第二章10 新たな時代、異世界産業革命
「やっとお目覚めね、彰、まさか本当にあの炎龍を倒すなんて」
「……そうか、俺が、勝ったんだな」
「ええ、そうよ。でも、その前に私たちに言うべきことあるんじゃない?」
「……心配かけて本当にごめん、アルンも迷惑かけた」
「ほんとだよ、エリカ重かったんだから」
それを聞いたエリカは
「……ちょっと、今のは聞き捨てならないわね。私が重いっていうのかしら?」
「重い! 重かった!」
「どうやら誰が目上かわかってないようね、たとえあなたが彰と結婚しても、彰はわ・た・し・の眷属なのだから」
「エリカはもう彰より弱いでしょ、ならもう立場逆転だよ!」
「エルフの小娘がずいぶんと言うようになったじゃない」
「まあまあ、二人とも、結果よかったんだし」
二人同時に
「彰は黙ってて!」
「彰さんは黙ってて!」
小声で「おれ、もし普通に人生送ってたら、嫁に敷かれる結婚生活送ってたのかな~」
「ハハハ、この吾を倒した男がおなご二人に圧倒されているとはな」
声の出どころを探していると上空に巨大でぼやけた影が舞い降りてきた。
「……炎龍か、主はやめてくれ。俺はお前と普通に友達になりたいんだよ」
「友か、まあ良い」
「三人とも、一つ聞いてほしい。俺は機人たちにこれ以上襲ってこられるといつかこっちが負けると思っている」
「確かに毎回手ごわくなっていたわね」
「そこでだ、今度は俺たちから攻め込もう」
「だけど、天空要塞を攻めるのにわざわざ命がけで炎龍の助けを求める必要はあったのかしら? 相手は機械よ」
どうやら、魔族には魔法の知識は豊富でも機械の知識はあまりないようだ
「フッ、エリカ、機械に熱は天敵なのだよ」
「なんでそんなに偉そうなのよ、彰のくせに」
「エッヘン、今は俺の知識が役に立つ!」
「そういえば、吾との戦いにおいて、最後にお主の使った天を覆うほどの雷魔法は一体……、あの時のお主からはすでにあれほどの大魔法を放つ魔力は残っていないとみていたが……」
「あ~、あれは炎龍、お前の力だ」
わかっていないらしく、説明をする
「お前の全身から放出される熱が上昇気……熱い空気を作り出し、そして、上空にあの巨大な雷雲を作り出した。覚えているか、俺が最初に霧を消し飛ばした風魔法」
「ああ、」
「あの風魔法で、上空に渦を作り出した。そして、俺が上空に飛んだのも覚えているな。あの嵐と雲、そしてお前の作り出した熱い空気だ、俺だってただじゃすまない。だから台風の目をあの上空で作り出したのだ」
「? 台風の目というのは?」
「そこだけ嵐のない通り道さ、そして最後の一撃は、上空でたまった電気を、金属を使ってすべてお前に誘導した、それだけだ」
「つまりは吾の力をお主があの雷へと変えて我に返したと思えばよいのじゃな」
「まあ、そんなところだ。話は戻すが、機械がある以上、熱には弱いはずなんだ」
「だから、炎龍っていう訳ね」
「そこでだ、今回の作戦はふたてに分けたい。炎龍とアルンにはすまんが、おとりになってほしい。そして、俺とエリカが中に侵入して指揮を出している何かを壊す……」
「その何かはどうやって探すの?」
確かに、アルンの言うとおりだ。大量にある機人たち、そして、機械仕掛けの天空要塞。どこにそのコアがあるのやら。
「多分だが、一番熱いところが、あいつらの心臓だ」
「多分って、彰らしいわね」
「え~! 行かないとだめ~?」
「アルンが一人でこの城にいるのが、心配なんだ」
アルンは顔を赤くし
「しっ、仕方ないから手伝ってあげる」
「ああ、ありがとう。炎龍、アルンを任せた」
「そうだ、アルン渡すものがある」
そう言って、あっちの世界から持ってきたスナイパーライフルと銃弾を渡す。
エルフが銃を手に取る、何だか奇妙な光景だ。やっぱりエルフには弓矢のほうが似合う。
「決行は、明後日にしよう。今日と明日は、めいっぱい休もう。アルン以外」
「え~! 私に何させる気!?」
「変な言い方をするな! そのライフルを二日間かけてマスターしてもらう。必ず(エルフの)みんなの役に立つから」
ドラゴンたちに襲われて、火の海となるエルフの村はもう二度と見たくない。
「あと二本あるんだ。この二本は明日にでも村持って行こう」
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そして次の日、爆音がエルフの森に鳴り響いた。
「おお! これはなんというものじゃ」
「ライフルっていうんだよ。こうやって、この尖った金属をこの方向で中に入れて、あとはこの横についているセイフティーというものをこうして、あとはこの穴から覗き、指を引く」
そう言いながら、最初からもう一回実演する。
その光景を男衆はほとんどが興味津々で見ていたが、どうやらどの世界でも女性はあまりこういうものが好きな人は少ないようだ。
「アルン、こっちに来てくれ」
アルンがこっちに来て、彰はアルンの手を取り、さっき自分のとった姿勢をアルンにもとらせ……意識せずにしていた一連の動作、不意にアルンと目が合い、自分が何をしていたのかに気付いてしまい、二人とも同時に顔が赤くなる。
周りのエルフたちはその光景を見て
「ほほえましいですな~」
「いい夫婦になりそうですね」
「あの時の小僧がずいぶんと強くなったようじゃ」
「アルン姉とあんなにくっついて、憎たらしい」
何だか変なセリフも飛んだが、気にしないでおこう。
そんな周りとは違いフレイは真剣なまなざしで、すぐ後ろにおいてあるライフルを見つめ、一言こぼした。
「過度な力は災いとなるかもしれん」
もう、あれですね。更新する日の夜中に更新すると考えていただければ嬉しいです。本日もの申し訳ございません。また日をまたいでしまいました。
次回は18日更新予定です!




