第一章9 修行とリフォーム
初めての魔法そして空中戦闘を経験し、おまけに最後の一撃で魔力と体力のほとんどを使った。
どうやら体力は持って30分、魔法を使えばその分体力とは違う。
勉強につかれた時のような疲労感がどんどん襲ってくる。
使った体の部分にも疲労がたまる。
手から魔法を放った時は、まるで数時間もテストを受け続けたように手が一気に疲れ、息も少し荒くなってしまう。
そんな疲れた精神を目の前の光景が刺激する。
布団を少しめくるとつやつやな銀髪、そして思わず理性を保っておかないと襲ってしまいそうな寝顔が見えた。
「エリカ」
呼んでも起きない、
イケナイコトダト分かっていながらも、布団をゆっくりめくる、肩が見えたのにまだ服も下着も見えない
“ゴクリ”とつばを飲み込み、ついに谷間が見えてきた時。
「プフッ、どうしたの? もしかして裸だと期待させちゃった? フフッ」
エリカは普通に起き上がり、その日の服は
赤い地に黒いバラの模様、そして黒色のレース編みで編まれた袖とスカートの先、さっきは見えなかった。
もう片方の方には布がかかっていて、赤いバラのが肩のあたりに飾られている。
先ほどの姿勢から見ると上半身裸なのをどうしても思春期の男だったら想像してしまう。
「ほんと彰をからかうのは楽しい」
「うっしぇ、そっちだってこの前は恥ずかしがったくせに」
そう言われ、エリカも若干は赤くなり、立ち上がって照れ隠しのつもりか。
急に彰の手を引っ張り月の光の差し込む庭へと連れていく。
「さぁ、あのレベル二体倒すのにボロボロになるくらいじゃ、強さが足りないわね、今から鍛えてあげるからかかってきなさい」
「あのロボットどもを相手にしているときは絶対強くなったぜ」
「そんなに自信があるなら見てあげるわ」
踵をあげ、スタートダッシュっぽいポーズをとり、足元にバリアを逆展開し、その下に風魔法を圧縮、一気にエリカに向かって加速していく。
だが、くるりと避けられそのままの勢いで優雅な回し蹴りをおなかにくらい、壁にぶつかる。
女の人に暴力を向けるのは気が引けていたが、実力差を今ので思い知り、全力出さないと手も足も出ないとわかった。
「よくそのヒールでそんなに動けるな! チッ、これならどうだ!」
そう言って風魔法の鎌鼬の軌道に回転をかけ、エリカの背後にバリアを逆展開避けられないようにし、そのあとつかさず手に魔法を回転させて纏わせ、ドリルのようにしたあと、再び突っ込む。
その時、彰は思った……あれ? 今のセリフ、完全にやられるザコのセリフじゃない?
エレナは全身を包み込むほど大きな丸いバリアを張り、そのバリアを一気に拡大し、突っ込む最中の彰も含めてすべて弾き飛ばした。
そして、半透明な分身を一体作り出し、彰に向かってすさまじい格闘術のようなコンボを繰り出す、こちらの攻撃は一切届かなかった。
「はい、今日はこれで終わり。さっき私が見せたバリアと分身の練習をしておきなさい、今からやり方をお姉さんが手取り足取り教えてあ・げ・る♡」
コテンパンにやられたのになぜかときめいてしまう自分が嫌だ、俺もしかしてドMなのか?思わずそう自分を疑ってしまった。
エレナは
「近くの湖に水浴びをしてくると言って」
翼を広げ飛んで行った。
その後ひとりで庭で練習をしていた。
全身バリアは魔力で全身の皮膚を包み込むだけだったが、あのサイズまで大きくするのはまだまだ時間がかかりそうだ。
分身のほうは魔力で器を作り、どういう動きをさせたいかあらかじめイメージし自分の血を一滴中に入れる。
そうするだけで思い通りに動いてくれる、ただし、鳥などの飛ぶものは、自分が翼の使い方を知っていないと、作っても飛べない。
練習にも飽きてきて
「時は満ちた、計画を実行しよう」
