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生徒達と征く

生徒達を連れて2つ目のダンジョンに挑むアキト。

申請をしても管理部隊が背後に付いて来ていて生徒達は不安そうにする。


「どうして管理部隊が…?」


「き、きっといざという時に守ってくれる為だよ?」


ススムは中途半端に前向きな反応をするがアキトは内心自分のせいだなと申し訳無く思う。


(一人で攻略してるから監視対象になってるな…まぁ仕方ない。生徒達も後ろを気にする必要が減って気が楽になるはずだ)


自分も前向きに捉えて行こうと音頭を取ってアスカを先頭にダンジョンへ進入する。アキトはもしもの時のバックアップとして生徒達を見守る姿勢でいく。


ダンジョンへ入り少し進むと商店街のアーケード通りに入る。シャッター街だがノスタルジックな雰囲気にアキトは平和な時に来たかったな等と呟く。

生徒達はアーケード街など知らずアキトの言葉がよくわからずに首を傾げるが正面にゴブリンが数匹現れて警戒態勢に入る。


「小物だな、落ち着いていけ」


アキトは他に敵は居ないかと見渡しながら戦闘を生徒達に任せる。近未来な武器で戦う生徒達を見守りつつアキトは路地に待機している増援を見つけ対処に当たる。

前衛のアスカ、そのサポートのススムと後衛女子二人の体制は上手く行っているようでゴブリンから反撃をもらうこと無く対処に成功しチームワークを遺憾無く発揮して喚起していた。


「四人という少人数ではよくやっている」


アキトは調子に乗せない程度に誉めて四人から嫌味だの何だのと冷たい目を向けられる。


「誉めてるんだが?」


「人数少ないこと馬鹿にしてます」


エツコの厳しい言葉にアキトはたじたじになるのだった。


アーケード街を進み路地から現れるゴブリンにもしっかり対処を出来るようになった面々は端っこまで到達してまずは一区切りつける。


「どうでしょうか?問題ないですかね?」


アスカはアキトにチームワークについて意見を求める。ほぼほぼ理想的な動きが出来ていて初のちゃんとした体制でも動きに迷いが無いことをアキトはしっかり褒める。


「僕らもやれば出来るんですね!」


ススムは器用貧乏等と卑下する事もなく自信を持ってガッツポーズを取る。

カスミもエツコも想定通りかそれ以上に立ち回れて満足そうにしていた。


「帰投しますか?」


エツコが自分達の実力を見せきったんじゃないかと考えてアキトに提案する。確かに危険な事もなく帰るのには丁度いい頃合いだが狙いはコアであり自分だけは深部へ行こうかとアキトは思案する。

その考えを感じ取ったカスミはアキトへ苦言を呈する。


「奥へ行くのは危険ですよ?今はゴブリンだけで満足すべきです」


「だが何れはコアを狙わねばならない…もう一段階踏み込んでもいいかもしれない」


お前達なら行けると連携の良さをアピールして背後の管理部隊が居ることもあってアキトは前に行くことを勧める。

少しまだ恐怖がある面々は不安そうにするがアキトは落ち着いてやれば行けるとキマイラ等の中型でも通用すると伝える。


「キマイラ…先輩達が敗北したという…」


ススムが口にしてエツコが唇を噛み締める。アスカが皆を鼓舞して前に行こうと声を張る。


「やってやるさ!」


「見た目に怖気づかなければ大したことはない。落ち着いていけ!」


アキトも自分が相手した感覚からそう答えて更に少し進む事になる。


深い亀裂で寸断された幹線道路を挟みビル街に入ると目当てのキマイラがゴブリンを捕食していて四人は息を呑む。まだ敵に気付かれていない奇襲するなら今とアスカが勇み足になる。

