表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世主Aの冒険記録  作者: D沖信


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/408

わさび

旅にはちょっとした香辛料(スパイス)が必要、アキトは到着した街で早速種類と価格をチェックする。

しかし思っていたよりも高い上に種類が和風である。


山葵(わさび)山椒(さんしょう)!ぐぬぬ…高い…」


「うわぁ金1枚で一本と小袋ですって」


レインが大袈裟に口を開くと猫耳店主がメイドを見てお貴族かと嬉々として寄ってくる。


「どっかの貴族様かにゃー?」


アキトは二つとも買うからと値切りを謀る。そこには流石の店主、目を光らせ先手を打つ。


「銀10負けてやるにゃ」


銀100で金1、五分かよとアキトは銀30だとわざと弱気に吹っ掛ける。


「さ、30!」


「駄目だにぇ15まで!」


「っぐ、20!」


狙いの1割を悔しそうに宣言する。店主はまいどとオーケーと指で丸を作る。

商談成立、金貨2枚支払い銀貨20枚返され商品も受け取る。

二人は気付いていなかったがスパイス自体は店頭で独占販売で高値が付けられていて殆どが半値以上が利になっているのであった。

そんな事は知らず調味料を他で吟味し始めるアキト達なのであった。


ーーーーー


ここは亜人の国の首都、ビストリア。四季折々とあって漆喰(しっくい)の建築物が目立つ都市である。

堀もしっかりしていて古代の和風の都市の理想型に近くアキトは目を輝かせる。


「江戸より古い…安土桃山時代くらいか…もっと?」


「えーっと…よく分からないのですが凄いのですか?」


「いや、古い時代の参考資料にはなりそうだなってとこ…」


アキトの故郷を期待していた分ガクッとレインは姿勢が崩れる。

藁葺き屋根だったり古臭いと言われるとその通りであるが帝都もそういう意味では古代西洋っぽいとアキトは笑う。


「その割には都市名は西洋、不思議だなぁ」


「西洋とか古代とか言われてもピンとこないんですよね私は…」


「うん、確かに。すまんな」


言語の壁を中途半端に改めて実感するアキトなのだった。

レインは建物の質感や年季に帝都との違いを見て長持ちだと舌を巻く。


「石造りとは大分違いますねぇ」


「民家に石材使える程余ってないんだろうな。採掘するにも割に合わないってやつ」


「はへぇー」


城や蔵ほど頑丈にするなら必要だが民家にはあまり使わない所など色々違うとアキトは説明する。


「土地って大事ですねぇ…」


「地続きだと脆いからな…俺のとこは島国で海っていう自然の防壁があったからコレで良かったんだよなぁ」


レインはアキトの大きな盤面での戦いを話されて唖然とする。


「なんだか要らない戦場という場の知恵が…」


「戦場は大事だ。怪物だろうと人だろうと戦う場は注意しないと足元(すく)われるぞ」


力説しようとするアキトに今は不必要とレインは慌てて遠慮するのであった。


ーーーーー


場所は冒険者組合に移り明日からの仕事を求める。

レインは張り切っているが流石に首都でモンスター騒ぎはなく単純な仕事ばかりで少し気落ちする。

それを見てアキトは笑う。


「平和だな」


「折角気合い入れたのにぃ」


帝都でも仕事はこんなもんだったとアキトは笑う。

とりあえずアキトは簡単な小銭稼ぎを受注しレインは手紙を配送依頼する。

そこで真の任務である内情視察を思い出したのか急に辺りを気にしだすレイン。遠目に見ていたアキトは分かりやすすぎるとその様子をまた鼻で笑う。

そんなレインに男達が近寄る。


「今夜の相手をお探し?」


「オレ達が相手してあげるよ」


またかとアキトは頭を抱え、レインはアキトに助けを求めて名前を呼ぶ。


「ち、違います。アキトさまー!」


呼ばれて仕方なく近付くも男達は関係ないとレインの腕を掴んで下卑(げび)た笑いを浮かべる。レインの目が鋭くなってアキトも喧嘩はマズいと男達の前に割って入る。


「ツレだ、悪いな。女漁りはヨソでやってくれ」


アキトの頭の上の数字を見て男達は逆上して殴り掛かってくる。


