<お土産っていうたら>
消えモンが鉄板やろ。クッキーとかサブレとか饅頭とか。
あー…饅頭はあるかなぁ。温泉ちゃうしなぁ。
「あ、千紘。キーホルダーとかはやめたれよ」
『どうして?』
「山田に供えてもどうしようもないやろ?せめて食いモンにしとこうや」
『あ……そっかぁ』
「そしたら、下げた後は俺とお前で食える!これぞエコ!!」
『エコ!!』
「あと、凪に買うのも同じやつにするんやで?」
『え?』
「凪の方にええモンやったら、絶対山田が文句言う。間違いない」
『……あー……うん、わかった』
もの分かりのええ奴は好きやで。
山田が文句言うって言葉に千紘がなんか納得してたんが笑えるけど。
結局千紘がうんうん唸った末に選んだお菓子と、もうひとつだけ買って、俺らは遊園地を出ることにした。
俺はようやく解放されたんや……!!
あっ、生乾き臭で服くっさ!!
で、今おるのはコンビニや。
中で見るのはちょっとアレやってんけど、有り難いことに店内から外に向けてポスターとかでメニュー貼っててくれたから助かった。
コンビニの店内スイーツが美味すぎるで有名なアソコや。
良かった、来るときに目ぇつけといて。
「おーい、ちひろー決まっ『待って。』
…………めっちゃめちゃ真剣な目で見とる。
「俺そろそろ買いに行『もうちょっと待って!』
…………ものっそい目で吟味しとる。
まぁなぁ。ソフトクリームも美味いけど、ここ、パロパロとか、パフェとか、やたら美味そうなんが並んどるからなぁ…。
『おにーちゃん』
「なんやー」
『決められない……』
うるうるした目でこっち見んのやめてくれる!?
「なんや、どれで迷っとるんや」
『ソフトクリームか、パロパロのいちご……』
「ソフトクリームは、味はなんでもええのんか?」
『うん』
「ほんなら、パロパロのいちごと、ベルギーチョコのソフトクリーム買ってくるわ」
『ええっ!?』
めっちゃ甘そうなラインナップすぎて、俺は既に胸やけしとるけど。
とりあえず両方買って、俺は千紘を連れてコンビニの裏手近くに回った。
千紘にパロパロの容器を持たせて、車のタイヤ止めを椅子代わりに座る。
ちょうど、道路と水平になっとるから、奥に千紘を座らせたら俺の身体でまぁバレんやろ。
スプーンを袋から出してやって千紘に持たせると、さっそく食いつきよった。
『んんんんんんん!!!』
足をジタバタさせて、ほっぺた真っ赤にして喜んどる。
めっちゃ美味かったんやろうな。
その横で俺はチョコソフトや。あっま。めっちゃあっま。
さっきからチラチラと千紘の視線が可愛いねんけど。
言いたくても言えない、そんな感じや。
「なぁ千紘、そっち一口くれへん?俺のも一口やるから」
『うん!!!』
取れるんちゃうかって思うぐらい、千紘が首を上下に振る。
……一応、幽霊やし取れてもおかしないんやけどな……いや、想像はやめとこ。
「ほれ、あーん」
『え?』
「はよ、溶ける!あーんして食え!!」
『あ、あーーーんっ!』
「食いすぎやぁ!!」
ソフトクリームの3分の1ぐらいが一口で消滅した。
どんだけ食いたかってん。
『んんんんんん!!!!!』
こっちも美味かったらしい。
俺もパロパロを一口もろた……けど、チョコの甘さで既に舌が死んでて、正直ようわからんかった。
「で、どっち食べる?やっぱりパロパロか?」
『うーー……うぅ……』
自分の見たり俺のを見たり、ほんま忙しい奴っちゃで。
「ほんなら、半分こで、どうや?」
『半分こ?』
「おう。こっち半分くってもええ。その代わり、そっちも半分俺に寄越しや?」
『……うん!』
めっちゃええ笑顔で、千紘は大きく頷いた。けど。
『でも、おにーちゃん。こんな、お外で食べててもいいの?』
「うーん、歩きながら食べるんやったらお行儀悪いよなぁ」
『こうやって座ってるのは?』
「まぁ、見た感じ“ここで食べないでください”的な貼り紙がないならええやろ。もちろん、そういう注意があったらやったらあかん」
『でも……』
「おっ?なんや?ちょっと悪いことしてる気分になってきたんか?」
『うん……』
「そう思うやろ?俺もお前ぐらいん時は、なんかこうやってコンビニ横で食うの、悪いことしてんなぁって気分になっとったわ。けど、実際は……たぶん、悪いこととちゃう」
『たぶん?』
「お店の人が、やめてくださいって言うてきたら、やめなあかんけど。けどな、たったひとつのルールを守ったら、俺はええと思うとる」
『ルール?』
「ゴミをポイ捨てせんこと。お前が持ってるその容器とスプーンを、食い終わったからって、その辺にポイっと捨ててまうこと。それだけは絶対にやったらあかん」
そう言ってから、俺は殻になった容器・スプーンと、ソフトクリームの持ち手やった紙とを持って、コンビニ横に設置されてるゴミ箱に捨てた。
「ほい、これでおしまいや」
『え?』
「美味しいモン食って、でもゴミはちゃんとゴミ箱に捨てた。俺らはええ子や」
『そっか……そっかぁ……』
何やら一人で納得したんか知らんけど、千紘はずっと頷いとった。
ほんなら、帰ろか。電車に乗って。
めっちゃ生乾き臭する俺が乗ります。
ほんますんません、おけいはん。
帰ってから、既に帰宅しとったらしい凪にお土産を渡して、ふいに冷蔵庫横に視線を送る。
お供え物の台に、買ってきたお土産を乗せて、千紘が手を合わせとった。
「なんか……幽霊が幽霊に手を合わしてるって……シュールすぎひん?」
「俺は山田さんが見えへんから何とも言えへんけど……可愛らしてええんちゃう?」
「まぁ……うん、せやな。千紘がそれでええならええんやろ」
俺と凪にコーヒーを、それから俺がさっきお土産と一緒に買うたやつに牛乳を入れて。
「おーい、千紘。牛乳入れたで~」
『あ。うん!…………あっ!?』
「これは、今日からお前専用のマグカップやで」
『……う、うんッ!!』
遊園地のロゴの入ったマグカップ。
記念にはちょうどええやろ?
『おにーちゃん、また行こうね!!』
「あー……次は俺がひらパーお兄さんになれたらにしよか……」
【千紘くんの楽しい一日】おしまい!
次回へ続く!!
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