちはヤンスの音響の操作(コントロール)ブースから、身を屈めてライブハウスを見回した。

構成員はその涙で白塗りをドロドロにさせながら、チコの美声に酔いしれている。


その一番奥でデンと座る男が居た。

それは一際大きく、力士よりも一回りも二回りもデカい山のような男だった。


「にゃにゃにゃにゃ〜、あれが“巨漢児”ブーチャカに間違いニャいニャ」


リリラルが耳をクルクルさせながら言った。


「む、曲が終わるのだ」


アスカはブルマのゴムをパチンとさせると、チコの歌が終わる。


周囲の最終戦線の構成員は、一斉に拍手をし、「チコ〜!!」「よっ!!“天声”!!」などと声を掛けた。

そしてまさに山が動くように、ブーチャカがその巨体を揺らし、チコに近づいていく。


その横にはミニスカートのワンピースを着た女性が居た。

とても美しい脚をしている。


「きっとチコのお姉さん。“脚美麗”ネネなり」


ベルはワンレンの髪を掻き上げる。

首にはブーチャカの趣味か首輪をしており、胸元には猩々緋色煌石が光る。


意志を強制された人形の証だ。


ネネはブーチャカの愛人のように、肩を抱かれて歩みを共にし、チコに近づく。

が、その目線はブーチャカにのみ注がれており、自分の弟の顔をちらりとも見なかった。


「お姉ちゃん・・・」


悲しそうにそう呟くチコの声が聞こえてきそうだった。

彼は虚ろな瞳をし、空虚な顔つきで、ネネを見ていた。


「居た堪れないのだ・・・」


ブルマのゴムをパチンとしながら、アスカがポロと呟いた。



☆



「おめぇ、なかなかやるじゃねえか」


ブーチャカが野太い声で、チコに声を掛ける。

チコは一瞬恨みがましい顔をしたが、どうにかそれを抑えて笑顔で対応。


「ど、どーも。光栄、です・・・」


あんな小さな男の子が。

身内を人形のようにされ。

意志まで強制され。


それでもなお、その元凶に求められた握手に応えようとする。

そう、彼は男の子の前に、一流のプロなのだ。


俺はそう思った途端、チコは車椅子の椅子間から小さな銃を取り出した。

デリンジャーだ。


「あぁ!?猪口才(ちょこざい)が!!」


やはり最終戦線の幹部。一瞬の隙もない。

仮に引き金が引かれても、あんな巨漢を倒せるわけがない。


「殺気ムンムンだったぜ??クソガキが」


やはり動作以前の問題だったのだ。

チコは車椅子を蹴飛ばされ、投げ出される。


「うわぁぁぁ!!!」


「お前、こいつの弟なんだって?じゃあ俺が毎夜毎晩どうしてるか教えてやろうか??」


ブーチャカは、ネネの顔をソフトクリームのように、その唾液まみれの舌で舐める。


「や、やめろ!!お姉ちゃん!!嫌じゃないの!?」


ネネは嬉しそうに笑顔のままだった。

チコはそれを見て、ボロボロと涙が溢れ出した。


「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」


滝のように流れる涙に、顔をグシャグシャにするチコ。

そしてブーチャカは悪魔のような采配をしたのだ。


「お前が撃て」


ネネは、チコから奪い取ったデリンジャーを握らされる。


「よく狙えよ。よぉぉぉく、な」


歯茎をむき出しにし、にかぁと笑う巨漢児。


「もう無理だ!!大乱闘になっても助けに行くぞ!!」


「無論なのだ!!!」


俺らが居ても立っても居られずに、腰をあげる。


「にゃにゃ、ちょっと待つニャ」


リリラルがクルクルとネコ耳を回しながら、俺らを制した。


「様子が変ニャ」


もう一度チコ達の居る舞台に目をやると、ネネが銃を構えたまま微動だにしない。


「おい、どうした」


すると。

銃を握っている。


ネネの手が。


ネネの腕が。


ネネの足が。


ガタガタと震え始めた。


そして笑顔のまま、ネネは呟いた。






「引き金が・・・引けません・・・」






笑顔のネネのその頬に、一筋の涙が伝っていた。

次回、ブーチャカをぶっ飛ばす為に主人公たちが立ち上がります。

バトル回です。



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