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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二巻 旅の仲間
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旅の仲間  冒険者登録 6

 それにしても、さすがはアメルの冒険者ギルドだ。常に沢山の冒険者が出入りしている。受付も広く、何人もの受付担当のごっつい職員がいて、冒険者たちとやかましく言い合ったりしている。


 受付の隣にある換金所もかなりの賑わいと騒々しさだ。壁で仕切られているというのに、殺伐とした怒鳴り合いの声がここまで響いてくる。

 そんな怒鳴り声を誰も気に留めていないところを見ると、日常茶飯事な光景なんだろう。

 受付の前の壁には沢山の依頼書が、所狭しと貼り付けられているが、受付で受けるべき依頼を相談する事も出来る。


 冒険者は世界中からやってくるので、エレス公用語の文字を読めない人もいる。

 なので、言葉だけでもやりとりできるようになっている。

 大きな冒険者ギルドでは公用語が話せない人の為の人員も配置されている。

 


 そんな事を考えていたら、窓口からジャスミンが大声で俺を呼ぶ声が聞こえた。

「カシム!おい!カシム!!!」

 受付カウンターから身を乗り出して必死に手招きしている。


 あまりもの剣幕に、ギルドを訪れていた他の冒険者たちも、他の受付の職員も呆気にとられて注目する。俺はただ事ではない様子に大慌てでカウンターに駆け寄る。


「どうしました?何か不都合でもありましたか?」

 ジャスミンは興奮した様子で大声で言う。

「いや!不都合とかはない!冒険者登録は済んだ!!」

 そして、叩きつけるような勢いで冒険者証と白ランクのプレートをカウンターに置く。

「ああ!白ランクだが、冒険者登録おめでとう!!!」

 目をむいて俺を見ながら、ジャスミンは律儀に祝福の言葉を述べる。


「いや、それどころじゃない!お前いったい何モンだ?!!お前に名指しでとんでもない依頼が来てるぞ!!!」

 ギルド本部全体が静まりかえった。

 名指しの依頼とは、かなり有名な高ランクの冒険者が受けるべきものだ。

 少なくとも、今登録が済んだばかりの冒険者が名指しされるはずなどない。

 俺は慌てる。何の事かわかったからだ。

 ジャスミンの口をふさぎたかったが遅かった。興奮したジャスミンが、我を忘れてすっかり静まりかえり、このやりとりに全員が耳も目も傾けているギルド本部全体に聞こえる様な大声で叫んだ。

「『冒険者カシム・ペンダートンに竜騎士への道の探索を依頼する。グラーダ国国王アルバス・ゼアーナ・グラーダ三世』!!!!」

 俺は床にへたり込む。



 一瞬の静寂の後、ギルド全体が割れんばかりの様々な声が轟く。

 驚きの声、怒鳴り声、歓喜の声、興奮した叫び声、悲鳴。もう訳がわからない騒動になった。

 冒険者登録をしたばかりの白プレートが名指しの依頼と言う事もそうだが、その内容が伝説の竜騎士になれという事。

 そして、それがグラーダ国王の名でされた事。

 驚天動地の大騒ぎになって当然だ。


「馬鹿もん、ジャスミン!お前なんて事を大声で言ってる!!!」

 ジャスミンの上司らしい人がジャスミンを怒鳴る。そりゃそうだろう。個人宛の依頼なんて当然守秘義務があるはずだ。

 ジャスミンも言われて慌てて口を押さえるが、一度口から出た言葉はもう戻らない。

「ご、ごめん、カシム」

 ジャスミンが謝った後「ん?」と首をかしげる。

「ペンダートン!?お前、あのペンダートンか?!!」

 またしても大声を上げるジャスミン。上司がジャスミンの頭を思いっきり殴る。だが、上司は冒険者出身ではないようで、殴った方が手を痛めて、手を押さえて座り込んでしまう。


 もう周囲の騒ぎは収まりそうもない。

 俺はひったくる様に冒険者証と白のプレートを取ると「失礼します!!」と叫んで冒険者ギルドから走って逃げ出した。



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