表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/8

001.ぼっち、人を助ける


 ちまちまと書いていたモノがキリの良いところまで書き上がったので放出です٩( 'ω' )و

 とりあえず、そのキリの良いとこまでは毎日更新を予定しております。


 お読み頂いた皆さまが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。



 ――30年くらい前に突如地球上に現れた迷宮(ダンジョン)

 ――現在も各地で増えたり減ったりを繰り返している


 ――わたしは、そんなダンジョンを潜って仕事する探索者だ


   ・

   ・

   ・


「ううぅ、やっぱりダンジョン怖いよー……武器重いよー……なんでわたし探索者やってんだろう……ぅぅ」


 湿地帯を思わせる湿った洞窟のかなり広い通路。

 そこを涙混じりに独りごちるアッシュブロンドの髪をした少女の声が反響する。


 その少女――最果(モトクワ)リリィは、学年でいえば高校一年生のはずながら、非常に小柄だった。


 手足も細く、胸も、お尻も、太ももも薄い。

 さらに童顔であるのも相俟って、年齢よりもずいぶん幼い見目だ。


「来るダンジョン、間違えたかなぁ……暗くてジメジメで、なんかやだぁ……ああ、でも依頼はここだもんなぁ……」


 小学生に見間違うような容姿もさることながら、それ以上にその四肢の細さや身体の薄さは、見ていて(いささ)か不安を覚えるほどだ。


 上に羽織っているダンジョン探索用フード付きコートは使い古されてボロボロだし、その下にのぞく学生服らしきものも、どこかヨレている。


 イギリス人である祖母ゆずりの天然のアッシュブロンドも伸び放題で手入れもされていないのか、ボサボサのゴワゴワだった。


「うぅぅ……お腹空いたな……食べられるモンスター……出てこないかな……」


 リリィはズリズリと何かを引きずりながら、メソメソと独りごちて、ダンジョンと呼ばれるこの洞窟を進んでいく。


 彼女が引きずっているのは巨大な剣だ。

 (つか)は歪んだ鉄パイプのようだし、刀身もガタガタで、もはや斬るのに使えるのかもあやしい。そもそも刀身は元々もっと長かったようなのだが、先端の方は明らかに折れてしまっている。


