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魔力ゼロの俺、能力UPの【ふしぎな種】を食わずに栽培してみたらMP無限増殖のチート農園で最強スローライフを満喫中な件  作者: 黒おーじ
一章 魔法農園の始め方

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第11話 食べるか……


「……食べるか」


 俺は生唾(なまつば)を呑んだ。


 手のひらには9つのふしぎなタネ。


 これをすべて食べれば、俺の魔力は10になるはず。


 ゴクリ……


「いや、やっぱヤメよう」


「にゃあああっ!?」


 聡子がとなりで盛大にずっこけた。


 小さな足がきれいに逆さを向いている。


「でも……やっぱ食べよっかなあ」


「もうイイにゃ! 勝手にするにゃ!」


 ぷんすかと怒る猫。


 んだよ、気の短いヤツめ。


「いや、今度はガチだって。ほぉら」


 そう言って、本当に黒い(タネ)を一つ口に放り込んだ。


「む、むむ……」


 喉に熱い感覚。


 喉元を過ぎれば熱さは消え、胸に一つの抽象的なエネルギーが生じる。


「わっ、本当に食べたにゃ」


「食ってから引くのヤメてね……」


 食った感覚自体はだいたい前と同じ。


 だが、先に1の魔力があったぶん、今は胸に2つのエネルギが存在しているのがハッキリわかる。


「でも、まだひとつにゃよ。この程度ではあまり変化はないニャ」


「むっ……まだまだ! そりゃ!」


 今度は二つ同時に口へ放る。


「むむむ……おおおお!」


 飲み込むと、2倍のエネルギーが宿った。


 苦しさはない。


 むしろそこはかとない「喜び」のようなものが湧く気がする。


「こりゃいっぺんに食ってもだいじょうぶそうだな。……それッ」


「にゃにゃッ!?」


 残りの(タネ)がすべて俺の口の中へ。


 心地よい熱さが喉を抜け、6つのエネルギーのきらめきが胸の中で弾ける!


「タネうめええええ!」


 満ち満ちる上昇感。


 これで俺の魔力は10だ!


「そ……そんなうまいのかニャ?」


 よだれを垂らす聡子。


 まあ、味はねえけどな。


 あ……でも真面目な話、聡子にも(タネ)の分け前をあげた方がいいのか?


「何故にゃ?」


「だって……いつも横から口を挟んだり、となりで欠伸(あくび)したり、魔法の使い方を教えたりしてくれてるだろ」


「……うんニャ。味が無いなら、(タネ)はヒロトが食べるにゃ」


 聡子はぷいっと目をそらして、軽く伸びをした。


「ヒロトの魔力があがれば我ができることも増えるのにゃ」


「どういうこと、それ?」


 そもそも。


 聡子をそのように名付けたのは俺のひいじいさんだったよな。


 これによって、ひいじいさんの力に比例して聡子の能力がボーナス加算されるというリンクが生じたのだそうな。


「千蔵の魔力はゼロだった。しかし異常に強かったからニャ。その恩恵で我にも相応の戦闘能力が備わったにゃー」


 しかし、名付け主のひいじいさんが死んで、その戦闘能力ボーナスもなくなってしまったらしい。


 その後。


 ひいじいさんの末裔である俺が森中の農園に住み着いたことで、リンク先が俺に移った。


 つまり、俺の能力によって聡子の能力が加算されることになったワケである。


「うむ。ヒロトの力ごときではほとんど加算がなくて今まで気づかなかったのだがニャー」


 そりゃ悪かったな!


「しかし……さっきキサマが(タネ)を食べた時、我の魔力も増大したにゃ。おそらくそういうことニャー」


 ……なるほど。


 そう聞くと(タネ)は俺が食った方が良さそうだ。


「そんなことより魔法弾を使ってみるニャー」


 確かに!


 俺はポッケからひいじいさんの九四式拳銃を取り出す。


 狙いは農園の隅に佇むあの巨岩。


 これまではあれに十円玉くらいの穴が空く程度だったが……


 それはあくまで魔力1の威力。


「魔力いくつくらい使おうかなあ」


「最初は魔力数値など考えずに全力で撃つにゃ」


「なんで?」


「全力の感覚を知った上でコントロールを覚えてゆく方が悪いクセがつきにくいからニャー」


 たまにマジで説得力あることを言うので油断ならない猫である。


「とはいえ、いきなり全力でか……」


 ちょっと怖い気もする。


 だって、これまでと比べて10倍のエネルギーを持っているわけで、何が起こるかわからない感がヤバいんだ。


 でも……


「……全力で、全力で」


 俺は聡子のアドバイスを愚直に唱えながら、銃口を岩へ向けた。


 直感的に納得した助言には従ったほうがいい。


「全力で、全力で……全力で!!」


 引き金を引いた。


 その瞬間の感覚はほとんど変わらなかった。


 変わったのは結果。


 どッコーン……!!!!


 目に入ったのは、狙いの巨岩が砕けて砂埃(すなぼこり)を上げる光景であった。


 近寄ってみると、岩は四つに裂け、その割れ目はまるでショベルカーにでも砕かれたように無惨である。


「や、ヤバぁ……」


 思わず絶句。


 あまりに非現実的な威力に、我が事ながらちょっと引く。


「ニャー!」


 そんな俺の肩に、聡子がスルスルと登って口元をぺろぺろ舐めてきた。


「ちゃんと魔力を使い切ったようだにゃ。素直な弾道だったニャー」


「った、ったりめーよ……」 


 俺は震えがちの手で拳銃をしまう。


「この総魔力なら上のランクのモンスターと遭遇しても戦いの幅が出るニャよ」


「そ、そうかな」


 まあ師匠もそうおっしゃるし……


 西の村、行ってみるか。


 ――怖いけどな。


次回更新、明日12時10分

※ここまでで『一章 魔法農園の始め方』が締めです。

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