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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二巻 旅の仲間
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旅の仲間  謎の塔 2

 翌朝、俺は早速探索の準備を整える。

 大きな荷物は村に置いておいてもらって、必要最低限の荷物をウエストバッグに入れ、武器をしっかり装着する。使うか迷っていた額当ても装備する。額当てとは言え、側頭部から頭頂部までを守ってくれるハーフメットだ。


 ファーンはさすがに慣れたもので、俺より遅く起きたのに、もうすっかり準備が終わっている。起きた瞬間に出発できるぐらいだった。

「まあ、十中八九、そのハイエルフ一家が怪しいよな」

 ファーンが言う。

「あいつら、どんな力があるのかよく分かってねーし、神だの魔神だの、あの闘神王でさえハイエルフには手を出せないくらいおっかない奴らなんだろ?塔建てるぐらい訳ないんじゃないか?」

 俺もハイエルフが関係してるとは思っている。

 でも、だったら何で、わざわざ人間の業者を雇ってまで、村の端っこに家なんか建てさせたんだろうか?

 ともあれ、塔の場所は地図に描いてもらっているので迷う事はないだろう。

「じゃあ、行くか」

「合点承知!!」




 昼過ぎにはくだんの塔に着いた。

「あれか?」

 ファーンが緊張した様子で言う。

「結構雑な作りに見えるな・・・・・・」

 遠目から、木々の間を縫って見ているので、はっきりした事は言えないが、考古学者的に見ると、「なってない」としか言いようが無い。

「調査するにしても、まずは腹ごしらえだな。ヒヒヒ」

 ファーンが笑うので、俺も頷く。

 村長がわざわざ昼食を弁当にして持たせてくれたのだ。有り難い。


 弁当を食ってから、俺たちは慎重に塔に近付いていった。

 用心に用心を重ねて風下から近付いたので、遠回りにぐるりと迂回して接近した。

 結構エルフの大森林ギリギリを通った。


「ちょ、ちょっと、近くねぇ?」

「お、おう。これは・・・・・・怖いな」

 俺もファーンもはじめってエルフの大森林を間近に見てしまった。その境界は一目見て分かった。

 木々がいきなり大きくなり、何だか紫っぽい幹で、ぎっしりそびえ立っていた。見ただけで恐ろしい雰囲気で奥などとても見通せない。

 本能が「入るな」と全力で警告していた。あれは恐ろしい森だ。

 


そんな事がありながら、俺たちは塔に肉薄した。

 森の中にあって、木々を切り開いて出来た円形の空間に、円筒形の塔が建っていた。

 だが、高さは15メートルほどでそれ程高くなく、階層としてもせいぜい3~4階だろう。

 建物の直径は35メートルくらいか。切り株の様とも言えるかな。


 素材は木材だ。

 かなり粗い造りで、継ぎ目に隙間が有り、適当に草か何かを埋め込んで塞いでいる。

 素材は森の中なので困らないだろうが、製材などはどうしたのだろうか?

 ハイエルフの魔法で造ったのかな?よく分からん。


 外からは分からないが、もしかしたら地下にも部屋が広がっていたりするのかな?

「ダンジョンか?」

 俺がつぶやくと、隣のファーンは首を傾げる。

「どうだろうな。・・・・・・でもよ、ダンジョンだとするならば、魔神か神の仕業か?」


 神や魔神はダンジョンを作る。

 だが、それなら、ダンジョンの場所は公開するし、攻略して欲しいのだから人がそれなりに来やすい場所に設置する。

 彼らがダンジョンを創る主な目的は、人に入って貰う為なのだ。

 人がダンジョンに入ると、それだけダンジョン制作者の「力」に返還されるシステムになっている。なので、彼らはダンジョンを造って管理することを「迷宮ダンジョン運営」などと呼んでいる。これもリザリエ様の魔法改革による恩恵だ。


 しかし、エルフの大森林のすぐ近くなんて、人が滅多に近寄らない場所に設置するダンジョンと言う事は・・・・・・。

「これはマズイかも知れないな」

 俺がつぶやくとファーンも同意した。

「ヤバそうだな。可能性としては3つか?」

「ああ。まずは魔神に依頼して人間が建てた塔。次に邪悪な魔法使いの研究所。あとはよからぬ連中の秘密基地」

「待てよ・・・・・・?って事は、ハイエルフの線は消えるって事か?」

 ああ、そうだな。

「う~ん・・・・・・。じゃあ、ハイエルフ陰謀説。これで4つにしとこう」

「おお、いいね~。もっとない?」

 ええ~と・・・・・・。うん。考えれば可能性はいっぱいあるな。

「いや・・・・・・恰好つけるのはやめとこう。俺たち2人とも白ランクのボンクラ2人組だ。可能性なんてきっと山ほどある。わからないんだから探索しに行こう」

 俺が割り切ると、ファーンも「それもそうだな、ヒヒヒ」と笑う。エルフの血が混じってるだけあって、ファーンは顔だけは可愛い感じなのに、その笑い方なんだよと思うが・・・・・・まあ、突っ込まないでおこう。



 俺は「無明」で内部の様子がわからないか探ってみる。塔の内側となるとほとんどわからない。だが、少なくとも俺のわかる範囲には誰もいない。

 しかし、妙な気配は塔の中から感じる気がする。何かはいるらしい。

「用心して進むぞ。ヤバそうなら無理せず撤退する」

 俺は小声でファーンに伝える。

「そりゃそうだ。オレたち白ランクだもんな」

「その通りだが、報告する責任があるからな」

 俺の言葉にファーンが頷く。

「それも冒険者として大切な仕事だしな」


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