第一章 (終) 魔神再来
前回までのあらすじ
偶然にも異世界に来てしまった一ノ瀬彰、魔王の娘であるエリカに命を救われその眷属となった。
異世界生活を満喫しながらも、美しい許嫁までできた。
その後、彰のことを魔王に知られ、その魔王が刺客を送り込んできた。
魔王からの刺客三人から動けないエリカを抱えて逃げ、やっとアルン達が助けに来たところ足元が崩れ、地下で封印されていた武器と防具? を偶然発見し“それ”に語り掛けられ、契約をかわした。
「ごめんアルン、待たせた。反撃の開始だ」
そう言って、刀のように変形し、黒い模様が描かれたた水晶の剣を一振り、衝撃波が三人に向けて放たれた。
「フッ、そんな攻撃」
そう言って片手でレウが片手で受け止めようとする、手に触れた。
「!? くッ、」
もう片方の手を使い、さらに体勢を変え、両足を後ろに傾けて全力で踏ん張るもすさまじい威力で後ろに押される。もう一人が助けに入り、やっと二人がかりで衝撃波を上空へとそらすことができた
「おいマゴス、なんだ今アイツの威力は、あの野郎、一体地下で一体何を」
「一振りであの威力……」
眼鏡をかけている、いかにも賢そうで、バカな人を見下していそうな目つきをし、夜とは不釣り合いな白い服が月光を反射し明るく見える、かっこつけているようにすごく見える。
どうやらそいつの名前がマゴスらしい。
「チッ、またイケメンか」
そう言って剣を天にかざし、心の中で〈イケメンは死ね~! 〉と叫びながら、さっきのと比べると明らかに大きい衝撃波が二人を襲った。
レウはギリギリで避けきり、マゴスはレウほど速くはなくよけきれずに、バリアを使い全力で受け流した。
もう一人が二人の前に飛び入りった。
「まだくたばってないよな、二人とも」
「あぁ、何とか」
「それより、あの力、もしや」
「いや、あれはただの伝説か神話のはず、それに天族と魔族が手を組むなどありえないことだ」
「何がともあれ、今の俺たちではアイツにかないそうにない」
「おいおい、さっきまでの勢いはどこに行った? オラオラオラオラ! フハハハハ!」
「彰? あなたのほうが悪役みたいになっているわよ?」
彰が笑いながら、大技を三人に向けて乱発している。
三人はよけたりギリギリで受け流したり、もうすでに限界のようだ、そんな時三人の背後から大きな黒い影が出てきた。
赤い目に銀色の髪、どこか見覚えある。
「ブラド様! なぜここに! 」
「お前たちは下がって傷を癒すがいい、ここからは戦争だ」
そう言って大きな赤と黒のマントから両手を出し、左右に広げた。
その後ろから黒い影がどんどん現れてきて、地面からアンデッドがうじゃうじゃ湧き出し、空には悪魔のような姿の生き物が群れを成して飛んでいる。
「我が死人の大軍を持って貴様を地の底へと再び葬り去ってやろう」
「「「吾らが王のために!!!」」」
彰は新たに手に入れた力を使いブラドに切りかかる。
ブラドはその剣を赤い透明なバリアで受け止める、だが、どんどんバリアの中へと刃が入っていく。
「くっ、これほどとは!」
気づくと剣にあった黒い模様が彰の手を伝い、肩のあたりまで広がっていた。
ブラドが腰に掛けていた西洋剣を抜き取りすぐに彰の心臓を狙った。
とっさに彰はアルンの近くまで下がった、だが。
模様がさらに顔の半分まで広がり、彰から体の所有権を奪っていく。
「ふざけるな小僧! わが娘にその汚い手で触るな!」
ブラドの表情が一変、怒りに満ちている
「お前がいなければ、わが娘は傷つくことはなかった!」
すさまじい逆恨みだった。
「こっちこそふざけるな! 娘は権利を操る道具じゃない!!」
「わが娘を返してもらおう、エリカも反省し、分家との婚約を受け入れるまで城の地下へと閉じ込めておこう」
「その口を閉じろ!」
そう言って、模様が全身を覆った。
そして浮かび上がり、彰もエリカを抱きかかえたまま空の上へと上昇し、二人を包み込むように紫色の光の粒子が周りから浮かび上がる。そして、次第にそれは鎧の形へと収束し、巨大な剣を持つ巨人へと姿を変えた。
伝説上仲の良くない天族と魔族が連合軍を作り、たった一人の竜騎士に苦戦したうえ、軍の大半が死傷し、やっと地下に封じたという。
