第二章4 武器強奪ミッション
「どこかに出かけるのでしょうか? よろしければ車で送りますよ? 」
「いや、そこまで迷惑はかけないよ。それに俺の場合走った方が速いし」
「いえ、それは少々よろしくないのでは? 」
そう言って葵は背後に映っているテレビの映像を指さす。
必見! 東京にUMA現る!っという名前のテレビ番組が放送されていた。(※こんな番組はありません)
そして……
“たまたま昨晩は撮影で現場にいたのですが、まさか映像の中にあんなものが映りこむとはね”
“では、その映像というものをご覧ください”
テレビの画面がドラマの撮影のような画面に映った。
そして、
“今夜は、君と一緒に過ごしたい”
“そんなセリフ、ずるいよ”
恋愛ドラマのキスシーンのようだ。
唇が重なる一歩手前で急に画面が止まった。
「おや、いいところでしたのに」
“はい! ここなんです! 二人の向こうの建物の間を見てみてください!”
“え~と、どこでしょうか?”
少しずつキスシーンを撮影している二人の少し右上に画面がズームされていく。
「あ……」
ばっちり黒い人型の影が映りこんでいる。
「これ、彰さんですよね? 」
そっと目をそらす。
「さっ、では、私の父の部下の人があなたを好きなところまで送りますので」
「ハア、むやみに屋根の上を駆けまわるなってか……」
そう言って玄関に向かった、
「「「おはようございます、お嬢様」」」
何人もの使用人がほぼ同時にこちらに立ち直り、お辞儀をし、そう挨拶をしてきた。
「ええ、皆さんおはようございます」
「田中を読んでくださる? 」
「はい、今電話をつなげます」
“はい、田中です。あ、お嬢ですか、本日はどちらへ? ”
“いえ、私ではなく。こちらの彰さんを送ってください。”
“彰様とは……? ハッ! ついにお嬢様にも家に招けるほど仲のいいご学友が! 今すぐ向かいます! ”
ほんの5分ぐらいだろうか、急ブレーキのような音が大きな木の扉の向こうから聞こえた。
救急車よりもやや早い。(東京は確か平均到着時間が7分ぐらいだった気が)
「お嬢の友達とは!? どなたですか!? 」
「こちらの彰さんですよ」
「チッ、男か」
いや、どう聞いても男だろ、彰、まあ(そんな名前の女の子も)いるかもしれないが。
「で、お嬢、今日はどちらへ? 」
「いえ、今日は私ではなくこちらの彰さんだけを送ってください。あとこちらも、そう言って棺桶を車の後ろのほうに乗せた」
今一瞬絶対嫌な顔をした!
「はい~、ぜひとも喜んで」
うわ、顔変わるのはや……(演技力高いな〜、運転手より俳優の方が似合うのでは?)
小声で「嫌だな~この人と二人っきりで車の中とか」
「では私がお供しましょうか?」
「いや、今日行くところは君は近づかないほうがいい」
「では、お嬢、ご友人を送ってきます」
「で、ガキ、どこに行きたいんだ? 」
「え~と、横田へ」
「で、お嬢とはどんな関係だ? あぁ!? 」
「そんな充血した目で見なくても、昨日知り合ったばかりですよ」
「知り合ったばかりで女の家に泊まるとはずいぶんと図々しいガキだな!」
彰は特に何も言わず作り笑顔で返し、外へと目線を置いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
すぐに横田へと着いた。
「じゃっ、もう帰っていいよ」
「チッ、もうお嬢に近づくなよ! 」
「すまないが、今晩だけもう一晩お邪魔させてもらうよ」
銃弾が一発、髪の毛をかすった。
「ガキ、調子に乗るなよ、お嬢の客じゃなかったら今すぐにでも東京湾に沈めてやる」
やばい、目がガチだ
いくらヴァンパイアでも、銃弾は試したことない。
死ぬ可能性もある。
田中が車とともに帰っていく。
「さて、まずは敵情視察でもするか」
米軍基地、入り口
「こんにちは~、実は米軍基地にとても興味があって! ぜひ見学したいです! 見せてもらえませんか? 」
「おいおい、ガキ、ここはお前が来るような場所じゃないぜ? さっさと帰りな」
どうやら簡単には入れないようだ。まあ、当たり前か。
こいつは、腰に拳銃がある、後ろにはアサルトライフルのような銃を背負っている。
その隣の黒人は何も武器を持っていない。
やっぱりないのかな~
そう思って帰ろうとすると、200メートル奥からもう一人が飛行機から降りてきた。
それを見た途端、彰の目がキラキラした。
心の声:あっ、あれは! M110!
ターゲット発見!
「仕方ないな~、今日はもう帰ろ……」
帰ったふりをして、森の中へと入り、夜まで待つ。
よし、スナイパーライフル強奪ミッション開始!
速い速度で、建物から建物へとジャンプをし、あっという間に車道の向こうに米軍基地がある距離まで来た。
そして、さすが米軍、そんな簡単には手に入りそうにないな~
棺桶を背負い、彰は米軍基地を覗き込む。
「武器倉庫はどこだろうな~」
一番それっぽい建物に近づく。周りに人がいないか確認し、屋根の上に飛びのり、吸血鬼由来の馬鹿力で屋根をゆっくりと剥がし、侵入。
「おっ! ビンゴ! それに! M2010にM107まである! ハッ! あれは! Mk 20 SSR!」
次々と手に取っていく、そんなとき。
「おい! お前! そんなところで何をしている!」
急いで手に持った4丁のスナイパーライフルを抱きかかえ、銃弾のぎっしり詰まった箱肩に乗せ、さっき壊した部分から脱出する。
夜の横田にサイレンが鳴り響く。
走っていると何かが一瞬光ったのが見えた。
念のためにバリアを張る、が銃弾が一発肩を打ち抜いた。
どうやらバリアより銃弾のほうが強いようだ。
その後、すぐに棺桶を置いた屋上へと、視線をくぐり抜け、棺桶の中にすべて入れて背負い、昨晩のように建物から建物へと駆ける。
スマホを開けてルートガイドを始める。
ほんの一時間ちょっとで葵の家についた。
さすがに家の中に直接入るのは悪いと思い、しっかり正門をノックした。
「おかえりなさいませ、彰様」
「お荷物はわたくしたちが預かります」
「いや、いいよ。君たちじゃ持てないから」
「おいおい坊主、なめるなよ?」
そう言って、ごつい体つきのおっさんが来て、持とうとするが、
顔が真っ赤になり持ち上がった。
「くっ、こっ、これをどこに運べばいい? 」
「無理しなくていいですよ」
そう言って軽々と片手で持ち上げる。
そのまま用意された自分の部屋に入っていった。
その姿を使用人たちは茫然と見ていた。
「ずいぶんと怪力な子ね~」
「ほんとね~」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部屋に入った彰、さっそく棺桶を開けて、中身を確認する。
スナイパーライフル4種類、そしてさっきとっさに取ったこの箱。
箱を開けてみると中には4×7×10の280発のスナイパーライフル用の銃弾が中に入っていた、しかもちょうど袋ごとに対応している銃を書かれている。
「よし、いい土産ができた」
この土産が、今後の異世界に大きな影響を及ぼすとは、この時点では誰も、予想だにしなかった。
今回書いた中で英文字と数字が混じっているのは実際にある銃の名称です。興味がある方は検索してみてください。
次回は本日早ければ15時前にはLast Assassinを更新します。