言っててなんか自分も恥ずかしくなってしまう、中二病っぽいことを言い、こちらでの生活を理想へと近づかせる計画を実行する。
城の近くに半径5メートル、深さ1メートルのくぼみを掘り、再びあの洞窟へと足を運ぶ。
「この前は運がよかっただけだ、今度は慎重に行こう」
歩いていた時とは違い今度は一時間もしないで着いた。何せ木と木の間を飛び抜け、枝からジャンプする際、森から体が飛びぬけているほどの高さ、ひとけりで20メートルは飛んでいる。
風が全身を通り抜ける心地よさ、スカイダイビングもこのような感じなのだろうか。
いや、あの強風で顔面がブルドッグみたいになっているのだ。
気持ちよさそうには見えなかったな~。
「今度またエルフの森にお邪魔してあの木の上から飛び降りてみよ、風魔法とバリアで減速すればいいし」
洞窟についたが、この前のような熱気は伝わってこない。やはりあのかっこいいドラゴン、もう一度見たいが、エリカから《危険! 注意!》と言われたのでさっさと目的の黄色い結晶を洞窟の入口近くのを二つ取り、城へと引き返す。
すると、森の中を飛びぬけていく最中、今度は大きな黒い影じゃなく、まぶしい光が遠くの夜空と森を照らし、こちらへ近づいてくる。
徐々に近づいてくるにつれて、やっとそれが何かわかった、あの炎龍だ。全身そして翼に火を纏わし、まぶしく燃え通った後にはジェット機が通ったような雲ができていた。
翼が羽ばたくたびにすさまじい熱風が襲ってくる。
頭上を飛び越えていく光景は、恐怖と同時にあの強さを体現のような姿を見入ってしまう。
洞窟のある山のてっぺんを飛びぬけ山の向こうへ消えていった。
「あと一歩出るのが遅かったら、あいつと出くわす所だったな」
結晶を持ち帰り、さっき掘った溝の近くに置く。
少しずつ溝に水路を引いていくまずは下流のほうから、掘り進めて、今の体力でも二時間はかかった、
「ふう、半分終った、これで流れる先は作った、次はいよいよ川の水をここに! 」
溝から川の上流に向けて掘り進め、やっと川まであと少し、あと一掘りで風呂が完成する!
そして、感動の一掘り、水がどんどん溝のほうに流れていく、そして満ちていき、もう一つの水路から流れ出て元の川へと帰っていく。
水風呂が完成した
よし、最後の仕上げだ。
水風呂の入水路に黄色い水晶を設置する。
すると水風呂はすぐに湯気を立てた
「おおーー! 掃除も! 再加熱も! いらない風呂の完成だ!」
まあ、吸血鬼になった現在、汗は最低限の毒素の排出ぐらいしか出ない。
エリカは全く汗をかきもしない、だがどうやらきれい好きで、肌についたほこりなどを普段は冷たいのを我慢して川水で流していたようだ。
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そんな時魔王城では、
「王よ、姫様が新たな眷属を作ったようです、どういたしましょう」
恐ろしい目つきをし「そ奴は男か?女か?」
緊張しながら「殿方、のようです」
「我が自ら向かい、そ奴の息の根を止めてやろう! 人間の分際でわが娘に近づくとは! エリカには吾が将軍の子孫と婚約してもらう、婚約するまでは自由にしていたが、勝手に眷属を作るとは」
「お待ちください王よ! あなた様にはまだ天族と戦闘に備える仕事が残っております!騎士を三人ほど送りつけましょう、ひとりひとり姫よりは弱いかもしれませんが、あんななり立てすぐに始末できるでしょう。できるな」
三人:「「「かしこまりました、お任せください」」」
「必ずや姫にまとわりつく虫けらを消し去って見せましょう」
「よかろう、ただし! 娘に擦り傷一つでも付けたら貴様らの命はないと思え」
どうぞ引き続きお楽しみください、13日からは学生生活が再開してしまいます。
なるべく暇な時には書いてこきます!