 それどころか、柄と刃の付け根は留め金が緩んでしまっているのか、紐がわりの包帯らしきモノと針金でグルグル巻きにして補強されていた。


 先端が折れてなおも、自分自身の体躯(たいく)よりも大きいその鉄くずのような剣は、背負っても腰に差しても邪魔になるので、そのまま握って引きずっている。


「討伐対象の……グレートマンダー……食べたら美味しいかな……」


 リリィが名前を独りごちた名称は、このダンジョンの10階に出てくる、サンショウウオのような見た目の大型モンスターだ。


 それがここ最近、初心者が多い3階で目撃されているという話が多数出てきたという。

 その為、探索者協会――通称ギルドの地元支部が、リリィを指名しての調査と討伐を依頼をしてきたのだ。


「食べられなくても……報酬が入るから……ご飯は食べられる……よし!」


 そう思うと、気合いが入る。


 調査した結果でモンスターがいないと、報酬を貰えないので是非ともモンスターには出てきて欲しいのだが……。


「あ、でも……こんな低層に出てくるってコトは、どこかで人が襲われるかもしれないのか……それは、なんかヤだな……」


 報酬は欲しいが、傷つく人は出て欲しくない。

 そんな想いを抱きながら、リリィがダンジョンを進んでいると――


「何、コイツ……ッ!!」


 ――どこかから、女性の悲鳴のような声が聞こえてきた。


 続けて、なんらかの攻撃手段を講じただろうドン、ドン、ドンという炸裂音。


「……!?」


 直後、リリィの表情から泣きべそ顔が消え、代わりに高潔な戦士を思わせるモノに切り替わる。


「……どっちだろ? 向こうかな……?」


 ちょっと(にじ)んでいた涙を拭うと、(うつむ)き気味だった顔を上げた。

 足早に声のした方へと走り出す。剣は相変わらず引きずりながら。


「これッ、絶対に3階にいるようなヤツじゃないでしょッ!」


 再び聞こえる大声と、ドンという音。

 声と音は、だいぶ近づいてきた。


「女の人の声……どこ……!?」


 声の主は、恐らくリリィがターゲットにしているモンスター、グレートマンダーに襲われているのだろう。

 元々10階に生息しているモンスターだ。当然、この辺りにいるモンスターと比べものにならないほど強い。


 3階あたりをメインにしている人からしたら、強敵どころか出会うだけで危険なレベルの相手だ。


「どこ……!?」


 手遅れにならないうちに見つけないと。


 水たまりもある泥濘(ぬかる)んだ地面を蹴り上げながら曲がり角を飛び出す。


 その時、リリィの目が、必死にこちらへと走っている長い黒髪をツインテールにしている綺麗な女性を捉えた。


(え? メイド服?)


 探索者の装備としては珍しい銃剣(ベイオネット)を携えた――なぜかメイド服である――女性も、リリィに気がつけて目を見開く。


「え? 女の子……ッ!?」

「みつけた……ッ!」

「逃げてッ、危ない……ッ!」

「……うしろ……ッ!」

「えッ?」


 わざわざこちらを気に掛けてくれたその瞬間に、ドタバタと足を動かしていたグレートマンダーが大きく跳躍したのだ。


 物理的な意味で硬い石頭を持つグレートマンダーのジャンピングヘッドバット。

 リリィを気にしたせいで、女性の反応が明らかにそれへの反応が遅れてしまっていた。


(……助けないと……ッ!)


 力一杯地面を踏みしめる。

 次の瞬間、水と泥濘(ぬかるみ)を激しく蹴り飛ばし、リリィが加速した。


 一瞬で距離を詰めて、女性とグレートマンダーの間に入る。


「え? え?」


 戸惑う女性を背に感じながら、リリィは愛剣の腹をグレートマンダーへ向け、裏側に手を添えた。

 そして勢いあるヘッドバットを受け止める。


「させない」


 激しい衝撃が剣を通じて両手を、踏ん張る足を揺るがす。

 水たまりが弾け、泥が跳ね、踏ん張る両足が、泥濘に僅かな(わだち)を作る。


 だが、リリィは気にした様子もなく、押し返すようにグレートマンダーを弾いた。


 その際に、グレートマンダーは空中で器用に一回転すると、腹を下にして着地。

 とはいえ何が起きとか分かっていないようで、戸惑うように頭を振っている。


 ちょうど良い(すき)だ。


武技(アーツ)凶桜(マガザクラ)白黒禍断(シロクロカダン)