その最後の瞬間を書いた絵がこの遺跡の入り口にあったという、三百年前にその絵はどこかへと姿を消した。
「あの姿は……、かつて見たあの絵のようだ」
ブラドの近くにいた、レウが額から汗を流し、唾を一口、そして
「王よ、あれは危険だと、わたくしの本能がそう伝えてきております」
「そうだな、すこし気を付け……」
ブラドの言い終わる前に、紫の火が彼らの頭上を飛び越え地上にいた魔王軍の1/5が紫色の火の中で苦しみそして消えていった。
振り向きその景色を見た瞬間、ブラドは目を大きく見開き、絶句した。
そして目の前の敵に再び振り向き、巨人の胸のあたりに浮かぶ彰に向けて、ついに殺意をあらわにした。
「命令だ……やつの息の根を止めろ!」
「「「吾らが王のために!」」」
そして大軍がたったの一体に向けて進軍を始めた。
巨人は左手を空へと伸ばし、中国風のドラゴンのような火を放ち、空中の部隊を次々と、まるでハエを火炎放射器で焼き殺すように無情に命の火を消していく。
少ししゃがんで巨大な剣を使い、まるで掃除のように地面にいる巨人から最も近い集団を一気に薙ぎ払い、地面の土がまるで津波のようにさらに遠くにいる軍を飲み込んでいく。
再び今度は垂直に振りかざされる剣、今度はブラドがそれを受け止めた。
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「あの姿はまさしく伝説の魔神」
学者の一人の考古学者が断言した
「あれこそがかつての大戦を引き起こした者の姿だ! あれが再びよみがえるのはまずい」
「どうやらあれはまだ完全体ではなさそうだ……今ならまだ再び封印しなおせる! 」
そう言って、学者たちは地下の入り口へと向かう。
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ブラドとその側近たちが、空を駆け、攻撃をよけ、透明な巨人と化した彰に切りつけるが、まるで空気でも切っているかのように攻撃が効かない。
巨人は動かず、まるで痛くもかゆくもないと言わんばかりに受け続け
突如地面に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
それを見た次の瞬間、巨人の周りを再び光の粒子が渦巻きのように舞い上がり、空を光の線が突き抜け、それはますます広がりあたりをすべて消し飛ばした。はずだった。
ブラドが目の前に立ち、自分の手を剣で浅く切り、地面に手を着き、巨大な扉を召喚し、衝撃を受け止め、軍の二割を守った。
ブラドは立ったまま魔力をほとんど使い、気絶していた。扉は次第に地面の中に沈んでいった。
エリカが目を覚まし、手をそっと、彰の頬へ、そして優しい顔でこう言った。
「もう十分頑張ったわ」
そしてすぐに、巨人はみるみる分解していき、彰の手に持つ剣へと光の粒子となり、流れ込んでいく。
魔王軍はブラドを守るように包み込み、黒い霧となって徐々に姿を消していった。
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地下では
「おかしい、封印術式は成功した。だが目の前のこいつは、ただの透明な水晶だ」
これは一体……そして……
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魔神再来の噂はたちまち、異世界全土に広がったのであった。
彰が契約をかわしたのは、過去にたった一人と一騎で復讐にかられ、全魔王軍とすべての天族に戦争を挑んだ魔神と呼ばれた男であった。
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見慣れた天井、そして……これまでとは違った非日常の中の日常が始まる。
大学生活が再び始まり勉強やらバイトやらでなかなか更新できず、今まで続けて読んでいてくれているユニーク? たぶん読んでくれてると思うかな? ブックマークは確実に更新の通知が行くのかな? とにかく
お待たせしました!
ぜひこれからもよろしくお願いします!