第二章58 特別授業13
背後からの衝撃、それが意味するのはこの場合、仲間からの裏切り、そう彰は思った。振り向くと、シバの足が深い傷を負ってしまっていて、片方のひざを地面につけてしまっていた。
剣の通った空中にはなにやら薄い膜のようなものが出来ていた。
それを見た彰は、剣を抜きとり、ゾンビに切りかかるが、見もせずに、そいつは攻撃をかわし、更に彰がもう片方の手で準備していた魔弾すら警戒し、距離をとった。
「何で」
「どうやら未だこの世界で戦いなれていないみたいだな君は」
「何で助けてくれたんだ」
「お前にしなれたらあいつが悲しむ」
「ふっ、このシスコンめ」
「シスコンとは何だ、後で説明してもらうよ」
(どうやらこの世界にはシスコンという単語が未だ存在していないらしい)
そんな話をしていたら、上空からすさまじい勢いで盾のゾンビが。襲い掛かってきていた。
それを見た彰は風魔法で吹き飛ばそうとするも、相手の軌道はびくともしなかった。
「それなら!」
受け止めようとした彰、だが、うなじの近くの服をつかまれ、無理やり後ろへとシバに引っ張られ。10メートルほどよけた。
「あいつらの攻撃を受けようと考えるな、死ぬぞ」
さっきまで彰の立っていた場所が盾の形に陥没している上、その周囲には衝撃でまるで小さなインパクトクレーターのように周りの地面が変形している。
「ありがとう」
再び盾のゾンビが突進の体勢をした。
「助けるついでに授業をしてやろう」
そういってシバは、負傷したにもかかわらず、痛みに耐え、立ち上がり、そして彰の目の前に男らしくゾンビに対に立ち向かう。
大地を踏みしめ、ありったけの力で地面をけり、シバに向けて突進する、だが、それをシバは一歩も動かず、防護魔法を目の前に展開、そして接触した瞬間、防護魔法が形を変え、ゾンビの突進を受け流した。
「攻撃は避けられる時にはすべて避ける、それがこの世界においてもっとも安全な戦い方、現に・・・・・・」
盾のゾンビはシバにかわされた直後に残っていた壁に激突、そこまではよくアクション映画で見る光景だろう、だが、違うのは、当たった壁が、砕け散った、ではなく粉々になっていた。それが意味するのはその衝撃力。あの盾に一切傷がついていない上、その盾を持つゾンビの右足が、左足よりも数センチ地面にのめりこんでいる。おそらく数トン、あるいは数十トンはあるだろう。
そのスピードはまるで戦車の砲弾時速に直せば3000キロ、音速の二倍以上の速さで数トンもするものが襲い掛かってくる。
たとえるなら、それは大型トラックが高速道路で二台正面衝突するときの175倍もの衝撃。
自分の体が肉片となって飛び散る映像が脳裏をよぎる。
あそこでシバが彰を助けなければ、間違いなく・・・・・・
「俺は、また助けられたのか・・・・・・、しかも二回も」
戦うのはあれから何度もあった。違うのは、命がかかっているかどうか
「ハッハハハハ、どうやら足手まといを一人抱えただけのようだな!」
ヴァンパイアになって、力におぼれた、自惚れた、そして、改めて自分の無力を実感した。だが、
「その程度の見る目で、魔王の座を狙うなど、子供の戯言にしか聞こえぬな」
そういってシバはマクズを軽蔑した。誰かに褒められるというのは、気分のいいものだ、シバのさっきの一言で、彰の心をきつく縛り付けていた鎖が、ほんの少しだけ、ゆるくなった気がした。
「さっきから二人で話しているけど、私のことを忘れてないかしら? あと、お兄様、気に入ったようで何よりですけど、うちの子は渡さないわよ?」
「何のことかな」
「まあいいわ。彰、私を助けに来てくれた覚悟、もう一度見せて頂戴!」
「yes,your highness」(よし、決まった。なんてふざけられるのも今のうちかな)
足の傷がすっかり回復したシバも立ち上がり、三人が並んだ。
「あなたたちにはゾンビたちを頼むわ、私は私のフィアンセをちょっと殺してくるわ!♥」
「まるでちょっと買い物にいってくるみたいな言い方だな~」
「あの子達、大きくなったわね」
アンリエッタがそういうと、ブラドは、三人の背中を一目見て、ゆっくり目を閉じた。
パソコンが壊れて1000文字分とんだ!
リオは自分の記憶を頼りに、自分のストーリーを取り戻した!
又久しぶりの投稿です!
なぜか最近前より毎日の読んでくれている人が増えた気がします!どうぞ引き続きお楽しみを!




