第二章56 特別授業11
「母上! あなたはもう死んだはず、なぜここにいる」
「そうね~、強いて言えば、ずるをしたの」
「父上があなたの命と引き換えに不可侵領域をこの城の周辺に生成したのではないのですか!」
魔法の三大禁忌:
自分、ないしは他人の命を引き換えに発動される超魔法を使用すること
魔法を使い、新たな生命を作り出すこと
魔法による記憶の操作
「そうね~でもね? 私はここにいるわ」
「それは、一体……」
「ヴァンパイアの力、魂のやり取り、一度は魂を使い。周囲に散った魂のかけらをかき集め、新たな器へとその魂を入れる」
そう語っているのは、さっきまで死にかけていたように見えたブラドは姿こそ若返ったものの、美人に抱えられたまま、ゆっくりとその目を閉じた。
「疲れたのね、これからは二人で一緒に静かに暮らしましょ」
「待て! まだ聞きたいことが山ほどある!」
「私が説明するわ」
その説明によると、魔界では魂の研究がすでに最終段階まで進み、魂の重さ、形、性質までもを解き明かされている。そして、ヴァンパイア、サキュバスなどのほかの生き物の命を頼りに生きる不老不死な魔族はそれを見ることができる。魂の一つ一つには大きなエネルギーがあり、それらを使えば個人の魔力を数倍にまで瞬時に底上げすることが可能となる。超魔法もその原理となっている。ブラドはアンリエッタ(エリカとシバの母)の魂を取り出し、超魔法により、ジャハナムを天族の攻撃から守り切った。その時に砕け散った。アンリエッタの魂を自分の中へとしまい込み、新たに作ったアンリエッタの肉体へと移し替えた。
「だけど、記憶までは移せない」
「そのはずだったわ、きっとこれが愛の奇跡ね!」
「なんか……キャラの濃いお母さんですね……」
「そういえば、母上はずっとこんな性格だったわ……」
そう言いながらエリカが少し珍しく恥ずかしがった。まあ、俺でも自分の母親が常にこんなテンションだったら恥ずかしい。恥ずかしがる姿は久しぶりに見たが、耳まで赤くなっているのは久しぶりに見た。
そんな家族の再会というほほえましい光景の中、数え切れない足音が近づいてくる。
「アンリエッタ様、お久しぶりです。吾ら貴方様のご帰還をお待ちしておりました」
「あら、えーと、誰だっけ?」
「何をご冗談を」
? キョトンと首をかしげるアンリエッタ。それを見てすぐに魔王軍のトップであるギブラはアンリエッタの背後にある割れた鏡に自分の姿を見て
「あぁ、私も随分老けました。このような姿ではわからなくとも当然でしょう」
「あぁ! あなたギブラ!? 本当に老けたわね~!」
「残念ながら私には寿命がありますので、当然ふけることもございます。ですので」
「しないわよ?」
「……」
「しないわよ? どうせ私にあなたが死んだ後に私の力で蘇りたいって言うんでしょ?」
「お見通しでしたか。ですが、いつまでもあなた様のわがままを聞いておくわけにはいかないのですよ」
「それは、どうゆうこと?」
そうアンリエッタが言い終わると、周りの潰れた瓦礫の中から、無数の手が地面から出てきた。
かなり久しぶりの投稿になりましたが、最近大学の課題が多くて全然描く時間がありませんでした!
今度自分が書いた二つの小説を人工知能で合体させた短編を出してみたいと思います!




