第二章12 成れ果て
冷たい、まるで死体のようだ。
なんて、RPGによくあるセリフではなく。
「エリカ、これは……」(もしかして……)
「機人ね」
「? エリカ? いま、なんって?」(機人? 死体じゃなくて?)
「機人よ、死体だったらとっくにその辺に捨ててるわよ。でも、少し気になるのは、なんでこんな武装をしていない機人の小娘をこんな厳重に縛る必要が……」
「とりあえず、拘束具は本人までが傷ついてしまうかもしれない、周りについている鎖だけでもほどいて連れていこう。こんなところに女の子をおいていけない」
「ならばこの俺の背中に乗せるがいい」
「? あんたは……」
そこにいたのは、二メートルほど大きな狼
「もともとはエルフの森の近くの草原に住んでいる群れの長をしていたそんなある日に、俺はやっと仕留めた獲物を持ち帰る際中に奴らに連れてこられた」
「そうか、ジャー言葉に甘えさせてもらうよ」
鎖に関しては、三回ほど剣を振り下ろしてやっと一つ断ち切ることのできた。
すべての鎖を断ち切り、少女が座っている椅子から切り離された。
「おっも! この娘すごい重いぞ!」
密度が高いほど同じ体積でも物体は重くなるというし。
今の俺で重いと感じるってことは、たぶん百数キロはあるってことかな
そのすぐだった、真っ暗な部屋に明かりライトが照らされた、それと同時に“キー”っと高い音が
「これは、警報音か?どうやらこちらの居場所がバレたみたいだ」
「早速お出ましよ」
すぐ隣にあったゲートが開き、その向こうには四足歩行の機人たちがうじゃうじゃと
「よ~し、お前ら今こそ長い間閉じ込められてた恨みを晴らすときだ!」
(いろんな種類の叫び声)
ふっ、こいつら、扱いやすい。
「行くぞ~!!」
獣や亜人たちがこちら側に付き、エリカと二人だと苦戦をしていただろう数の機人をすさ次々と倒していく。
「これで、一通り終わったか」
そこには、機人たちの手足と胴体が、大量にに散らばっていた。
「……なんか、また動き出しそうで気味が悪いな。今ので傷ついたやつらはここで休め」
そのまま奥へ奥へと進んでいき、ますます温度が高くなっている。
「進む道はあってるみたいだな」
家のパソコンを思い出してみよう。パソコンの中でかなり重要なところ、つまり、CPUだCPUから大量に熱が出ているてことは、この天空要塞も一番熱いところにCPU(中央処理装置)があるに違いない!
奥に進むにつれてどんどん温度が上がっていくのがわかる。
「何だか、炎龍の時を思い出すな……? あれはなんだ? 戦車? ゲッ、こっち向いた」
たぶんバリアじゃあれは防げない、どうすればいい、俺の後ろにはこいつらがいる。
一か八か! 一瞬で使えるありったけの魔力をバリアとして展開する。
“危険察知、自己防衛システム起動、第一次戦闘形態……、変形不能、電磁シールド展開”
「……? 防げた……のか?」
そう思い目を開けると、大きな砲弾が宙に浮いていた。
「これは……」
「個体番号1752 廃棄ナンバー3 調査対象:不明 データアクセス:拒否されました」
「? お前が、守ってくれたのか?」
後ろを振り向くと、さっき解き放ったあの少女が目を覚ましていた。
拘束着を着て、白かった髪の毛は、虹色に輝いている。
「状況判断、排除対象:機人、目前の集団と行動をするのを最善と判断」
「ことは通じないのかな?」
「1752これよりあなたに加勢します」
「お前は、機人だろ? なんでこっちの味方になってくれるのだ?」
「私はすでに廃棄されたはずの機体、記憶データが既に削除されているようです。あなたを守るプログラムと若干かすれてしまった画像データだけが私の中で保存されています」
「俺は初めてお前と会うぞ」
「私は……あなたを守りたい」
「……いいか、俺は、お前たち機人の敵だ。今からたぶんこの天空要塞の一番大事たところを壊しに行くんだぞ」
「私は、私のしたいことをします」
「したい、っか、変なロボットだな」
新たに加わった1752とともにさらに中心部へと歩いていく。
なぜか機人たちが襲ってこない。
しばらく歩くと、炎龍の時と同様に広大な空間に一本の大きな柱があった。
「愚かな知的生命体よ、ここまでたどり着く実力、認める、交渉を提案する」
「交渉? 散々襲ってきていまさら何を」
「吾は、すべての種族を集め、データを収集し、この世のすべてを吾の管理下に置くことが最も効率的という演算結果の下行動をしている」
「そんな独裁者のような考え方、反乱を起こされるにきまってるだろ」
「すべてはこの世の効率化のために、吾は……」
「こいつが、感情を失った人間の……成れの果てというのか」
次回は、25日に投稿するよていです。




