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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二巻 旅の仲間
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旅の仲間  悪魔の鎧 2

 地面に叩きつけられる前に、身を翻して足からの着地に成功するが、一瞬膝から力が抜け、片ひざを付いてしまう。思ったよりダメージはでかいようだ。

 鎧の奴、速くなってきてる。攻撃にも変化が出てきている。


 すると、奥で高みの見物を決め込んでいる魔法使いが手を叩く。

「いいぞ~。段々馴染んできているようだなぁ」

 まさか・・・・・・。

「時間が経つほど、どんどん強くなってしまうぞ。どうする?」

 魔法使いが笑う。その様だ。どうする?考えろ。

 悪魔の鎧の元は、狂った人形師の作った魔人形。魔法でも呪術でもないのに動く殺人人形だ。あの魔法使いが長年研究して、動く仕組みを見つけ出す。


 仕組みは俺にはわからんが、人間を鎧の中に入れる事で鎧を動かす仕組みで、あの悪魔の鎧にはハイエルフの子どもが入れられている。んん?って事は?!

「うお!!」


 ブンッッ!!


 再び迫ってきた鎧の剣が俺を襲う。思いっきり後ろに跳んで避けるが、鼻先をかすめる。もうギリギリになってきた。


 後ろに跳んだ勢いで、壁際まで走って逃げる。鎧は攻撃の後、少し硬直して方向転換に時間が掛かるようだ。その隙に距離を稼ぐ。そして、ファーンの近くまで走って逃げる。

「ちょ!?バカ、こっち来んな!」

 ファーンがふざけた事を言いながら、足で「あっち行け」をする。手は手帳に何か書き込んでいるのに忙しそうだ。コイツは何をやってるんだよ。


「いいから協力しろ!お前は窓を塞いだ鎧を調べてくれ!」

 魔法使いに聞こえないように小声で指示を出す。

「やだよ!オレはオレで忙しいんだよ!」

「バカな事言ってる場合じゃない!あっちの鎧の中にも、どうやら誰か捕らえられているようだ」

 そう。鎧を動かすのに、人間が動力となるからには、窓を塞ぐ為にわずかでも動いた以上、あの鎧にも誰かが入れられているに違いない。

 俺の言葉を聞くと、ファーンは表情が変わる。

「そういう事なら仕方ねぇ」


「お前は、あの鎧からどうやったら中の人を助け出せるか調べてくれ」

「わかった。・・・・・・でも、あいつがそれをほっとくと思うか?」

 確かに魔法使いがそれを放置しているとは思わない。

「大丈夫だ。それは考えがある。ただし短時間だけだ」

 俺が言うと、ファーンは迷わず答えた。

「よし!じゃあ、頼んだぜ!」

 迫って来る鎧から逃げるように、ファーンが勢いよく窓を塞いだ鎧の元に走る。

「そっちこそ!」

 俺はファーンに言い返すと、正面に迫って来る鎧に向かって、剣と剣鉈を構える。



 鎧の攻撃を受けるのはマズイ。受ければ受けるほどダメージが蓄積してしまう。

 鎧に対してはこっちの攻撃は効かなそうだし、効いても困る状況だが、救出のヒントを得る為にも、攻撃を仕掛けてみるべきだ。

「シィィィツ!」

 鋭く息を吐きながら、剣で鎧の腕を切りつける。鎧は剣で受け止めようともしないで、そのまま攻撃を受ける。

 ギャリィィ!

 金属音が鳴って、いともたやすく弾かれる。そして、攻撃を防御する必要のない鎧は、この隙を見逃す事なく横薙ぎの一閃を繰り出す。

 当然俺はそれを読んでいたので、のけ反って避けつつ、右手の剣鉈で攻撃してくる大剣の側面を下から迎撃する。

 ガインッ!


 剣鉈に攻撃の方向を逸らされて、鎧の剣は、体をのけ反らせた俺の顔の上を通過する。が、油断は禁物だ。人間と違い、筋肉の負荷を考える必要の無いこの鎧は、急に剣の軌道を変化させる事が出来る。

 顔の上を通過しかけた剣が急に向きを変えて、俺の顔面目がけて落下してくる。


 俺は、仰向けにのけ反った姿勢から、右足を軸に反転して、うつぶせ姿勢になり、右足のひざと両手の肘を地面に付くと同時に、左足を真後ろに蹴り出す。

 振り降ろされてくる剣に対して、完全に背を向けて四つ這いになる体勢なので、かなり怖いが、この蹴りは、両肘とひざを発射台とした蹴り技で、(本来なら手のひらを付く)イヌが後ろ足を後ろに伸ばしただけにしか見えないような、残念な見た目以上の威力がある体術だ。

 人間相手だと、一瞬視界から消えるので、無防備な相手に強烈な一撃を与える事が出来る技だ。

 「三支脚砲打」と言う技だが、名前がちょっと長い。「砲打」とか「砲脚」で良いんじゃないかとも思うが、そんな事祖父には言えない。


 ガシャンッ!


 実際、鎧のひざ部分に当たると、2メートルを越える怪力の鎧が、後ろによろける。

 下半身が軽い?!しかもあの感触は空洞だ。鎧がよろけた瞬間、俺はすかさず立ち上がって後ろ回し蹴りを胴体に叩き込んだ。

 ゴッッッ!!


 かったい~~~~!足の骨がじんじんしびれる。

 だが、よろけていた鎧は更にバランスを崩し、後ろに倒れそうになる。

 更に、足からの感触で、胴体部分に重みを感じた。

 大体わかった。ハイエルフの子どもは、あの悪魔の鎧の大きな胴体部分に膝を抱え込むような姿勢で捕らわれているのだ。

 つまり、胴体以外は攻撃しても大丈夫と言う事になる。

 ・・・・・・たぶん。


 剣の斬撃は全く効かないが、打撃などの衝撃はある程度効果がありそうだ。少なくとも動きを止める事は出来るかも知れない。特に下半身が軽く隙もある。

 俺は剣を構えながら、体術で挑む為に、前傾の姿勢から、後傾の姿勢に変える。左足が後ろで軸足として、右足で蹴り技を放つのに適した構えだ。


 神経を研ぎ澄ませて鎧との間合いを計る。鎧が剣を突き込んできた。速い!!

 だが、俺も利き手である右手に思いっきり力をいれて、突きに来た剣を払い、軌道を俺の左側面を通過するように逸らしつつ、左の剣鉈で更に下から切り上げて、完全に相手の大剣をかち上げる。

 鎧の体勢が伸びきった瞬間、俺は相手の胸を蹴り上げようとした。しかし、俺の下から黒い塊が急接近する。

「まさか!?」

 そう思った瞬間、俺の体は天井に激突していた。

「ぐはっっっ!!」

 恐らく、俺が鎧の剣をかち上げたその勢いを利用して、鎧は下からの蹴り上げを俺にしたのだろう。しかも後方宙返りをする事で威力も上がる攻撃となる。

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