第二章49 特別授業4
「初めまして、でもないですね、僕のお嫁さん」
「あなたに合った覚えもないし、私はあなたのお嫁さんになる気はないわ」
「二人ともそろったな」
「私は絶対にこの男と対になる気はないわ」
「今までさんざん自由にさせてきた吾が甘かったようだ」
「あなたの指図は受けないわ、あの子を使って帰らせてもらうわよ」
「ほう、ワシの指図は受けないとな。お前のその血肉はこの吾が与えたものだ。おまえにいつこの吾の言葉から逆らう権利を与えた」
そう言って、ブラドが掌をエリカに向ける
「いいえ、与えられていません」
「そこに座れ」
「…はい、お父様…」
(エリカ、どうしたんだ急に、エリカがブラドの言うことをこんなに素直に聞くはずが)
ブラドの手元をよく見ると、真っ赤で不気味な指輪が赤く光っていた。エリカの今の反応は、たぶんこの指輪のせいだろう。
「できれば、実の娘にこの力は使いたくなかった」
「お見事です、ヴァンパイアと特定の種族のみが使える絶対順守の力、それこそがこの国を統治するのにふさわしい絶対的な力! まさかここで見られるとは実にいい指輪ですね。ますます欲しくなってしまいます」
「そうだな、お前が正式に将軍の椅子に座るときにはセカンドリングを与えよう」
「ありがとうございます。私がリングを手にする日もすぐに来るでしょう」
「エリカ、今日はもう部屋に帰れ、そして考えを改めるまで出てくるな」
「はい、お父様…」
どうやら、エリカの肉体は、完全にブラドに支配されているようだ。こんな国でエリカを失うわけにはいかない! なんとかあの指輪からエリカを解き放たないと。でもどうやって、原理がわからない、魔法の種類もわからない。
一日が過ぎても……と言うか過ぎたかどうかすらわからない。この国には昼夜がない。常に夜。まさに常闇。
「邪魔が入る前に式を挙げてしまおう」
そう言って、ブラドが将軍や国に残る唯一の王子を召還し、エリカの式典を開始する。もちろん、それは本人の望んでいない結婚。そして、その相手も
「実に美しい銀髪だ。すー、はー。甘い血の匂いもする。まもなくだ、まもなくお前は俺のものになる」
動かぬ人形のようになってしまったエリカの体をべたべたと触るマクズ。そして、多くの実力者が集う中盛大な婚宴が始まろうとしていた。
次回は24の予定です
また忙しくなったので一日遅れたりします。




