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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二巻 旅の仲間
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旅の仲間  冒険者登録 4

 我々地上人というのは、元々、神と魔神との戦争用に、兵士として創り出されたと言われている。

 その為に、もともと体は丈夫で、戦闘経験を積む事で身体能力が高くなっていく特質を持っている。筋力トレーニングや、走る訓練でも能力向上できるが、手っ取り早く強くなる為には、戦闘経験、それも死線を越えるほどの戦いを乗り越えると、その能力は向上しやすいのだ。


 それ故に、地上人の中でも戦闘経験が多い冒険者は一般人よりも強くなりやすい。

 兵士もかつては戦争に出る事で能力が向上していたが、内戦以外の大規模な戦争がほぼ無くなった現在は、訓練や試合を積み重ねる事で能力向上を図っている。また、魔獣討伐やダンジョン攻略に挑む事を、訓練の代わりにする場合もある。


 その能力の向上を確認する為に、冒険者は、また、兵士たちは鑑定士にステイタス鑑定を依頼するのだ。

 「力」や「素早さ」などは、それぞれ数値で出されるが、その数値が高い事がそのままレベルに反映されるわけでは無い。

 レベルとはその人の強さそのものである。

 例えばステイタスに「賢さ」「知力」が無いのは、その人が何を知っているのかは鑑定士もわからない。それがわかるとしたら、その人の生まれてから現在に至るまでの全てを知っている必要がある。

 同じようにその人がどんな技術、技を身につけているのかも鑑定士はわからない。

 しかし、そうした知識や経験、技術は確実にその人の強さに影響してくる。

 そうした全体的な強さが、鑑定士には見える様で、それを数値化したのが「レベル」になる。


 なので、ステイタスが高いのにレベルがそこまで高く無い人もいれば、その逆でレベルが高いのにステイタスが低い人もいる。ステイタス上、力が「1」でも、とんでもない魔法を使いこなせるとしたら、その人のレベルが高くなると言う事だ。


 そんな訳で、冒険者にとってレベルはステイタス値よりも重要な強さの判断基準になる。



 また、冒険者としての実力を判断するのはレベルの他に「ランク」が有り、これはレベルやステイタスと違い、ギルドの依頼をこなしたりして、貢献した度合いで評価されて上がっていく。

 ランクが上がると受けられる任務も増えるし、それによって報酬も増える。

 レベルがいくら高くても、ランクは最初は必ず最低の「白」からスタートする。


 ランクは全部で九つ。

 下から「白」「黄色」「緑」「青」「赤」「黒」「銀」「金」「白金」となる。


 大体「青」くらいまではレベルが低くてもコツコツ依頼をこなしていればなれるらしいが、それ以上は一定の強さが求められる。


 最上級の「白金」ランクとなると、世界でも数えるほどしかいない。

 「最強のパーティー」として有名な「歌う旅団」は全員が白金ランクじゃなかったか?いや、違った気がする。ただ「黄金騎士」で有名な「アカツキ」は全員白金ランクが売りだ。


 俺が冒険者になれば「白ランク、レベル1冒険者」となる訳だ。

 

 ギルドは、パーティーを斡旋する際には、ランクとレベルを参考にしている。

 依頼内容や難易度もレベルと、それ以上にランクを重視して冒険者に提供しているのだ。

 白ランクな上にレベルも「1」の俺は、パーティーも組みにくいし、依頼もたいした物が無い事になる。

 



 それ故に、ドワーフの美女は「すまないね」と俺に言った訳だ。だが、その言葉に俺は首を振って答える。


「大丈夫です。特にパーティーを組む予定も無いですから」

 俺が答えると、ドワーフの美女が立ち止まって、俺の事を真剣な表情で見る。

「おい!おまえ、冒険するなら仲間は必要だぞ!最初からソロでやろうなんて考えるな!どんなに腕が立とうと、ソロじゃ危険な事が多い。ケガしてから後悔しても遅いんだ!死んじまったらそれこそ目も当てらんねぇ!いいか、最初からパーティー組まないなんてかっこつけたりするな!」


 今日会ったばかりの俺の事を、真剣に心配してくれる目だ。俺はその目をしっかり見返して頷く。

「肝に銘じます」

 俺の返事を聞くと、あっさりと彼女は前を向いて歩き出す。 肝には銘じるが、俺の旅はただ命を落としに行くだけの旅だ。誰かを巻き添えにするわけには行かない。

「な~んか事情がありそうだな~。でも、何があっても諦めるなよ。冒険者登録が済んだらあたしたちはファミリーだ!みんながファミリーだ。誰も絶対に家族を見捨てたりしない」

 彼女の言葉は思ったよりも俺の心に響いた。そこで、俺は背筋を伸ばして言った。

「ありがとうございます!俺、カシム・ペンダートンと言います」

 すると美女はチラリと振り返ると笑顔を見せる。

「おお。そっかそっか。あたしはジャスミン・ロバルト・コーダ!可愛い名前だろ?よろしくな、カシム!」

「はい。よろしくお願いします」

 


 その後の適性試験は難なくクリア。

 適性審査後に、念写魔法の念写士に、俺の顔を念写してもらう。念写魔法では、紙に見たままのものを写す魔法で、魔力が低くても出来るので、魔法使い未満の魔力保持者がなる事が多い。

 結構これでも商売としては充分すぎるくらいに成り立つ魔法だ。ただし念写は白黒である。念写できる精度も大きさも限度がある。

 これは極秘情報なのだが、念写魔法よりも精度の高い、「写真」技術は、かなり前から存在している。ただ、念写魔法を開発している神々との交渉が進まず、発表できないで何十年も経っているそうだ。俺は、特別に見せてもらったが、まあ、かなり驚いた。


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