第二章5 気づくべき真実
こちらの世界に帰ってきて数日、すでにテレビやらネットやらマスコミやらで連日騒ぎになっていた。
テレビでは:
“あの黒い影の正体は一体何なんでしょうね~、米軍基地に何者かが侵入し一部の武器が奪われたそうですよ。何か関わりがあるのでしょうか? それでは、専門家の意見を聞いてみましょう。では、よろしくお願いします”
“え~と、ですね~、そもそも人間にあんな動きができるわけないんですよ。ネット上で公開されたデータによると余裕で18メートル以上はジャンプしていたそうです。漫画やアニメに出てくる忍者や強化人間ならまだしも、現実世界でこの数値はあり得ないのです”
“つまり~、あれは人間ではないと”
“はい、合成で作られた痕跡もありませんし、都内の各地でたびたび夜中に目撃情報の数々。考えられるのはどこかの研究室などで秘密裏に研究されたスーツか何かですかね。大体この件に関してネット上で吸血鬼だのドラキュラだのヴァンパイアだの、非科学的で無根拠なのです”
一方ネット上では:
“リアルヴァンパイア来た~!! ”
“お前らバカじゃねそんなのいるわけねぇし”
“イケメンだったらいいな~! ”
「ほんとに今は人気者ですね」
「夜中だからみんな寝てるかと思ってたのに、うちが寝るの早かったのか」
「吸血鬼でも夜に寝るのね」
「俺は元人間だ」
葵が目を大きく開き
「え! そうだったのですか? という事はほかにもいることですね」
「あぁ、俺を変えたのはエリカっていう名前の姫様だよ」
一瞬少し不快な顔を見せたような
「そういえばあの棺桶の中には何を入れたのですか? 」
「……」
「ハッ! もしや棺桶だけに誰かの遺体!? さすがに殺人となるとかばいきれません! 」
「あ~、殺人じゃないけど、同じくらいやばい代物かな~」
殺人で通報されても嫌だしな~
棺桶を開けて中身を見せると
あれ? あまり驚いていない
「あれ? 驚かないのか? 」
「う~ん、すでにテレビであなたらしき影が米軍基地に侵入したというニュースが報じられていましたし、その品々なら」
立ち上がって、手合図でついてきてと無言で言ってくる。
大きな屋敷の中央にある建物へ行き、入り口のすぐ隣には大きな時計があった。
葵は鍵を持ってその時計のガラス部分の下にある鍵穴に鍵を差し込み、開けた。
そのあとに時計の針を手でゆっくりとすべて下のほうに回す、時間にして6時30分30秒
……普通の時計ならあり得ないことだ。
すると、突然目の前の二回につながっていそうな階段の半分くらいのところが壁の中へと移動を始めた。
徐々に隠れていたものが姿を現す。
地下室への道だ。
「まさかここがからくり屋敷だったとは」
「驚くのはまだ早いですよ?」
? 地下へと歩く、その先にあった扉を開けると
「なんじゃこりゃ」
あらゆる種類の武器がそこにはあった、日本刀、西洋剣、拳銃、ライフル……ロケットランチャーまで、見たことのない武器まである。
口が開いたまま見てたら
「ほしいものがあればお貸ししてもいいのですよ? 」
「また今度にしておくよ、ありがとう」
「お嬢様、警察の方々が正門の外でお待ちになっております」
「どうやら、お別れの時ね」
「ああ、二日間、世話になった」
「また、ここにきていいのですよ? いつでも歓迎します」
「あ、忘れものですよ」
そう言って渡してきたのは四角い何か
「これはなんだ? 」
「モバイルバッテリーです」
「また充電切れしたら困ると思いまして」
「助かるよ」
地上に戻り、最後に別れを告げ、彰は空へと飛び立った。
そんな彰の飛んで行った方向を、葵ずっと見つめていた。
今度は見つからないように。再びバリアを足場に使い風魔法でバリアを押して飛ぶ
「大体十階くらいかな、これほど高く飛べば誰にも見つからないだろう」
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「おかあさ~ん! 見てみて~! 人が空を飛んでるよ~!」
小学生ぐらいの子だろうか、キラキラした目で空を見上げる。
「そんなのいるわけないでしょ~、いいからもうご飯よ~」
「本当にいるもん! 」
「はいはい」
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「最後にもう一度、家族の顔を見に行こう」
そう言って、家に向かっていると上空で誰かの車から降りてくる姉の姿が見えた。
「彼氏、できたのかな。あ、降りてきた」
その瞬間、嫌なものを感じた。
こっちの世界では感じたことのない、なんだ、この感じ
「魔力……でもどこから」
探していたその時、下にいる、アイツと目が合った。
「おいおい、200メートルはあるぞ、しかもこんな暗い夜空」
彰は真実にすぐに気づいた。
アイツもヴァンパイアだ。
まさかの東京にもう一人のヴァンパイア、果たしてそいつは善か悪か。
明日はなんと! 一日中暇です!(自慢できませんが) もしかしたら二作同日投稿するかもしれないのでお楽しみに




