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アサガオ→朝顔

二日目だぜ……へへっ


「え? 太もも? 太ももがある?」


 今、僕なんて言った? 太ももだって? アサガオの自分に?

 再度確認をするが、しっかりと僕には二つの太ももがあった。きっと僕も見え方からするに僕は正座をしているのだろう。

 今も僕の右太ももからは少しながら葉緑体が出ている。


「だから言ったでしょう? もっと自分の姿をよく見てみなさい!」


 少女は私服のポケットから手鏡を取りだして僕に渡してくれた。受け取れた? ってことは腕もしっかりと付いている……それに、そういえば最初にヒールを投げられた時、体じゃなく首を使って避けたような気もする。

 渡された手鏡を使って自分をよく見てみる。うん、もう右の太ももの傷は止まったみたいだ。けれどきっとこの傷が完璧に治るには三日掛るだろうな。それにこの葉緑体の減り、しばらく光合成ができないかも……。


「そっちをじゃなくて、こっちを見るの!」


 持っていた手鏡を手首ごと掴まれ、顔の前に持ってかれる。

 真っ青な色の髪、大きな目は髪の毛より少し淡いビー玉見たいな目。肌は白く、整った顔立ち。そのまま手や足も確認する。肩から伸びた二本の腕はちゃんと五本指が生えていて腰から伸びた足もしっかりと二つくっついている。それと僕は何故か全裸だ。なんとかパンツだけ履いているけど。


「こっ、これ誰?」


 と、しっかり確認をしたあと、目の前の少女に質問してみた。


「なに言ってるのよ? それ、あなたよ?」


「……うそ…………」


「嘘じゃないわ、本当よ」


 少女は当たり前のように答える。

 僕が? 植物が? 人間に? そんなことあるわけがない。

試しに持っている手鏡で空いている手を鏡に向かって指をさす。


「おっ!」


 鏡に映っている青い人も同じ様に同じタイミングで指をこっちに向けてきた。だが、これだけじゃ信じられない。次はもう少し難易度をあげて手でキツネを作ってみる。


「おおっ!」


 また鏡に映っている人も同じ様にキツネを作ってきた。

 けれどまだ信用できない。手とかだときっと簡単に真似をすることができるからな。よし、これならどうだ。


「うっ!」


「次ウィンクしたら殴るわよ! そんなもの自分の傷口見ればわかるじゃない」


 もう殴ったじゃん。と反論しようと思ったが、たしかに彼女の言っていることはかなり的を得ていたのでやめた。

 さっき確認をしたがもう一度傷口を見てみる。うん、しっかりとあった。


「…………(ブルブルブル)」


「なっ、なに震えているのよ」


 少女は震えている僕から、逃げるように一歩後ろにさがる。


「…………(ブルブルブル)」


「そ、そんなに痛くなかったわよね? そんなに強く殴ってないし……」


 そりゃさっきの殴られたのもそれなりには痛かったが体が震えるほどではない。

 少女はまた一歩と後ろにさがる


「…………(ブルブルブルブルブルブル)」


「だ、大丈夫……?」


少女は僕のことが本当に心配になったのか、それまでとっていた距離を詰めて僕の顔を覗いて――その時。


「うおおおおぉぉぉぉぉぉ! 人間になったぞおおおぉぉぉぉ!」


「きゃっ! 急に叫ばないでよ。驚くでしょ!」


 少女はびっくりしたらしく最初に会った時と同じように尻もちをついて転んでしまった。もちろん縞のパンツが丸見えだが、今はそんなこと気にしていられない。


「すごい! 腕がある! 見てみて腕が生えてるよ!」


「わかってるわよ! それより危ないから落ち着いて!」


 少女はさっきのこともあるのか、すぐに態勢を整えて僕に訴えてきたが、今の僕にはそんな彼女の叫びは届かなかった。

 だって植物が人間になったんだぞ? 言うなれば、透明人間になりたいと願った中学生が次の日朝起きると本当に透明人間になっていた。みたいなことだからな。


「よっしゃあぁぁぁ、これで僕は自由だあああぁぁぁぁ!」


「ちょっと待ちなさい! ど、どこに行くきよ! それにあなたは最初から自由でしょ」


 少女がしっかりとツッコンだあと、僕は何故か正座で乗っていたテーブルから飛び降り、笑顔で玄関へまっすぐと走って行く。

 ああ、走るってこういうことなのか。走るってこんなに風邪を感じることなのか。

例えるならこうだろう。中学生の僕は朝起きたら透明人間になっていて、少しパニックになったけど、よく考えたら今日は学校……学校ってことはウフフ、ウフフフフフと気づいたぐらい外に出たいのだ。


「グッバイ!」


 そう言って、少女を背にさらにスピードをあげる。


「ちょっと待ちなさぁぁああぁああぁあいいぃ!」


 少女が後ろで叫んでいるが、待ちなさいと言われて待つ奴がどこにいる。もう僕を止めれる人はいない!


ガンッ。


 うん? なんか近くで妙な音がしたな。しかも低くて体内に響く様な感じだったな。あれ? 視界がどんどん狭くなっていく。足もなんか動かしにくくなってきたな。くそ、あと少しで外なのに。


「駄目……だ……」


 ついに僕は床に倒れてしまった。後ろの方からは誰かが近づいてくる音がする。うん? なにか拾ったな、何を拾ったんだろう。えーと、あれはヒールだ。しかも緑色の液体がついている。


「……そういうことね」


僕はここで完全に意識がなくなってしまった。


ユウチュウブも……よろしく……ぐはっ

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