四〇劇目 「”天声”チコが”巨満児”に復讐!?お姉ちゃんを救え!!」
どうやらチコがブーチャカを憎むのは、ただ歌を歌わされているからだけではないようです。
「そろそろライブハウスに戻らないと、ブーチャカに疑われちゃう。それじゃ、またね」
チコは俺らに手を振り、街の中へと消えていった。
「うにゃにゃにゃ〜、チコが心配だニャ〜」
リリラルは耳をクルクルさせながらそう言った。
「でもあの子のステージには、チケットが必要だって言ってたナリ。この“囚われの街”は最終戦線のテリトリーの中だし、中に入る事って出来るナリか?」
ワンレンの髪を流しながら、ベルが尋ねた。
「確かに・・・。どうにかして『ライブハウスに入らなきゃ』詰みゲーだな」
あの歌姫セルフィスを唸らせるほどの美声を持った男の子、“天声”チコ。
彼曰く、今夜は最終戦線の構成員を労う、コンサートが開かれるらしい。
それを主催しているのが、“巨漢児”ブーチャカ。
ギルドバトルで負けた“忘却街”の人々に強制労働か娯楽提供を強制し、奴隷のように扱う最終戦線の幹部の一人。
強制労働者は反逆防止として、その身体の中に“猩々緋色煌石”を埋め込まれ、ある程度自由の利く娯楽提供者からは“看守長”の異名で、恐れられている。
最終戦線のギルドマスター、頭である残酷ピエロとギルドバトルをして、忘却街の全てを取り戻す前の肩慣らしとして、最適な相手かもしれない。
どうだ?
作者の為に解説してやったぞ?
俺は地文をする主人公として、ある程度メタ的な概念がある。その為他の登場キャラと違って、作者にもツッコミが入れられるのだ。
では劇に戻ろう。
☆
「へへ、アッシに任せるでやんす」
「うお!?なんだ、突然」
裏路地で、最終戦線の構成員に見つからないようにしていたのに。
そこに突然、前歯がニュっと出たひょうきんな表情をした男が現れた。
「アッシはギルドバトルで負ける前は、貸衣装を営んでいたヤンスでやんす」
なぁ、作者さ。
も少し考えて名前つけろよ。
ヤンスにしちゃったら、語尾とかぶって分かりにくいじゃん。
バカなの?死ぬの?
俺は主人公として心の中で作者にツッコミを入れた。
「あんた達は、ギルドバトルに負けた、この“囚われの街”の希望の星でやんす。絶対にブーチャカを、そして残酷ピエロをやっつけて、あっしらを開放してほしいでやんす」
強制労働組とは違って、こうやって俺らに話しかけてくる自由な振る舞いができるという事は、娯楽提供組か?
「ヤンスは何か良い手立てがあるというのか?」
ブルマのゴムをパチンとさせ、アスカは尋ねた。
「今はチコの出るライブハウスの音響担当なんかの、裏方仕事をやってるでやんす。だからライブハウスに入れてあげるでやんす。それに最終戦線は、みんな顔を白塗りにしてるでやんす。それが互いを認識するトレードマークでやんすから、顔を白くすれば問題なく混じれるでやんす。しかも今日はチコのコンサート。ブーチャカも見にくるでやんす」
「おお!完璧じゃん!!じゃあ、顔を白く塗って本番前に忍び込めば、楽勝で倒せるんじゃない?」
「うにゃにゃ!さっさと倒して、残酷ピエロに挑むニャ!!」
「・・・一件落着」
マリアは胸をタユンとさせて、呟いた。
俺らは顔を見合わせて、早々に勝利を確信した。
「でも、・・・実は心配事があるでやんす」
「心配事?」
「・・・何?」
「何なのだ?」
「にゃにゃにゃ」
俺らは、やんすの言葉を待った。
「なーにー♪FU〜〜♪」
と突然、ベルがワンレンの髪に指を通しながら、ハイテンションで俺らに続く。
良い加減にしろよ、作者?
シリアスなシーンなんだから、脱線させんな。
俺は心の中で少しイラっとしながら、作者にツッコミを入れた。
ヤンスは「実は」と躊躇いながら、心の内を語り出した。
「チコの奴が、ブーチャカに一泡吹かすって言ってたでやんす。実は、チコの姉貴も、娯楽提供でブーチャカやその取り巻きを楽しませている踊り子でやんすが、強制労働組みたいに反逆する意志もスキルも無いにも関わらず、赤い石を埋め込まれていて、『チコの姉貴はブーチャカの奴隷のような生活』を強いられているでやんす」
「え!?」
俺らは思わず声を出した。
次回、ライブハウスに突入します。
ザゥ調子乗りすぎですね。
また仲間の女の子に省かれるシーン作ろうかなぁ。




