第二章30 最初の相手
「眩しい」
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小さな魔法使いとケモ耳娘の戦いは迫力は十分あったが二人の実力を測るには微妙な試合となった。
「まあ! なかなか迫力のある試合だった! それでは引き続き第二試合! 常に全身を服で囲っており、誰もその一族の顔を見たことがない! 家族でちゃんと見分けつくのか!? 目が合った時が死ぬときともいわれている謎に包まれし一族の一人その名ムッシモール! 対するは出身はあの禁断の地! 数少ない純血に選ばれしヴァンパイアの眷属! その実力はもはや知れ渡っているんじゃないか!? そう! このゲヘナに来る途中! あのクラーケンを撃退した変な名前の英雄! 一ノ瀬 彰!この試合の結果はもはや決まったんじゃないのか!」
「すっごい緊張してるのに、ハードル上げないでほしいですね」
「……」
彰が話しかけても無言、周りが明るいにもかかわらずかぶっているフードの中にある顔を覗き込もうとするも。暗くて顔がよく見えない。
「それでは! 第二試合開始!」
お互いに全く動かず相手の行動を観察する。ムッシモールは全く動かない、たいして彰は今までさんざん戦ってきたが、戦うことが決まってて戦うことはこれまでになかったのもあり、かなり緊張している。さっきの二人の戦いを思い出し。自分の頭上にも数値が現れているとおもって。どうしても気になり一瞬くらいいいかと思い。頭上を向いた。
だが、その一瞬をムッシモールは逃さなかった。
「! 動、け、ない」
彰が上を向いた瞬間、ムッシモールが距離を詰め彰の全身にその手足を絡めて動けなくした。それだけではもちろん試合は終わらない。ムッシモールが口を少し彰の顔に近づけてきた。
「なに、を」
急に息苦しくなってきた彰、まるで三十秒以上息を止めていたように。空気を吸いたいと思う。だが、鼻も口もふさがれていない。何とか振り切ろうとする。だが、手足から力が抜けていく。ついに彰の体は崩れた。その一瞬だけ、酸素が血の中に流れ込んだ。
「フッ!」
わずかな力で思いっきりムッシモールの手足を引き離し、距離をとる。やっと体の中に酸素が回る。だが、振り向くと、そこにはさっきまでムッシモールが着ていたフードだけが地面にゆっくりと落ちていた。
「はっ、はっ、はっ、はっ」
まるで砂漠で一日中歩き続き、やっと水を手に入れたように酸素を自分の血液の中に取り込む。
「おっと~! まさかの英雄劣勢! これは相性が悪かったか!? だが! 運もこの世界で生き残るための実力の一つ! 英雄まさかの不運か!?」
「どこに行った」
どこを見回してもムッシモールの姿がない。だが、近くにいるのはなんとなくわかる。いや、なんとなくではない。どこからかがっつりみられているような気がする。
「どこなんだ」
そう探していると足元から液体が彰の全身を覆ってくる
「っ、また、俺を窒息させるつもりか」
風で全身を覆い、液体を飛ばそうとするが
「くっ、飛ばない、炎龍、俺ごと燃やせ!」
彰の手にはめている指輪からでる火は風によって勢いを増し。まとわりついてきていた液体をすべて蒸発させた。
「ハァ、ハァ、早く決着をつけないと、こっちの身が持たない」
今度は目の前に霧の塊が現れた。
「また何をする気だ」
突如襲ってきて、彰の頭部を直接包み込んだと思うと、鼻と口から体内に侵入してくる。ふさごうとするも自分の口をふさごうとしても鼻から侵入し、たとえすべてふさいだとしてもわずかな隙間を入ってくる。
「フフッ、これがこの男の体か英雄と言われているようだけど、大した魔力量をしていないな」
新年の数日間親戚やら片付けやらで更新できませんでした!
次回は早ければ、13日かな~




