使い魔契約の仲介
「そう言えば、良かったら教えて欲しいんだけど……凛さんって動物霊と使い魔契約している?」
美帆さん達に家賃分のアイピローとクッションを渡し、お土産(プラス食事代)にもう一セット持って藤山家に行ったら、夕食を食べている最中にそっと碧ママに聞かれた。
「ええ、碧以外には秘密にしていますが、実はそうなんです。
聖域でも白龍さまが刈った雑草集めを手伝って貰っています」
先月に新しい倉庫用の洞窟に壁と扉を尾山さんと一緒に碧パパが設置してくれた時に、使い魔達の方を見ていたと言う話だったからね〜。あの時にバレたんだろうなぁ。
どうせ碧も知っているんだし、明らかに聖域での雑草集めの効率が女性二人の作業にしては良すぎるので、無理に隠す必要もないだろうと頷いておく。
「あれって、凛さんが仲介して私や修さんが契約するのって可能かしら?
いくら言っても勝手に山に入って迷子になる人がいるから、そう言う人を探したり、熊や鹿を追い払うのに使えたら便利なんだけど。
勿論、凛さんに手伝って貰って使い魔契約をしたなんて誰にも言わないわ」
碧ママが聞いてきた。
修さんって……碧パパの名前だっけ?
久しぶりだから、つい忘れて『誰??』と一瞬考えてしまった。
それはさておき、
確かに迷子探しには良いだろうね。
昔、私たちが来ていた時に迷子になったアホ探しにも、実際に鳥の霊を使って協力した事があったし。
「それなりに魔力を与えないと動き続けられないですが、可能ではあります。
ただ、鹿や熊を追い払うのは難しいかも?」
神経質なタイプなら霊にこっち来るなと言われると別の所に行くが、ムシャムシャ食べながら動いている時とかだと聞き流して無視することも多いからね〜。
本当に鈍感なタイプだと気づかない事もあるし。
「熊がハイキングルートの側に入ってきていたら熊よけスプレーを確実に持って行く様に念押しできるから、それで良いさ。
いくら払えば良いかな?」
碧パパが聞いてきた。
「いえいえ。
色々と頼らせて頂いてますし、大した手間じゃ無いんでお金なんて貰えませんよ〜。
ただまあ、相性もあるので勝手に何処かへ行っちゃって喚んでも出てこなくなることもあります。
そうなった場合は翌月来た時に別の霊と契約を取り持ちますね」
ちょくちょく食事を食べさせて貰っているし、先月は倉庫モドキの整備に貢献して貰っている。それに、何と言っても白龍さまには返し切れない恩があるからね。
白龍さまはお金なんて要らないから、藤山家に返すのが丁度いいぐらいだろう。
「だけど二人で何体ぐらい契約するの?
山全部を見張ろうと思ったらかなり大変じゃない?」
碧が尋ねる。
碧も源之助の遊び相手として元近所の知り合い犬だったシロちゃん(白い犬だったからそう飼い主が名付けたらしい)と私経由で使い魔契約しているが、どうも黒魔術師じゃないと魔力供給の効率が悪いのか、それなりに魔力の消費が感じられるらしい。
だから山を幾つも(聖域とそれ周囲の山全部が藤山家の土地らしい)カバーするだけの数の霊を使い魔契約しようと思ったら、ちょっと厳しいのではないかと心配しているのかな?
「大丈夫よ。
最近は大掛かりな危ない依頼は受けてないし、何か依頼を受けるにしても修さんも一緒だから。
でも、取り敢えず探すための鳥の霊は私と修さんとで一体ずつ契約したいけど、他の鹿や熊の霊は私だけにした方が良いかもだわね」
碧ママが答える。
「了解です。
ただ、熊の霊は場合によっては冬眠すると言って冬になると応えなくなるかもだし、そうするとそのまま昇天してしまうのか、いつの間にか喚んでもこなくなる事があるので、そうなったら新しく契約するので言ってくださいね」
タロウは冬の間に消えて居なくなったからねぇ。期待外れだと怒られないように、もう一度念を押しておく。
「分かったわ。
でも、冬の間に雪の中を歩かないで探せるとなったら本当に助かるわ!!」
碧ママが嬉しそうに言った。
「え、冬に山に入る人なんているんですか?!」
どう考えても自殺行為じゃ無い??
「バックカントリースキーだとか言ってやりたがる人が時々いるのよ。
勝手に滑るだけならまだしも、帰って来てない事が発覚したら結局地元の人間も捜索に参加しなくちゃならなくて、本当に迷惑なのよねぇ」
碧ママが言った。
あ〜。
確かにマジで迷惑そう。
とはいえ、探さなきゃ春になって山歩きした時に腐乱死体か白骨死体に出くわす羽目になるかもだからねぇ。
しょうがないか。
そう考えると、鳥霊の使い魔とかは山岳地帯では必須かもね。




