第二章52 特別授業7
「これなら、これならエリカを救い出せる。いや、それだけではない、あいつらも、みんな、俺が助け出す」
地についている三本の足、その後ろに続くは数万の魔獣の大軍。決められたルールただ一つ
誰も俺に寄せ付けるな
ダダそれだけでいい、こいつらは今回の騒動には関係ない、だが、俺一人には助けることはできない。だから、せめて、自分のなすべきことは自分でしなければ
魔獣軍は西の森から吠え声と大きな足音とともに王城へ向けて走り続け。その事態にいち早く気付いたのは領外で遊んでいた人間の男だった。男は“家族”の下へと走りそれを知らせるとたちまち大騒ぎになり。あっちこっちへと必死に逃げ始めていた。だが、かごの中で育てられた彼らは外の世界を知らない。いや、知っていた人も、いるのかもしれない。
そのかごを壊したのは、彰が口から放った一発の魔弾だった。魔獣たちに対する恐怖と同時に彼らの目に映ったのは。どこまでも広がる広い世界
「待て」
その一言だけで魔獣軍は進行を止めた。言葉は通じなくとも、逃がしてやるっという意思は伝わった、はずなのに
誰も逃げようとしない。壁の外からの光は。彼らに希望を与えることはなかった。なぜなら。壁の外は彼らにとって完全なる未知だったから。彼らには自由を求める意思すらもなくしているのだった。
「これじゃ、本当にただの家畜じゃないか……もういい、前進」
突如、もう片方の壁の崩壊と同時に、巨大で醜い人型の化け物が現れた。同種の狼たちが全く歯の経たない。だが
「大きいのはお前だけじゃないんだよ」
それと同時に巨大なトカゲが姿を現し、巨人に食らいつく。
「まるで怪獣大戦争だな」
巨大な魔族には巨大な魔獣をぶつけ。あとから出てきた魔王城の警備軍は急遽集めただけで人員が全く足りず魔獣の軍団がどんどん中心部へと突き進んでいく。
何やら右側が騒がしい
「おっと、いたいた。って、そんな警戒しなくていい」
突然周りの空間が一瞬歪んだ
「これでひとまず大丈夫かな。言葉は理解できるか?」
「……」
「できてそうだな。このまままっすぐ行って二つ目の建物を左に回れ、そこにあの人がいる」
そう言い終わると、周囲の風景が再びゆがみ。戻ったころにはエリカの兄の姿はどこにもいなかった。最後に言い残した言葉、ブラドの居場所、罠か、それとも真実か。盲目にこの。何っていえばいいだろう。東京ドーム何個分? 正直東京ドームがどこに合ってどれだけ大きいか全くわからないし、なんでテレビ番組はみんな東京ドーム何個分で例えるのか理解不能だ。まあ、こんなことどうでもいいか。
今、頼れる仲間はいない、信じられる情報もない。だが、罠だとしても行くしかない。目の前の壁を壊すとそこにエリカの姿が
“「ちょっと待った~!」”
腰に手をまわし、口と口が近づきそうになっているときに魔獣の群れが陰謀と策略に満ちたこの会場に津波のように流れ込んだ。
「さあ! 壊せ! お前のその鋭い牙ですべてをかみ砕け。そして俺の望みを叶えてくれ!」
いつ出るかわからないこのストーリーをいつも読んでいただきありがとうございます!




