13/63
13 引越し前夜
「兄猫、何かして欲しいことはある?」
「何だよ。突然、気持ち悪い」
「私は道路の向こうの家に行くから、
父猫のように、会えなくなるかもしれないよね」
「みーが来なかったら、俺から行くさ」
「次男にも会いたいな」
「次男も、どこかの家にいるといいな」
4兄弟だったのに、今は長男と末っ子の私だけ・・。
「『猫は飼いたいけれど、みゃーは飼いたくありません』と言われて戻って来るなよ」
「そんなこと絶対にないもん!」
人間は、人間用と猫用と使う皿を区別するそうだ。
母猫は小皿を見て、私を可愛がってくれると思ったらしい。
それと決定的な決め手は、「猫を飼いたいと言っていた」という父猫の言葉だ。
兄猫だ。
道路の向こうの家に住むだけなのに、みーは悲しそうに話す。
俺まで悲しくなるじゃないか!
それに俺は「にー」、次男は「にーにー」だ。
いまだに「にゃー」とか「にゃーにゃー」とか言って心配になる。
せめて自分の名前の「みー」くらいは言えるようになれ。




