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「シェーラさん!」
「あ、リンくん、どうしたの?」
全力疾走をし続けて息が上がり肩で息をしてしまっているので返事が出来ない。
周りから奇異の目線を向けられながらも言いたいことを話した。
「ハァ、あの、ギルドマスターに、ハァ、合わせてくれませんか?」
「ギルドマスターに?分かりました、着いてきて下さい」
未だに少し息は上がっているが先程よりマシになった。
親子だからだろうか、シェーラさんは遠慮なく堂々とギルドマスターのドアを開けた。
「おおーシェーラか、それとリンくんだね。よろしく頼むよ」
「はい、よろしくお願いします」
「それじゃあ座って、シェーラはお茶でも入れてくれ」
「分かりました」
進められるがままに椅子に座る。
「それで、何が起こった」
「……これを見てください」
ポケットから先程の石を取り出した。
あの男からパクって──ゴホン、情報提供と物的証拠を貰ってきたのだ。
「…ふむ、私にはただの魔石にしか見えないが」
「これを、見てください。信用されるかは分かりませんが」
自分の鑑定した結果を紙に書いたものを提出した。
最初は怪訝そうに見ていたギルマスではあったが次第に目を見開き始めた。
「……対処方はあるのか」
「今からやるには確実に時間が足りません。唯一の対処方は魔物の殲滅、ただそれだけです」
「そうか、ならば使い魔で他のギルドへ協力を仰ごう。人的被害は免れないだろうし復旧にも時間は掛かるな。まぁこれなら国軍が動いてくれるだろうが」
「取り敢えず理事長、アルガスさんに連絡出来るのならばお願いします」
「どっちにしろ学院を避難場所にするから連絡は位はいいだろう」
ギルマスは立ち上がり窓から紙を持たせた使い魔を飛ばした。
「……ギルドマスター」
「ん?なんだい?」
「巻物を頂けないでしょうか」
「まぁ、何でもいいなら一つ余ってるのが有るからいいが……何をしでかすつもりだ?」
「まぁそれは見ていただければ」
因みにスクロールは防犯カメラにも付与する為に使用した道具だ。
一度限りではあるがその魔法を使えるという便利なものだ。
まぁその分値段は跳ね上がるが。
「実は、こうすると──────よし、くっついた」
僕はシェーラさんやギルマスに見られながら作業をした。
とは言っても自分の手持ちの禁呪並に頭おかしい物しか書いてない本とスクロールを重ねて魔力を限界まで流すだけだ。
そうすると一段階限界が突破する。
これもこの本に書かれていた。
「さて、これで自動製造が可能になったかな」
試しに鉄と火薬を本の上に奥と吸い込まれるように消えた。
そして十秒ほど経つと虚空から銃弾が五つ、自分の手に落ちてきた。
「「おおっ!」」
自分の周りの二人から声が上がった。
新しく追加された機能は自動製造。
製造時間も最長五時間という錬金術師が要らないレベルまで来た。
そうやってほのぼの空間を作っていると外から走って来る音が聞こえた。
「ギルドマスター!大変です!城壁から魔物の大軍が見えます!」
「もうか……意外に速かったな」
報告をしに来た職員は額に汗が滲み出ており、焦りを隠せていない。
「……この街にいる冒険者全てに集合をかけろ。全員だ、誰も欠員を出すな」
「は、はい!」
男はそう言って走り去って行った。
そして後に残されたの空気が重くなった部屋だけであった。




