番外編・君の存在
サブタイトルにも書いたとおり、Your mineの番外編です。遼視点ですね。
何だろう。この気持ちは。
今までに感じたことのない切なくて、痛くて・・・。
「遼・・・?」
声のした方を見ると、由宇が心配そうな顔で佇んでいた。
「ん?なにが?」
俺は無理に明るい声を出して笑った。
「大丈夫・・・?」
由宇がおそるおそるといった感じで、歩み寄ってきた。
「だから、なにが?」
「遼、泣いてるから・・・」
「・・・・・」
俺はそこで初めて自分が涙していることに気付いた。
「あれ?嘘・・・全然、気付かなかった・・・ゴミでも入ったんかな」
「小夜に・・・ふられたの?」
こういうとき女って鋭いよな。
「あ、分かる?俺、ダサすぎだよなぁ。先に告白したのにあいつに持ってかれるなんてさ」
「・・・無理、しなくていいよ」
「何言ってんだよ。無理なんてしてねえよ。ま、俺は恋多き男だから?小夜ぐらいにフラれたからってなんの問題も・・・」
俺は次の瞬間、由宇に抱きしめられていた。
「無理しないで・・・泣いていいよ」
由宇の声は震えている。
あぁ、そうか。こいつも耀が好きだったんだよな。
俺が失恋、つまり由宇も失恋ってことだ。
辛いのは、俺だけじゃない。
そう思うと、無理に作っていた笑顔がとれ、情けなく歪んだ顔になった。
両目からは再び涙が溢れ出す。
大好きだった。
人をこんなにも好きになったのは初めてだった。
ひとつひとつの行動が可愛くて、愛しくて・・・。
俺も由宇の背に手を回し、抱きしめあいながら、泣いた。
まるでお互いがいなければ、どうにかなってしまうというふうに強く、強く抱き合った。
「あ、遼、由宇・・・」
「よ、よお」
小夜と遼がきまずそうに声をかけてくる。
なに遠慮してんだよ。バーカ。
俺はもうこうして一緒にいてくれるこいつがいれば、大丈夫だよ。
この手さえあれば・・・。
「よぉ」
「おはよう、耀、小夜」
俺たち二人はしっかりと手を握ったまま、耀と小夜のもとに歩いていった。
本当に久しぶりの投稿です。
まだまだ未熟者ですが、応援してやってください。
評価をお待ちしてます。