第一章11 赤い夜の始まり
彰たちが城へと帰っている途中、城の方では。
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「姫、我らにご同行を」
「あの男がまた何か企んでるようね、私は絶対に王座は継がないわよ、それともほかに何か企んでいるのかしら? ようがないならさっさと帰りなさい」
「王の命ですので、此度はその命令には従えません」
「少しの間ご同行願いたい」
「嫌だと言ったら? 」
「あなた一人の相手をするのは我ら三人でも一苦労ですのであまり手間をかけないでください」
最後のコメントを発した人に向けてエリカが睨みつける
「ふ~ん、ひとり……ね~、どうやらあの男の耳にも伝わってしまったようね。つまりあなたたちの目的は、さらっていくこと? いや、私を遠ざけるってことは、抹殺……のようね」
「なりたてとはいえ、やつもヴァンパイア」
「あなた様と手を組まれたら我ら三人では手に負えないません。それにこたびの命にはあなた様を連れ戻すことも含まれています。」
「だから私を封じ込めてから、彰をこの世から消し去ると、その後に私をあの男のもとに」
三人は何も言わず、お互いに目で合図を送り、一斉にエリカを押さえつけにいく。
エリカもひとりじゃこの三人に勝てる保証がないと判断し、距離をとり城外へと脱出し彰と合流しようとする。
「あなたたちの速さじゃ私を押さえつけて動きを止めることはできないわよ」
「ふっ、我らも準備をせずにあなた様の相手をするほど愚かではありませんよ」
そう言って、二人が鎖を持ち出した。
封魔の鎖、魔力を封じ、動きも封じてしまう鎖。
4人は城の中をまるで重力なんて存在しないかのように飛び回っていた
「一体どこからそんなものを手に入れたのかしら」
「おとなしくつかまってください! 」
「お願いします! 」
「そう言って、おとなしくつかまる人がどこにいるというのよ! 」
城の中で逃げても終わらないと思い、城外へと翼を広げ飛び出そうとするが
「くっ、出られない、これは、結界? 」
城の周りには結界が張られていた、
「フッ、こんな結界」
そう言って魔力を手に籠め一気に砲弾のように飛ばす。
だが結界は全く破れない。
ひとりの結界なら簡単に破れたかもしれない、だが三人の結界が密接そして複雑に重なることで与えられた力が分散されるだけでなく硬さも増している。
破れないと知り、即座に攻撃へと行動を変えた
二人が目の前に、もう一人の姿が見当たらない、もう二人と戦闘を開始し。
ほぼ互角に戦えている、二人でやっと互角、だが、傷つけてはいけないという命令は、二人の攻撃を制限しているのに対し、エリカは全く容赦しなかった。
二人はなるべくお腹と間接を打撃し、たいしてエリカは二人のイケメンといえるであろう顔面とおなかをを容赦なく殴り蹴った、しかも威力強化魔法を込めて。
二人が床に倒れたところで、もう一人を目線で探す。
突如後ろからあの鎖を背中に押し付けられ、鎖が蛇のように自動で絡みついてきた。
二人がおなかや顔を抑えながら立ち上がり、丁寧にエリカをエリカの部屋のベットまで運び、鍵を閉めた。
そんなとき
「エリカ~、ただいま~、少し相談したいことが~」
返事がない、気配もない、だが嫌な感じがする。
途端に初めてこの城に入った時のように、扉が突然しまった。
それを遠くからアルンが見ていて、異変を感じたアルンは上空に向け、先端が刃物ではなく笛の形をした矢を打ち、彰を助けようと城に一番近い山へと向かった。
山の上から城の中を覗き込む、エリカの寝室が見え、鎖で縛られているのが見えた。
「あれは、彰を迎えに来てたヴァンパイアなのかしら、この前見たあのすさまじい威圧感はどこに行ったのかしら、しかも、なんか見た目が若くなっているような……なんか知らない男が入ってきた、何か話しているようだけど遠くて聞こえない」
突如、目が合った300メートルはある距離だ。
さすがヴァンパイアといったところか。
「おい、そいつの始末は少しあとだ、外にエルフの娘がいた、あいつらが絡んでくると厄介だ、姫以外なら殺してもかまわないだろう」
「よし、行け、死体は残すな、ついでに血は俺たちの分も残しておけよ」
アルンが危ない。
だが、この二人……、実力は多分俺と同等かそれ以上、どうやら彰が風魔法を使えるとは知っていないようだ。
ヴァンパイアの回復力は知っている、目を傷つけたくらいなら一日あれば治る。だから、一人がアルンを追っているすきに、今上から両手をつかみ背中を押さえつけている奴の目を風魔法の鎌鼬で浅く切りつけた、もう一人とは互角に戦っていたが
お互いに武器が交わった時、どうやら武器の強さはこちらのほうが上のようだ。
こちらの奴は追ってこないように、倒した後に両手両足の靭帯を浅く切った。
二人が苦しんでいるときにエリカを発見し、鎖はなかなかきれなかったから、あきらめてすぐに抱きかかえ城の外へと逃げ出した。
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その時アルンはエルフの森に向けて逃げていた。
そのすぐ後ろをもう一人が追い、突如数十本の矢が追跡者の行く手を阻んだ。
「アルン、助けに来よ~!」
「女の尻を追う男はモテないぜ~」
「うちの姫様を狙うなんて200年早いのよ」
それはエルフの戦闘部隊だった。
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アルンは多分大丈夫だ、後ろを護衛が城へ帰る道の半分くらいまではこっそりつけてきていたようだし、俺一人じゃあの三人には勝てない
「エリカ、どうすればいい? 」
「とにかく城から距離をとりなさい、私とあなたの二人ならあの三人に勝てるかもしれないけど、今の私は戦力外」
“力が欲しいか”
またあの声だ
何かわからないが、遺跡のほうから聞こえた気がする。
ほかに具体的な逃げ道もわからないし、声のほうへと逃げる
まさか、この判断があのような事態を引き起こしてしまうとは、思っていなかった。
二日ぶりにまた投稿しました。
ぜひ引き続きお楽しみください。次回はできれば明日明後日には投稿します。