二〇劇目 「サイクロプスVS獣人幼女っ!?切り札は漆黒の大鎌と黒い飲み物っ!!」
今まで傍観者だったリリラルがバトルに参加します!
魔物戦、敵はサイクロプスです。
兵舎のあった平原を超え、山に差し掛かる。
夕暮れが辺りを金色に染め上げ、幻想的な風景が広がる。
俺は「片翼天女は山の上に居るって事は、この山を登るのか?」とリリラルに尋ねた。
「そうニャ。片翼天女は天人ニャ。人里を離れて、空に一番近いところに住んでるニャ」
片翼天女はスキルオーナーとしてはB級。
それは上位15%と、上位0.1%のS級の俺に比べ、凡庸なスキルオーナー(もちろん俺も、焔と雹で出来た双頭ケロベロスのような不可触タイプの敵の攻略法を見出していないのでなんとも言えないが)と言える。
がしかし彼女は、人間を凌駕した種族の一つ、天人。
高度な第三言語の詠唱を扱える事を考慮すれば、総合的な戦闘力はS級に勝るとも劣らないだろう。
「この辺りは・・・、確か夕刻を過ぎるとサイクロプスが出現するのではなかったか?」
ブルマの紐をパチンと直しながら、アスカが言う。
「何?それ。美味しいの?」
魔物とか良いよ、もう。
「確かにそうニャけど、あんなレア魔物。なかなか沸かないニャ」
リリラルは「にゃーにゃにゃのニャ〜」と余裕の鼻歌を歌う。
「いや、何?サイクロプスって」
「一つ目の巨人ニャ。大きさはザゥが戦ったミノタウロスと、大体同じ大きさの魔物ニャ」
あんなでけぇのかよ。
吐血するわ。
魔物と遭遇するの恐怖感は、出来るだけ味わいたくない。
実はケロベロスと対峙した時も、心臓がバクバク言ってたんだよな。
S級だろうとなんだろうと、苦手なものは苦手なのだ。
するとその時、俺の背後が突然暗くなった。
リリラルが鼻歌なんか歌うからだ。
罸当たりめ。
☆
「え?もう夜?」
俺は必死に気づかないフリをする。
が。
「ふがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
俺は熱くて臭い吐息を、真上から吐きかけられる。
さすがに来るよね、カチンとさ。
「え?死ぬの?」
とすぐさま言い変える俺。
って言うか臭い。
なんとも人をイラつかせる息を吐きやがる。
だんだん腹立ってきた。
俺はかなりキレ気味に上を見上げる。
すると。
「ちょっと待つニャ」とリリラルが俺を止めた。
「なんだか私、逃げ惑ってる足手まといみたいになってるニャ」
「いや、そういうわけじゃないけど。でも、スキルもないし。実際しょうがないんじゃないのか?」
俺は率直な意見を言うと他の二人も同意した。
どうやらリリラルはそれが気に入らないらしい。
下唇をかみながら、マントの端をギュウと握って、「うにゃにゃにゃにゃ〜」と悔しそうに体を力ませている。
「しかたないニャ。残酷ピエロと戦う為に残しておいた、王都の錬金魔術士に創って貰ったアレを使うニャ」
確かに忘却街のギルドに属しているリリラルとマリアは、残酷ピエロとギルドバトルを俺のギルド『追憶の彼方』に任せて旅に同行している。いわばサポーターだ。その目的を託し、残酷ピエロと戦線から離脱したリリラルは、その切り札を今ここで使用するらしい。
それにきっとずっと見てるのだけになったのが、嫌になったのだろう。
するとリリラルは背中のリュックから自分の背丈の倍ほどもある、大きな漆黒の鎌を取り出した。
本当に色々入っているリュックだ。
「にゃにゃにゃにゃにゃ〜。重いニャ〜〜〜・・・」
どう考えてもその小さく細い腕でそれを持ち上げるのは、無理がある。
案の定、ズルズルと引きずるような絵面。
「そんなんで戦うなんて無理じゃないのか?やっぱり俺が戦うよ」
あの一つ目野郎から気持ち悪い吐息も、ど頭に喰らったしな。
するとリリラルは「落ち着くニャ、まだもう一つあるニャ」とリュックから牛乳瓶を取り出した。
しかし中身は鎌と同じ真っ黒の液体。
うえ、何それぇ。
リラルルもゲンナリした顔で蓋を開け、鼻を摘んでいる。
「貴君、本当にそれを飲まれるのか?無理するな」
「というか、一体何が始まるんだ?」
アスカとマリアも心配そうにそれを見ていた。
サイクロプスがしびれを切らしたように、もう一度大きな唸り声をあげた。
「フーーーーーンガッフーーーーーーーーーーーーーーーーー」
え?それ「ふんもっふ」じゃね?
言っちゃダメなやつだろ。
サイクロプスは、手に持った棍棒をゆっくりと振りかざす。
が、そこからは凄まじく素早かった。
その隆々の筋肉全てを使って振り下ろす棍棒は、雲を引くほどの疾さ。
瞬間、リラルルを叩き潰してしまったのだ。
「っっっっっっっ!!!!!!!!!」
「し、しまった!!!!!!!!!!」
「リ、リリラル!!!!!!!!!!」
完全にネタ回だと油断していた。
「リ、リ、リ、リリラルーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
次回は、リリラルが痴女に変身して大活躍します!




