九劇目 「暑っ!!いや、寒っ!!雹炎ケロベロスよ、どっちかにしてくれっ!!」
【前回までのあらすじ】
街の名前すらも使えず忘却街と仮称し、劇場以外の全てを奪い取られた街の民。
そしてその強奪者は最終戦線というギルドの長、残酷ピエロ。
奴はS級というスキルオーナーの上位0.1%の者にしか見られない森羅万象の力を持つ者。
転生をした俺は、幸か不幸かS級の紋章が背中にあり、リリラルという猫っぽい狐の獣人に協力する事になった。
そして残酷ピエロに挑む為、まずブルマ軍曹と片翼天女を仲間しようと劇場を出立した。
そう、奪われた忘却街の全てを取り戻す為に。
☆
「一歩劇場から出れば何が起こるか分からないニャ。敵の襲撃、魔物の襲撃、ここはもう忘却街の所有地じゃないんだニャ」
「あぁ、なるほど」
劇場から出てしばらくすると、普通の街並みが見えてきた。
俺は誰かいるかと安堵したが、それは間違いだとリリラルは指摘した。
あくまで忘却街の所有はあの石造りの野外劇場のみ。
その他の街並みは全て残酷ピエロの所有、しかも最終戦線は魔物を野放しにしているらしく、劇場の敷地以外は「鉢合わせれば即戦闘」を意味していた。
「あぁ、昔はこの店で“フライドバター”をよく食べたニャ」
最終戦線が来る前の、平和で栄えていた頃の『街全てが自分たちの街』だった頃の記憶を蘇らせ、リリラルは思い出の一つを舌に載せた。
「そっかぁ。幼い頃から好きだったものが食べられないなんて・・・ん?」
俺は心を痛ませながら相槌を打ったが、妙な単語に疑問符を打った。
フライドバター・・・だと・・・?
「え、なにそれ?」
「知らないニャか?バターを高温の油に入れて表面をカリっとさせたバターに棒を刺した食べ物ニャッ!!」
とヨダレを垂らして身振り手振りで表現する。
なんだよ、その悪魔的に太りそうな食物はっっ!!!!
大体なんで油を油で揚げるんだよ、狂ってんだろっっ!!!!!!!
「出店とかで大人気だったニャ!!」
「チョコバナナみたいに言うな!!!!!」
「チョコバニャニャ??」
「え?知らないの?」
俺は簡単にそれを説明すると、リリラルは眉をひそめてこう言った。
「うぇ、なんか太りそうニャ」
ど っ ち が だ よ !!!!!!!!!!!!!!
☆
俺たちは街の中をしばらく歩く。
すると突然凍えるような寒さを感じ始めた。
俺は肩を竦め身震いをし、両腕を摩る。
さっきまでは普通だったのに、なんだか肌に感じる外気が突如変わった感じだ。
「リリラル・・・、なんか寒くない?」
「にゃ?」
彼女はいつの間にか毛皮のコートとテレビでしか見た事のないロシア帽を被っていた。
そして手にはあったかそうな手袋ときたもんだ。
いつの間に。
てか、忘却街貧乏じゃなかったのかよ。
改めて彼女の背負う自分よりも体積の大きな巨大なリュックを見る。
「『備えあれば憂いガシ』ニャッ!!」
憂いガシってどんな菓子だよ。
落ち込みそうな味がしそうだな。
俺は自分の分もリリラルのリュックから出してもらい再び前進。
すると、しばらくすると今度はサウナのような暑さが襲う。
「リリラル・・・、なんか暑くない?」
「にゃ?」
彼女はいつの間にかワンピース一枚で、どこから出したのかカキ氷をシャクり一口頬張ってた。
アラカワ。
ひまわり柄の黄色いワンピースが幼女と少女の中間くらい彼女にピッタリだった。
しかし、なぜその手にはカキ氷?
そのリュックって、猫型ロボってのポッケなの?
軽く突っ込み俺も元の姿に戻る。
すると犬が威嚇するよりももっと低く、そしてもっと野蛮な、喉を鳴らすような呻り声が聞こえた。
グルゥゥゥゥゥゥ
前方を見ると、その呻り声の元を視認。
目を赤く光らせ、狼を2周りほど大きくした魔物が体勢を低くして身構えていた。
しかし、その頭の数と毛並みはマトモではなかった。
一つの体躯からは首が二又に分かれ、双頭を有しているのだ。
その頭の一つは、赤く燃えたぎるような焔に包まれ。
そしてもう一つは、見るからに堅そうな蒼に包まれていた。
「“雹炎のケロベロス”ニャ・・・。さっきの妙な暑寒はコイツの仕業ニャ」
「なるほど、厄介そうだな」
俺は緊張し一歩身構えると、自分のスキルの不得手が脳裏に過ぎった。
どうやればコイツに触れられるんだよ。
ちょっとネタ回かも。
壮大に突っ込むべきか、流すべきか分からなかったから両方やってみました。
ちなみにフライドバターは実際に存在します(マジ
その時の衝撃を盛り込んでみました。




