二五劇目 「マリアの単独潜入っ!?片翼天女は手が離せないっ!?」
今回は主人公不在の為、第三人称で地文を書きます。
ネタ少なめです。
「まだ何か用か?去れと言ったはずじゃが?」
マリアはナナガの後を追うと、その老人は歩みを止めて話を切り出した。
『天人族のノマーリア地方の人達・・・、客人には手厚い・・・違う?』
マリアはザゥ達と喋っていた言葉とは別の言語で、ナナガに応えた。
その言葉はさっきザゥ達に、物陰から村人が投げかけた彼らの第三言語だった。
ナナガは思わず振り返り
『我らの言葉が話せるのか?』
と再度尋ねる。
『まぁ、少しくらい』
マリアは人形として胸に魔石を埋め込まれていた時、つまり最終戦線の幹部である“スク水死霊魔術師ジェリカ”に囚われていた時に知り合った天人族の話をした。
その知り合いも胸に魔石を埋め込まれ、無茶な命令で命を落としたが、その短い間マリアと知り合いになり言葉を教わったのだ。
『ノマーリア地方の出身だって言ってた。天人族の中でも人に優しいって・・・、あれは嘘?俺は挨拶も知ってる・・・』
するとマリアは両指を合わせて逆転させると勢い良くプリンと尻を突き出した。
眼鏡をかけた小太りの芸人と背の高い山形出身の芸人コンビの決めポーズの如く。
すると物陰に隠れていた村人は、警戒心を解いたのかソロソロと姿を現し同じポーズをした。
どうやらこれは彼らの挨拶らしく、互いに敵意が無い事を表す意味らしい。
ナナガも同じポーズをとると、途端に柔和な顔になり『済まなかったな。歓迎させてくれ』と手厚くマリアを先導しなおす。
そして長老達の一番大きな屋敷に導いていった。
屋敷に入り、しばらくすると3人の老人とナナガがマリアの前に現れた。
『改めて』
マリアの前で例のポーズを取る三人の老人。
それに応えるように同じポーズをするマリア。
するとその三人の老人はニッコリと笑った。
『おい、もてなしの準備だ』
☆
若者が数人入り、彼女の前にティーカップを置く。すると容器に湯を注ぎ、手の込んだ抽出方法で数分待つと、紫色のお茶をそのカップに満たした。
『メニャンコじゃ。美味いぞ』
ザゥが居たら確実にツッコミを入れそうなネーミングのお茶を、三人の老人はマリアに勧めた。
マリアはそれを3口に分けて飲み干すと、器を裏返しにして叩き割った。
ガシャーン!!
しかしそこにいる誰も驚いた様子は見せない。
『もてなしの儀式をよく心得ているな』
『我らの文化を理解してくれているようじゃ』
三人は顔を見合わせると大きく頷く。
『天人の村に来た事を歓迎しよう』
『して、どうしてこんな山奥まで来たのじゃ?』
ようやく話を聞いてもらえると、それまでの緊張感を解すマリア。
一度胸をタユンとさせたが、彼女は事情を説明できるほど、彼らの言語に詳しくなかった。
挨拶程度と僅かな単語をつなぎ合わせてここまで来たマリア。
彼女が言葉を紡ぐのに、四苦八苦している様子を見た三長老の中の一人が
「話しにくかったら、人の言葉でも構わんぞ」
と、人語を話す。
それにマリアはホッとし、ここに来た理由をは語り出した。
「実は片翼天女に用がある・・・」
「マリアベルに?」
「どうしてまた?」
マリアはザゥの事や、残酷ピエロを倒す為に仲間を集める冒険している事などを、手早く説明した。
☆
「なるほど」
「そうかぁ」
「だがなぁ」
三人は大きく頷くも難色を示す。
「確かに村の若い娘をおいそれと差し出すこと・・・、長老としては出来ないの、分かる。だけど、このままでは・・・残酷ピエロに全てを奪われたまま」
マリアは落ち着いた声色で、だが、しっかりと自分の意見を主張する。
それに対し論点に差異がある事を明示する三長老。
「いや、マリアベルが下界に出るのは問題無い。一度負けたとは言え、別のギルドならばまた好機も生まれるじゃろう。儂らが頭を悩ませているのは別の問題なのじゃ」
「そうじゃ。今、マリアベルを村から出すわけにはいかないのには理由があるのじゃ」
「時期が悪い。とでも言おうかのう」
マリアは胸をタユンとさせ、「タイミング?」と言葉尻を重ねた。
「マリアベルは、今封じの儀式で手が離せないのじゃ」
次回はまた主人公登場で、一人称に戻ります。




