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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二巻 旅の仲間
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旅の仲間  冒険者登録 5

 念写後にいよいよ、職業選択となる。

「ほんと悪いな~、鑑定士いなくて。・・・・・・鑑定したかったろう?」

 ジャスミンがまた詫びる。

「いえ。3月の内に登録しなかった自分のせいですから。それに、鑑定はしなくても困らないです」

 俺が言うとジャスミンは驚いたような顔になる。

「おまえ、珍しいな~。普通冒険者になる奴らは、目の色変えてレベルとかステイタス知りたがるもんだぞ」

「いや、自分のレベルとか知るのってちょっと怖くないですか?」


 レベル1が、一般成人男性。何の訓練も受けていない人の平均値らしい。

 一般男性に比べて、明らかに弱い、例えば、小さな子どもでも、最低レベルは「1」からスタートとなる。


 ただし、ステイタスは「100」が基本値なので、低ければ当然数値も低くなる。

 最低は0。

 これは「力」とかではない。力が0とかはあり得ない事だ。

 ただし魔力は「0」があり得る。もっとも他の数値も一桁なんて事はまず無い。

 では数値がいくつから「強い」となるのかは、俺にはよく分からない。


 そんな中、俺の数値が低かったらかなり落ち込む。騎士の修行はして来たが、俺の周りには俺より強い人ばかりだったのだ。それ故に、俺は自分の才能の無さを常に実感して来た。

 俺の中には劣等感ばかりが溜まっている。それなのに、俺の家族は俺をいつも高く評価するから堪ったものでは無い。



「そっか?まあ、ここなら来月には鑑定士が戻っているから、来月にでも鑑定してみな。強制じゃないがおすすめだ。ギルドなら各支部に必ず鑑定士がいるからな」

 冒険者登録用紙に色々書き込みながら生返事をする。

 1ヶ月半後には俺は死ぬのだ。たとえ創世竜に殺されなくても呪いで死ぬらしい。

 そもそも、ステイタスが多少高かったところで、創世竜相手となるとなんの意味も無い。


「で、職業はなんにする?」

「う~ん」

 少し考える。何だろう?

「考古学者とかじゃダメですか?」

 なんとなく聞いてみた。するとジャスミンが頭をひねる。

「考古学者?なんだそりゃ?・・・・・・あ、いや、考古学者はわかるよ、ドワーフだもん。でも、冒険者としてはどうすんのかな~って思ってな」

 ドワーフは鉱夫、鍛冶師、彫金師などで有名だが、遺跡や地質の調査にも有能なので、考古学者もドワーフの専門家に相談に行く事が少なくない。だから、ジャスミンも考古学者と聞いて、すぐにどんな仕事かイメージできるのだ。


 とは言え、ジャスミンの言う通りだ。冒険者としての「考古学者」か~。確かにわからない。

「いや、ダメじゃないだろうけど、やっぱりわかりやすい方がおすすめだ。誰が聞いてもわかる職業の方が、仲間もそうだけど依頼する方も安心する」

 なるほど、確かにそうだ。モンスターの討伐依頼を受けたのが「考古学者」だったりしたら不安になる。


「あんたは剣が使えるんだろ?戦士とかじゃダメなのか?」

 まあ、「騎士」って職業も冒険者で存在しているのだから「騎士」でも良いのだけど、一般的に冒険者の騎士は盾持ちの重装備戦士だ。味方を敵の攻撃から庇ったりする。

 俺は軽装だからちょっと違和感がある。

「じゃあ、軽戦士とか?」

「うん。良いんじゃないか?武器もちょっと短いし、身軽そうだもんな」

 ジャスミンが賛成してくれたので、俺は職業の記入欄に「軽戦士」と書き込む。


 これで書類が完成した。書き終えた書類をジャスミンに渡す。

 冒険者資格試験料と冒険者証発行手数料を合わせて支払う。60ペルナーなので、こうした資格を取るものとしては、比較的安い。

 60ペルナーだと、そこそこ良い晩飯2回分ぐらいだ。


 冒険者支援は、冒険者の活動による収益よりも、国からの補助金がかなりの割合を占めている。

 貧困層でも冒険者になるチャンスを作る為に、試験料は安く設定されている。


 冒険者と言えば、「一攫千金」が華とされているが、身の丈に合った依頼をコツコツとやっていくだけでも、ある程度収入が得られるので、なり手は多い。


 隔週かくしゅう発行の「ただいま冒険中」、略して「ただ中」という、冒険者の活躍やら、迷宮ダンジョン情報、冒険者紹介や、有名冒険者のインタビューなど載っている雑誌も発行されている、人気の職業ではある。


 ただし、それなりに危険はつきものである。

 依頼の途中で、また、迷宮探索の中で命を落とす者も少なからずいる。


 また、冒険者にはモラルが求められる。

 問題行動に対してはペナルティーや、資格剥奪もあるし、冒険者の犯罪行為に対しては、一般人より罰則は厳しい。

 モラルが有り、弱い人々を守る立場にあればこそ、人々から憧れられたり、頼ってもらえたり、信用してもらえるのだ。

 そう言う意味では、冒険者資格試験の中では、最も「適性試験」が重要なのだろう。


 ジャスミンはざっと目を通すとカウンターから腕を伸ばして俺の肩を叩く。

「オッケーだ!じゃあ、しばらくそっちのベンチで待っててくれ。冒険者証とランクを示すプレートを持ってくる」

 俺は頷くと窓際のベンチに移動する。



 俺は当然「白」ランクのプレートを支給される事になる。このプレートは、冒険者は必ず身に付けていなければいけない。プレートには穴が開いているので、ネックレスにしたりブレスレットにしたり、鎧に直接付けたりすることが出来る。

 基本的に、見えるところ、またはすぐに提示できるところに身に着けるのが原則だ。

 なので、俺は革紐を付けてベルトに付ける予定だ。


 冒険者証は名前とレベルとランクと職業が書かれた身分証明書で、念写魔法で白黒ながら本物そっくりの顔が描かれている。

 この冒険者証は折りたたまれていて、表にはさっき言った表記がされるが、内側にはステイタスなどが書き込めるようになっている。ステイタスが更新されると、再発行となる。

 

 冒険者にはいろんな特典がある。

 ギルドでの、素材や発見した物の買い取りをしてもらったり、任務を受ける権利、パーティー斡旋は当然として、ほとんどの宿屋や食事が取れる店で割引が受けられる。

 装備品を買う時も割引や分割払いが出来るなど。

 だが、そうした特典を受けられるからには条件がある。2年間で一定のノルマ分の依頼を受けて結果を出す必要があるのだ。それが出来なければ冒険者証を失効してしまう。


 執行すると再発行にそれなりの手数料が必要になるし、ランクが下げられてしまうというペナルティーがある。事情があれば期限の延長と言った救済措置もあるが、それ相応の事情がなければ許可が通らない。

 他にも細々《こまごま》とした決まりがあるのだ。


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