「ナメんじゃねぇ!」


顔面で受けつつ微動だにしないアキトに男達はありえないと一歩下がる。アキトはキッと男達を睨みつける。


「失せろ、喧嘩したいなら別だが…」


殺気にビビり舌打ちしながら男達は去っていきレインはアキトを心配する。


「だ、大丈夫ですか…?」


「まぁ、この程度怪我には入らないって」


頬を軽く押さえてアキトは笑ってみせる。一応レインはハンカチを取り出して気にするが軽く赤くなっている程度で大したこと無く目を丸くする。


「凄い音したのに…」


「じゃあ向こうの拳が砕けたかもな。ハハハ」


困惑する一言にちょっと引くレインなのであった。


二人が組合から出ると一仕事終えた知り合いがやって来る。


「あ!アキトさん!いらしてたんですねー!」


「よお、レックス。無事で何よりだ」


アキトは片手を上げて軽く挨拶を交わし女性陣はお互いにしっかり会釈をし合う。

レックスはちょうど良かったと食事に誘ってきてアキト達は仕事は明日からだしと快諾する。


ーーーーー


夕食、一つの宅を六人で囲み持ってる山葵を折角だからとおろしたてを振る舞う。

慣れないその特殊な味に5人は悶絶しアキトは鼻に抜ける辛さに「コレコレ」と喜ぶ。


「な、何ですかコレ?!」


レインが鼻を摘みながらツッコミを入れる。


「わさび。鼻に抜ける辛味がいいんじゃないか。わさび醤油最高!」


「独特すぎます!香辛料っていうから舌がピリつくものかと…」


「それはコッチ」


山椒をチラチラされてそっちが良かったとレインは苦い顔をする。


「わさびは生だから消費したかったんだよね」


肉にも魚にも米にだって合うとパクパク食べるアキトに5人は面食らう。


「米なんて私達食べるのに勇気いるのにあんなに食べ進めてる…」


シシーが呟きアリスが頷きミラベルが(いぶか)しむいつもの流れ。

レックスはアキトに近付こうと強くなる為とわさびを使ってオカズを堪能する。


「辛い!でも確かに鼻に抜けるこの爽やかさ…きっと何かある!」


(別に何かある訳じゃ無いんだがなぁ…)


レックスの頑張る姿を応援しながら悶絶する女子達を嘲笑うアキト。

食道楽のレインも頑張るレックスに感化され色々試してみる。


「クセになる…ですか、やっぱり初めては慣れないものですが…普段味わえないんです。覚えます!金貨1枚…」


価格を聞いてシシーはアキトを馬鹿だと(ののし)り戦慄するレックス達。

アキトは「気にするな食え」とにこやかに語り勿体ないオバケと化した若者達を香辛料の沼にハメようとするのであった。


ーーーーー


食後、ヒーヒー言っている面々、レックスは何とか話の本題をひり出す。


「ちょっと依頼の手伝いを…」


「手伝い?」


アキトは出された依頼書を確認する。


(竜退治か…確かに荷が重そうだな。どれどれー成る程、飛竜(ワイバーン)か)


チラッと面子を確認してレインにも見せる。


「竜退治!?私見た時こんなのありませんでしたよ?!行きたい!」


「だそうだ。行くか」


レインの一言でアキトは報酬はちょっとで安請け合いする。


「となると薬草採取はキャンセルだな。俺がやっとく」


レインは訓練できるとホッとしてアキトにそういうのは任せてしまうのだった。


組合でキャンセル料を支払いアキトは情報収集を一人で始める。

アキトはレックス達が受けた竜退治、なぜそんなものが現れたのか気になっていた。

キャンセルついでに受付嬢に尋ねると少し困った顔をしながら返答される。


「近頃海を越えてモンスターが侵略してくると聞いている。貴方はレベル低いから海辺の街には行かないほうが身のためですよ?」


海の向こうと聞いてアキトは腕組して考え込む。


「海の向こうってのは何があるんだ?」


「さぁ…組合でもそこまでは…」


未開の地と聞いてアキトは目を輝かせる。自分が求める敵が居るかもしれないと胸が高鳴る。


「行かないほうが…」


「心配ありがとう。レベルは嘘だから気にしなくていい」


頭の上を指差しアキトはワクワクした様子で組合を後にするのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