チームワークとアキトは小声で伝えアスカは頷きつつススムと共に近付き武器をキマイラに突き立てる。

突然の出来事に敵は鳴き叫び刺さった武器を振りほどこうとする。ススムがバランスを崩し前のめりに転びアキトがすぐにサポートに動く。


「ススム!立てるか?」


「はい、まだやれます」


暴れるキマイラにアスカが手を焼いてサポートを求める。ハッとして女子二人が直ぐ様狭い路地でやれることを考えて行動に移る。

火の魔法を備えた曲射による援護でキマイラの動きが確実に鈍りアスカが首筋に一撃叩き込み瀕死に追い込んだ所で立ち上がったススムも魔法で援護する。

霧散していくキマイラ、刺さっていたススムの槍が落ちアキトが回収する。


「ここまでだな、課題も見えて来たし反省会…」


アキトがそこまで言った所で追加のキマイラがアキト目掛けて突進してくる。


「っち、俺の本気見たいってか!?」


ススムの槍を手にアキトは槍を短く持ち相手に突き出すと同時に高速回転させながら長く持ち替える事で相手の図体を貫通させる技を見せる。


「秘技!螺旋突き!」


技名までちゃっかり決めて敵を一撃で仕留める。

ススムは自分の槍でそんな芸当が出来るのかと目を丸くして他の生徒達もアキトの技に「おお」と感嘆する。


「お前らまずは基礎からだぞ?技なんてものは膂力(りょりょく)あってこそだからな?」


アキトの話よりすごい技を自分達も使いたいと思って生返事になる生徒達、アキトは「やれやれ」と口に出してしまうのであった。


管理部隊と挨拶しながら来た道を引き返す事になる一行。アキトは深部へ行けたら良かったと色々と反省するが管理部隊の目がある内は下手に動かないほうが良さそうだと考えるのであった。


ーーーーー


管理部隊のアキトがただならぬ存在とだけ報告を受けて学長は軽い溜め息をついて引き続き監視をする事を指示する。


「一人で浅層だがダンジョンを攻略した男か…やはり何者か分からない以上監視は続けなければならない。各地のダンジョンの出入り口は厳しく管理しろ」


監視カメラに映る戻ってきた一行を見て学長は険しい顔をするのであった。


ーーーーー


夜、生徒達と教師が使う学校食堂でアキトは大好物のカレーがある事に感動しつつ注文をする。

出てきた濃い目の色とゴロッとした野菜のカレーにアキトは目を輝かせる。


「コレだよコレ!こういうので良いんだよ!」


四人の生徒と共にする食事でアキトの口振りに全員が冷たい目を向ける。


「カレーに妙なこだわりがあるようで…」


エツコの言葉にアキトは真剣な眼差しで大きく頷く。


「好物にこだわり持って悪いか?この世界のカレーはどんな味かなっと…」


うっかり「この世界」等と口にするくらいには油断しきっているアキトはカレーを口に運び濃い目の味付けの辛さにおっさん臭い反応を示す。


「辛ぇー。この辛さもまた良い」


「やっぱりおっさんだわ」


「レシピ知りてぇな…この深い味付けは何の出汁使ってるんだ?」


完全に自分の世界に入り込んでいてアキトの食事への探究心を知って全員が苦笑いするのであった。


ーーーーー


生徒達は学生寮へ向かいアキトは用意されてる手狭な教師寮へ帰ろうとする。しかし、管理部隊がアキトに近付いて銃を向ける。


「あれ?俺なんかやったか?」


「学長がお呼びだ。来い」


まだ学び舎に残っていた眼帯の学長と面会するアキト。学長は管理部隊を下がらせてアキトと二人きりで話し合う。


「君は…何者だね?」


「あー、笑わない?」


流石に世界の救世主だなんて大言壮語にも程があると自分でも理解しているアキトは一回断りを入れてから相手の反応を待つ。


「フザケた解答が出ると?」


「まぁ…その、救世主…やってます」


取り敢えず伝えると学長の目は更に鋭くなってアキトは苦笑いしか出来なくなる。


「救世主か…成る程、秀でた能力ではあるだけは…いや、我々とは次元が違うだけはある」


一人で木刀一本で攻略されてプライドが傷付いている世界にアキトも気付いて困り顔になる。


「やっぱりソロは不味いっすか?」


「今日のように生徒達を育てつつで頼みたいものだ」


アキトは学長の言葉に頷いて今後は全部ちゃんとやると約束するのであった。

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