外伝3:ゲヘナ
「扉を開けろ~! さもないと今すぐにでも全軍で突撃するぞ!」
そう叫んでいるのはまだ小さかったサクト王子、ではなくその父親
「おやおや、随分とかわいらしい侵略者が来たもんだな。なあ、美鬼」
「そうね~、やっぱりこの村の外はまだ物騒みたいですね」
「ね~、もういい加減帰ってよ~」
「ほらね、君、こっちもそろそろ晩御飯の時間だからもういい加減帰ってくれないかな~」
「う」
「う?」
「うるさい! うるさい! うるさい! さっさとその鬱陶しい防護魔法を解除しやがれ!」
「解除したら襲ってくるんだろ? そんなこと言われたら解除できないよ、おじさんもバカじゃないんだから」
「うざい!! 壊しても壊しても出てくる」
無限の障壁:バリアがが三重になって表面の壁が壊されたらすぐに二層目の壁が表面にでてきてそれを補う。そして、再び内側に新たな壁が出来上がる。よほど強い攻撃で一気に三つの頑丈な壁と三人の術者全員を破壊しないと永遠に壁の中で守られている人や物には届かない。なお、応用として守るだけではなく閉じ込めることも可能
時は過ぎ
「「「うえ~い!」」」
必死になって壁を壊している魔王軍に対して、村の中ではのんきにその日狩った巨大魚の刺身に醤油をつけて晩御飯にしている。醤油はどうやらこちらの世界の豆でも作れるらしい。というより醤油と同じ味の調味料がこの世界でもすでに作られていた。
朝になり、やっと魔王軍が撤収した。
と思いきや今度は当時の魔王様直属の大将が来た
「この村の村長と交渉をしに来た」
「村長? う~ん、ミウラさんのこと?」
「そいつがこの村で一番偉いのか?」
「う~ん、そうだよ?」
「ならそいつと話がしたい」
「ミウラさん呼んできて~」
「は~い」
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「ようやくあきらめてくれる気になったのかね」
「あんたがこの村の村長か」
「ま~、管理している者ではある」
「二人で話し合いがしたい」
「そうか、ならばお主だけ入るといい」
そして、将軍の目の前に丸い穴が空中に浮かび上がった。
「ほう、これが噂の転移魔法か」
「その中に入ってくれ」
「将軍! お気をつけを、奴らほかにどのような魔法を持っているのかわからない故」
「ああ、見た限り話の通じない連中ではない」
そして、穴を抜けた先には平和に暮らしている村人たちの姿があった。
「ここは、いい村だな。差別も戦争もない」
「ここに戦争を持ち込もうとしているのはあなたの国王だろうが」
「その勘違いを少し解きたい、我が国は、あなたの村の傘下に入りたい」
……
?
その場全員の頭上にはてなが三つ出ている頃だろう
「皆も知っているように、この世界は種族同士の戦争にあふれている。魔族は天族および人族、龍種と人族、機械種と人族、および魔族内部でも内乱が起こっている。我が国王はその戦争からの離脱を望んでいる」
「それで、なぜに傘下? そもそも、何も戦いをしていないし」
「何を言う、我が国の王子が二日間かけても攻め落とせなかったんだぞ。これほど固い防壁を持つ未知な魔法を使う村だ。その上我が国の軍も負けたというのが諸外国に伝わってみよ。傘下に入ったともなれば周りの国は必ずこの新たな国を脅威と感じるであろう」
「つまり、王子の攻撃はただの試しで、戦争を離脱するためにこの村を利用したいと」
「そういう事になる」
「今度ぜひそちらの王に会ってみたい」
「つまり」
「承諾しよう、ただし、何個か条件がある」
「聞こう」
1.すべての民は対等であること
2.永久的に中立国家であること
「その他は今後決めよう」
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そうして、ゲヘナという大国へと発展した。
次回は19日に更新する予定です




