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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二巻 旅の仲間
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旅の仲間  冒険開始 1

 俺は勢いよく冒険者ギルドから飛び出した。

 大きな階段を駆け下りて街道に出ようとすると、すぐ前から「よっ!カシム」と声をかけられた。

 声の主はすぐさま俺に並走する。

「よ、よお」

 俺が言うと、そいつは明るく笑う。

「おいおいカシム!そんなに慌てたら余計目立っちまうぜ!」

「いや、でも・・・・・・」

「バッカだな。いいかカシム。ここは別名『迷宮都市アメル』だ。一本道を奥へ行ったらもう迷路みたいなものだ。誰も追いかけちゃ来れないっての!」

「お、おう!そうか!」


 俺はそのまま2人で連れ立って走って、リア街道を横断して一本南の道に入り込んだ。すぐに道は何度も折れ曲がり、十字路や、建物の下をくぐったり登ったり。

 俺の方向感覚は、あっという間に失われた。

「まあ、俺たちも、もれなく迷っちまうんだけどな!」

 俺の隣の奴が足を止めて笑う。


「お、おい・・・・・・」

「いや、すまん。笑い事じゃなかったよな。こりゃあ、恥を忍んでアメルッ子に道を尋ねるか!」

「いや、そうじゃないだろ」

「ん?腹でもすいたのか?しょうがない奴だな」

「いや、そうじゃないだろ!」

 俺はしばしの混乱から立ち直って、ようやくこいつを怒鳴る事が出来た。

「お前、誰だよ!!?」


 そうなのだ。あまりに自然に名前を呼んできたから、つい知り合いかと思ったが、どう頭をひねってもこいつの事を俺は知らない。


 見た感じ長く尖った耳で一見してエルフだとはわかる。ただ、髪の色が薄い黄緑や金髪ではなく、くすんだ黄色っぽい色合いである。前髪も含めて肩に届かない長さだ。

 肌も真っ白では無く人間に近い色で、うっすらとだが日焼けもしている。とすると、エルフと他種族の混血であるハーフエルフだと思う。

 年齢は俺と変わらないと思うが、背は俺より頭半分低い。



 俺にこんな人間くさいハーフエルフの知り合いはいない。

「いや、オレだよ、オレ!ファーンだよ!」

 目の前のハーフエルフの男が名乗ったが、やはり知らん。

「だから誰だっての!?」

 するとファーンと名乗るハーフエルフの男は手を挙げる。

「いや、スマンスマン。オレはまあ、怪しいもんじゃない。冒険者だ」

「・・・・・・見ればわかる」

 ファーンはオレと同じように鉄の胸当てとアームガードにすね当てという軽装の防具に、2本のダガーらしい武器を左右に下げている。

 薄汚れた胸当てに白いプレートを打ち付けているからには白ランクの冒険者だろう。背中に大きなリュックを背負っているのも俺と同じである。


 

「まず、自己紹介しよう。オレはファーン・ストミー・ストーン・ユンダ。名前だけはエルフ式だが、ぐずぐずのハーフエルフの雑種だ。所謂いわゆるハイエルフ』ってやつだ」

 ファーンは自分から差別用語を使ってくる。

 「雑種」というのは他種族との混血種ハーフ蔑称べっしょうだし、廃エルフってのは、ハイエルフとかけての蔑称になっている。

 ハーフエルフ達はその蔑称に対して神経質なのだ。

 


 エルフは平均300歳の寿命を持つ長寿種である。

 長寿種ならではで、同族同士だと出生率はそれ程高くない。一方で人間族とのでは出生率は高まるらしく、ハーフエルフはそれ程珍しくない。

 ハーフエルフでも、エルフ寄りの特徴だったり、見た目では人間族と全く区別が付かない人もいる。



 エレスには、「エルフ」と「ハイエルフ」という種族がいる。

 ハイエルフが「祖」であり、そのハイエルフ同士の子どもでも、精霊界、つまりはエルフの大森林の中で生まれるか、外で生まれるかで種族が変わってしまう。

 

 ハイエルフは、一説には寿命そのものが無いらしい。

 食事も水分も必要なく、睡眠も取らずに活動し続けられるらしい。他にも様々な点で、エレスにおいて確実に最上位種族である。

 なかでも精霊魔法を扱う事が出来る唯一の種族で有り、その威力は通常の魔法では決して有り得ないほど強力なのだという。

 神も魔神もハイエルフを恐れ、グラーダ陛下も、狂王騒乱戦争の時もエルフの大森林には決して手を出さなかった。


 現在は、最強の冒険者パーティー「歌う旅団」にピフィネシアさんというハイエルフの女性がいて、活躍しているが、その他にハイエルフがエルフの大森林の外で活動していると言う話しは聞いた事が無い。



 エルフの大森林の外で生まれたエルフは、世代を経ると、その特殊な力も引き継がれなくなり、第五世代から普通のエルフ族となる。

 

 

 ファーンの自己紹介は続く。


「ランクは白で、レベルは3。職業は『探究者』だ」

「ん?『探究者』ってなんだ?」

 なんとなく考古学者と似た雰囲気の職業名に俺は少し興味を引かれた。

「おお。よくぞ聞いてくれた。探究者ってのは、『マスター』を目指す者たちの職業名だ」

 ファーンが誇らしげに胸を張る。

「マスターって、あの『歌う旅団』の『黒い稲妻』アインの?」


 俺は知っていた。「マスター」っていうのは、全ての近接武器を扱う事ができ、全ての防具も装備出来るという、近接戦最強と目されている職業だ。

 そして、最強のパーティーとして名高い『歌う旅団』のメンバー「マイアス・アイン」の職業名だ。ちなみにアインは獣人で、獣人国ではファーストネームが後ろに来て、ファミリーネームが前に来る。東の島国アズマ国と同じ名前の表記となっている。


 俺が驚くと、ファーンが得意そうに言った。

「おお。良く知ってたな。・・・・・・で、何を隠そう、オレはそのアインの弟子で、3年ほど一緒に旅してたんだぜ!!」

「あ、それは嘘だ」

 俺は即座に断言する。アインの弟子がLV3って事はないだろう。

「ば、お、お前!マジだっての!!」

 うさんくさい。実に怪しい男だ。


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