第二章57 特別授業12
「ヴ~ッ」
「ヴァ~ッ!!」
不気味な声とともに、気味の悪い産声も、ともに周囲に鳴り響く。
ゾンビ:死後に再び死体のまま起き上がり、生きている人や動物に襲い掛かり、同類を増やす。
「貴様、これは」
「ブラド様のその肉体も、もはや修復は難しい、貴方の時代ももはやこれまで、これからは吾があなたに代わってこの国を管理しましょう。ブラド様の怒りを買うと承知で過去の仲間たちにも協力してもらうことにしました。何せ、貴方という抑止力を失っては天使どもにつけ入る隙を作ってしまいます」
「父上、一つ提言があります」
将軍の背後から、マクズが姿を現した。
「もはやブラドに頼る必要はありません。我々は死者を再び戦力に加えることを可能にした! 今こそすべてを取り戻すときです! 父上!」
「お前、何を考えている」
「何をって、決まってるでしょ。この国を取り戻すのですよ」
「バカなことはよせ、吾らがこの国にいることでさえブラド様のご厚意のもとでいさせてくれた。その上、実力を買っていただき、この国の上の地位までくださった」
「おいおい、父上、ずいぶん飼いならされてしまったようですね。たとえあなたが忘れても、私があの屈辱を忘れることなどありえません。どれほど、ブラドが弱くなることを待っていたことか!」
「貴様ら、よくも、死者を、かつての仲間を、実験台に使ったな!」
「お前、なんてことを。ブラド様、わたくしの教育お許しを」
「落ちたな、元魔王様よ」
「もういい、命令する。この男を地下牢獄へ閉じ込めよ……なぜだ、この男を閉じ込めよ!」
ギブラがどう叫ぼうが、ゾンビたちは動かない。だが、
「その男をとらえよ」
そう命令したとたん、ゾンビたちが、映画さながらの荒れた川のようにギブラへと襲いかかる。だが、ギブラもただものではなく、一瞬でゾンビたちを跡形もなく消し飛ばした。だが、ゾンビたちは泉のごとくどんどんわいてくる。そして、
「やはり、そこらのゾンビじゃあなたに触れることすらかなわないですか。ですが、こちらの方々ならどうでしょう」
そう言って呼び出したのは、巨大な盾を持ったゾンビと、あれは、べ〇せ〇くかよ! ゾウの首を一刀両断できそうなくらい巨大な剣。を持った二体のゾンビ。
「貴様、よくも、よくも! その二人の遺体は貴様が触れていいいものではない!」
その二体のゾンビを見た途端、ブラドは怒りに満ちた顔へと変わり、魔力の波動が周囲の地面を震わせる。
「まだこれほどの力を持っていましたか。ですが、あなたにこの二人の相手がまだ務まりますかね?」
そう言い終わると同時に、剣を持った死体が、ブラドとアンリエッタへと襲いかかる。それをシバが横から、死体を殴り飛ばした。変な液体がびっしりとシバの手にくっついた。
「おやおや、どうしたのですか? シバ様、今こそブラド様を排除するチャンスではないですか」
「俺は俺の手でブラドと決着をつける。その前に他人にしか頼らず、自分の手を汚そうともしないごみを掃除しないとな」
「俺も手伝いますよ、お兄さん」
「はっはっは~、面白う冗談を言うな、お前」(お前に妹の相手は務まらん)
「俺だって十分強くなったと思いますよ」(アイツらと戦えるくらいに)
「だが、お前には無理だ!」(エリカはお前程度の男など便りなどしない)
「やってみないとわからないじゃないですか!」
(ヤってみないとだと!? よ~し、あいつらを片付けた後はこの淫獣を始末しよう)「まあいい、お前の力は認めているさ。俺の足を引っ張るなよ」
「もちろんですとも、お兄さん」
「ふっ、来るぞ!」
さっきの巨大な剣を持ったゾンビが襲い掛かってくる。
「アイツは俺が」
そう言って、彰がシバの前に出て剣を受け止めようとしたが、背後からすさまじい衝撃が、彰を襲った。
お久しぶりです!
特別授業、じき完結します!
引き続き楽しんでくださるとうれしいです!




