第二章41 血の記憶
「これで、終わりだ」
自分の血の一部と、あえて勘違いさせるために力の半分以上を注ぎ込んで作った分身体。それをおとりに使い。背後から、今打てる最強の一撃をサクトに向ける。
「そんな攻撃は、俺には届かん。なに!?」
漆黒の盾が簡単に砕け散り、そしてその赤く光る銃弾はサクトの左肩を射抜いた。
「これは、血……この俺が……血……これは俺の血。なら、あれは誰の血だ」
ブツブツと言いながら、肩から血がどんどんあふれてくる。やがてそれは。大きく、醜く、そして無差別に周囲へと攻撃を開始した。
「一振りでなんって風だ」
長くとがったつめ、黒紫に変化した巨大な右腕から手まで、血管のような紫色の模様が眼の近くまで近づいていた。そして、左側のおでこから少し、小さな角が突き出ていた。それはヨーロッパの絵画とかに出てくる悪魔とよく似ていた。
魔族には普段からずっと同じ姿で行動している人と。あえて共通の姿である尖った耳に獣のような目をしている。
目が合ったとたんに、さっきとは比べ物にならないくらいの速さで襲ってきた。
空は晴れているのに黒い羽根がどこからか降ってくる。
「なんて考えてる場合じゃない」
傷つく前の戦い方とは違い、まるで怪物のように襲ってくるサクト
「暴走する主人公はよく見るけど、実際相手にするとかなりやりずらい。何とか押さえつけないと。柔道は学んだことないけど、こういう相手には」
襲ってくるサクトの片手をつかみ、そのまま襲ってきた勢いを利用して背負い、足を蹴り上げ、そして地面にたたきつけた。その拍子に、サクトの理性が戻った。
「俺は……最強でなくてはならない」
「それはいいんだけど、暴走するのは体の内に何かを秘めてる主人公の特権だろ」
「何を言っているのかわからんが、この俺に傷をつけるほどの実力は認めてやろう。ゆえに貴様の力を認め、わが最強の魔法をもって貴様を打つ」
「いちいち主人公っぽいセリフで言わなくても」
全身に魔力を纏い、次第にそれは固く尖った形にかわり。突進してきた。それに対して、再び銃口を向ける。
一発打ち込んだが。その銃弾は当たったのだが、その魔力でできた鎧に食い込んだだけで。体には届かなかった。そして、その巨大な生体砲弾は魔力が尽きそうになっている彰に直撃した。
「グハッ」
当たる直前になるべく背後にジャンプし、それと同時に柔軟なバリアを自らの体とサクトの間展開し、衝撃を可能な限り体に与える衝撃を小さくした。だが、背後にある壁まで気が回っていなかく。壁が壊れた。
そして、最後の試合の勝者はサクトとなった。
次回は23日の予定です~!
次からはしばらく楽しい内容を書きたいと思います!




