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攻略者

ダンジョンの奥地、未完成の穴だらけの地下駐車場にてランドワームと対面するアキトとエツコ。

頭部が三分割して牙を剥き出しにする巨大なミミズ状の身体のモンスター、二人を見てすぐに地面に潜り込み地鳴りを響かせてくる。


「まぁ…潜るよなぁ。離れるなよ?」


エツコに指示を出しつつアキトは木刀を一刀流に構える。


(あの時みたいに先生気迫が…増して…)


槍で技を見せた時の様な空気にエツコはゴクリと喉を鳴らす。

地響きが強くなりアキトは目を見開き構えを解いてエツコを脇に抱えてエツコを狙った地中からの攻撃を回避する。


(狙いは私だった!)


気付いた時には小脇に抱えられていて死んでいたかもしれないと冷や汗が垂れる。


「せ、先生…」


「気にするな、問題無い」


足手まといは嫌だと脇に抱えられつつ呪文を唱え火の玉をワームの口に撃ち込む。一矢報いて小声で「よしっ」と声を漏らす。しかしダメージは浅く怒りを買うだけであった。


「一発じゃ足りないな、援護してくれ」


アキトはエツコを降ろしてからまた一刀流に構える。


(天井があると絶空は危険だ…ならやっぱりコッチだよな…)