 剣を右肩に背負うように構えて、スキルを宣言。

 すると、剣が禍々(まがまが)しい黒いオーラに包まれた。


「いく」


 右肩に背負うように構えたまま、リリィはグレートマンダーに踊り掛かる。


吹雪(ふぶ)けッ!」


 袈裟懸(けさが)け一閃。

 鋭い斬撃と共に、闇色のオーラが弾け、黒い吹雪(ふぶき)となってグレートマンダーを拘束するように包み込む。


 振り下ろした姿勢から腰だめに剣を構え直しす。

 剣が、今度は白いオーラを纏った。そしてその剣を返す。


彩無(いろな)き世界の花と散れッ!」


 地面を蹴って、目にも留まらぬ速さで湿った土の上を駆けた。

 すれ違いざまに横一閃。勢いのままに払い抜ける。


 黒いオーラと白いオーラが混ざり合い、それが鮮血のように吹き上がった。


 グレートマンダーは深々とした十字傷を刻みながら地面に伏す。

 明らかに致命傷。これで決着したのだと、誰の目から見ても明らかだ。


 そして、強烈な斬撃とオーラの衝撃で絶命したグレートマンダーを追悼(ついとう)するように、吹き上がった二色のオーラがモノトーンの花吹雪となって舞い降りてくる。


 そんな中、残心をしながら本当に倒せたのか様子を伺っているリリィの横顔は下手な男性よりも凜々(りり)しく男前で。


 あまり手入れのされてないボサ髪や、雑に剣に巻き付けられた包帯に、リボンや服の装飾などをたなびかせながら、白と黒の花吹雪の中に佇む様子はもはや一枚の絵のようだ。


「……イケ幼女……やばい……」


 助けられたメイド服の女性は、割と本気で、その横顔にひと目惚(めぼ)れしかかっていた。


  ・

  ・

  ・


 ――わたしにとってダンジョンは恐い場所で

 ――だけど同時に、わたしが唯一存在を許されている場所でもある


 ――だからわたしはダンジョンに潜る。潜り続ける。



 本日は初回ですので、複数話いきます。

 準備が出来次第、次話も公開しますのでよしなに٩( 'ω' )و

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他の連載作品もよろしくッ!
《雅》なる魔獣討伐日誌 ~ 魔獣が跋扈する地球で、俺たち討伐業やってます~
花修理の少女、ユノ
【書籍化】異世界転生ダンジョンマスターとはぐれモノ探索者たちの憂鬱~この世界、脳筋な奴が多すぎる~
迷子の迷子の特撮ヒーロー~拝啓、ファンの皆様へ……~
【書籍化】鬼面の喧嘩王のキラふわ転生~第二の人生は貴族令嬢となりました。夜露死苦お願いいたします~
フロンティア・アクターズ~ヒロインの一人に転生しましたが主人公(HERO)とのルートを回避するべく、未知なる道を進みます!~
【連載版】引きこもり箱入令嬢の結婚【書籍化&コミカライズ】
【完結】リンガーベル!~転生したら何でも食べて混ぜ合わせちゃう魔獣でした~
【完結】レディ、レディガンナー!~荒野の令嬢は家出する! 出先で賞金を懸けられたので列車強盗たちと荒野を駆けるコトになりました~
【完結】その婚約破棄は認めません!~わたくしから奪ったモノ、そろそろ返して頂きますッ!~
【書籍化】魔剣技師バッカス~神剣を目指す転生者は、喰って呑んで造って過ごす【コミカライズ】
コミック・サウンド・スクアリー~擬音能力者アリカの怪音奇音なステージファイル~
スニーク・チキン・シーカーズ~唐揚げの為にダンジョン配信はじめました。寄り道メインで寝顔に絶景、ダン材ゴハン。攻略するかは鶏肉次第~
公爵家のメイドは今すぐ職場に帰りたい[引きこもり箱入令嬢の外箱]
紫炎のニーナはミリしらです!~モブな伯爵令嬢なんですから悪役を目指しながら攻略チャートやラスボスはおろか私まで灰にしようとしないでください(泣)by主人公~
愛が空から落ちてきて-Le Lec Des Cygnes-~空から未来のお嫁さんが落ちてきたので一緒に生活を始めます。ワケアリっぽいけどお互い様だし可愛いし一緒にいて幸せなので問題なし~
婚約破棄され隣国に売られた守護騎士は、テンション高めなAIと共に機動兵器で戦場を駆ける!~巨鎧令嬢サイシス・グラース リュヌー~
【完結】シグレ諦観剣~異世界不老少女交刃譚~
約束守りの図書館令嬢
【完結】巻き戻り悪役令嬢の奔走~ルツーラと引きこもらなかった箱入令嬢~[引きこもり箱入令嬢の外箱]
ダウナー・ジャジー・シーカーズ~テンション低めの気怠げお兄さんによる飯テロ有のマイペースダンジョン配信~



短編作品もよろしくッ!
オータムじいじのよろず店
高収入を目指す女性専用の特別な求人。ま…
ファンタジーに癒やされたい!聖域33カ所を巡る異世界一泊二日の弾丸トラベル!~異世界女子旅、行って来ます!~
迷いの森のヘクセン・リッター
うどんの国で暮らす僕は、隣国の電脳娯楽都市へと亡命したい
【読切版】引きこもり箱入令嬢の結婚
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