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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二巻 旅の仲間
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旅の仲間  死闘 4

 見ると、そこに1人の男が立っていた。派手な黄色い、妙な形の服を着ている。

 「アズマ」の服のように前を重ねて合わせ、腰の辺りを帯で締める物だが、アズマの服は下はスカートのように広がったズボンだが、この男のズボンはゆったりしているが、すね辺りで細い靴下のような物でまとめられていた。

 裾もアズマはゆったりしているのに、この男の服は裾を布でくるんでまとめている。動きやすそうだが、とにかく派手だ。

 そして、細長い耳に少女と同じエメラルドグリーンの髪。不適ないたずらっぽい笑みを浮かべているが、若々しい顔の作りは美しい。

 間違いなくハイエルフだ。


「うちの娘を救ってくれてありがとうでござる、少年」

「あ・・・・・・ああ」

 俺の足の力が抜けて、その場に膝をつく。

 突然現れたこの男、俺が助けたこの少女の父親のハイエルフだ・・・・・・。これで終わったのか・・・・・・。


「カシムさん!!??」

 はしごを上がって来て、俺を魔法で助けてくれた女の人が俺の元に駆け寄ってくる。誰だ?俺を知っているようだけど・・・・・・。

 痛みと疲労と、緊張感から解放された脱力感で動けずにいる俺の視界に、女の人の姿が飛び込んできた。


 ああ。覚えがある。

 王城で道に迷っていた吟遊詩人の人だ。

 謁見の間で美しい歌を歌っていたあの人だ・・・・・・。


「さて、この魔法使いには眠っててもらうでござるよ。魔法も使えないようにするでござる」

 黄色い服のハイエルフは、小声で空中に何かささやきかけて、空中を優しくなでるようにして指先をゼアルに向ける。そして、「昏倒の術!」と言うと、ゼアルが白目をむいて床に倒れる。

 なんだ?精霊魔法じゃないのか?


『エリサール・エレサール。エリサール・エレサール。慈愛のマナを用いて彼の者の傷を癒やせ。水の神ウテナの名において、我が命ず。リアリエンス』


 歌うような魔法詠唱が耳元に聞こえる。頭の痛みが少しずつ和らいでいく。回復魔法だ。


「あ、ありがとう。き、君はあの時の?」

 疲労からボンヤリする頭で尋ねた。女の人は優しく微笑む。まるで美の女神のようだ。

「リラです、カシムさん」



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