深呼吸するアキト、エツコはアキトが整うまで可能な限り援護しようと火の玉を放ち続ける。ワームは嫌がる様子を見せるがそんな物効かないと尾を振り薙ぎ払おうとしてくる。

見えている攻撃ならとエツコはサッと回避し魔法を放つが尾に攻撃を阻まれて追撃が出来なくなる。

アキトとランドワームの一騎討ち。呼吸を整え準備の終えたアキト、対するランドワームは向かって牙を剥き出しに大口を開けて丸呑みの体勢に入る。


「秘技、烈風斬!」


素早く一刀流で木刀を振り下ろしとかち上げの動作を行い連続の真空波を放ちズバズバッと深々と手傷を負わせる。


「ちっ、切り落とせないか!」


思ったより威力が出ていなくてアキトは舌打ちをするが一人でボスに対して行うなら十分過ぎる威力でランドワームはのたうち回り最期の抵抗をする。

それすらもアキトは木刀で弾き返し残心しながらランドワームが死亡するのを待つ。


「勝っちゃった…」


エツコはアキトの技を見て唖然とする。

ボス撃破を確認し管理部隊が突入してきてダンジョンコア回収を開始する。アキトはそんな部隊に気さくに挨拶する。


「お疲れさん。あとよろしく」


「我々をそういう役割と考えるのはやめて欲しいのだが?」


管理部隊は雑用扱いされてながらもコアの回収となると神経質に扱わねばならないとアキト達に構っていられないとコアに向かう。


「エツコ、怪我は無いか?」


「はい、お陰様で…」


アキトはエツコの無事を今一度確認しホッと一安心する。


「帰るか」


「え?!コアは…?」


「管理部隊が何とかするだろ?もう外したみたいだしモンスターは沸かないし安全だ」


名誉や富はどうするのかとエツコは不思議そうにするがアキトは異世界でそういう物に興味は無く世界を救うこと以外は無頓着であった。


ーーーーー


帰還すると学長が待機していてエツコはハッとして姿勢を正して挨拶する。


「お、お疲れ様です!」


「また君か…君が来てから生徒達が無能であるかのようで見ていて苦しいな」


「えっ!?」


エツコは隣で学長から睨まれているアキトへ信じられないものを見るような目を向ける。アキトは特に興味無さそうにいつも通りの顔をしている。


「いや、実際無能が多いな。正直ダンジョンの攻略なんて夢のまた夢だなんて思って交流戦とか内部しか見ていない。それじゃあ死人が増すだけだ」


「それは指導者としての目線か?攻略者としての目線か?」


その質問にアキトは少し考えて「両方」と答える。

学長は鼻で笑いアキトへ報酬の話しをする。


「さて、キミは二つのダンジョンコアを回収した。何かしら報奨を出すべきと思っているが…どうだ?その木刀から同じ様なブレードを特注しよう」


「このままでも良いんだが…貰えるものは貰っておこう」


新武器の用意をしようと木刀を少し調べる為にと学長は人を呼びアキトの使う木刀を採寸する。データを取り終えると早速特注品を作ると学長は話して去っていく。

終始ポカンとしていたエツコはアキトに確認する。


「二つ…数日前のも先生が?」


「まぁ申請しないで勝手にやったから大分怒られたがな」


「か、勝手に…?」


間近でアキトの戦い方を見たエツコは嘘じゃないと信じるのだった。


ーーーーー


夕刻には新たな攻略情報が出回り拠点内は連続攻略に浮足立っていた。

夕食の場の学食内は誰が攻略したのかと話題が持ちきりになっていてエツコと別れてからずっと暇そうにお茶していたアキトはボケーっと人間観察をしていた。


(攻略情報に興奮するだけじゃなく自分も強くなろうって考えてくれるなら少しは見返すが…)


窓の外に見えるグラウンドにはトレーニングに励んでいる様子なのが少数しかおらず少し残念そうに溜め息を付く。

トレーニング上がりのハジメがアキトを見付けて相席してくる。


「あ、先生、お疲れ様です」


「ハジメか、そのジャージ、休みなのに運動してたのか」


「あー、アハハ。自分買い物とか出来るような富裕層じゃないんで…部屋で筋トレするのも息苦しく思ってランニングや素振りしてました」


生徒達にも色々あるんだなぁとアキトはハジメの話しを聞いて小さく頷いていた。


「他の生徒達は遊んだりしているようだな。トレーニングなんて少人数しかしてないしな」


「そうですね、まぁ強い人は骨休めするのが休日だし?」


だから自分は頑張らないとと燃えている。アキトはオーバーワークにならないように注意するとハジメは頑丈ですからと二の腕を叩いて大笑いする。

そこへ同じジャージ姿のアスカとススムが現れてハジメを挟んで席につく。


「お疲れ様です。あれ?先生はずっと休んでたんですか?」


お昼には見掛けなかったなとアスカは記憶を辿る。アキトは何気なく答える。


「あー、昼間はダンジョンの下見に…」


アスカ達はアキトの言葉に反応する。


「あ!それ!ダンジョン!攻略されちゃって…ちょっと悔しいッス」


「ボクも…あそこで転ばなければ攻略者になれてたかもしれないのに!」


ススムも雪辱を果たす事が出来なくなったと悔しがる。それを聞いてアキトはボスについてポロッと言及する。


「ボスはランドワーム、ちょっとまだ鍛錬不足だったろうから撤退は丁度いい」


「う、ボスはまだ無理かぁ…ってなんで先生はボス知ってるんですか!」


当然のツッコミにエツコとカスミが現れて真相を語ってしまう。


「それは先生が攻略者だからよ」


「おい、言うなよ。面倒事は簡便だ」


全員オーバーリアクション気味に驚き騒ごうとしてアキトが止める。


「おい迷惑だ。騒ぐなよ」


「下見で攻略する酷い先生よね」


エツコは仲間達を焚き付けて「次は連れて行け」と言わせる。アキトは余計な事をと苦笑いするが生徒達の成長を見てからと答える。


「まずは直近の課題であるそれぞれの問題をクリアしてから!特にススムとハジメ!筋トレはしろよ?カスミは基礎体力。アスカとエツコは…火力かなぁ」


取り敢えず自分が見てるだけでも良いくらい強くなれと激励する。


「じゃないとずっと今日みたいに辛酸舐めさせてやるからな?」


大人げない口振りにエツコはやれやれと呆れて他のメンバーはちゃんとやるとして次週ダンジョンに皆で行こうとなるのであった。


ーーーーー


ブレードの生産を依頼した学長、アキトの持つ木刀のデータを確認して軽く溜め息をつく。


「どんな刀剣や魔法よりも木刀が強いなんて事はあってはならない…一体奴は何者なのか…監視は強くせねばなるまい」


管理部隊の監視の目を強化する指示を裏で出すのであった。

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