え、もう?!
「え?!
もう壁と扉が付いてる?!」
昼食後に聖域に着いた私らは、洞窟が見えるところまで来て足が止まった。
乾燥させた雑草を車に一箱運び込み、ラックを組み立て、外に放置されたままの新しく刈られた草をしまおうと思っていたのだが。
なんと。
既にアルミの扉が設置されていたのだ!!
『これ、いつの間に??』
熊手や塵取りで遊んでいる使い魔達に念話で尋ねる。
『じいさんとおっさんが朝に来た〜』
『ちゃんとじっとしてたよ〜』
『おっさんは時々こっちを見てたけど』
コン吉とタヌコ、及びヒコが教えてくれた。
「朝に来てやってくれたみたい」
人が来たら動くなとは言っておいたけど、知らせろと命じてなかったから使い魔達から連絡が無かったようだ。
まあ、爆睡してたから連絡されても起きなかったかもだけど。
クルミは昨日ひいこら言いながらラックを運び込んだ後に回収してたし。
「うわぁ、尾山さんにお礼を言って代金を払わないと。
とは言え、先に中を確認してから行った方が良いよね」
碧が急いで真新しいアルミドアに近づき、開ける。
「おお〜。ラックまで組み立ててくれてる〜!」
碧の声が響いてきた。
私も洞窟に入ってみたが……。
暗い。
入り口の上の方の壁がルーバーっぽく少し光を通す作りになっているので多少は中が見えるが、奥に入るとほぼ見えないな。暗闇に目が慣れればなんとかなるかもだけど、外から荷物を運び込むには不便だね。
隣の洞窟も似た様な構造なのだが、もっと奥行きが浅いから扉とその上の部分から入る光であちらはなんとかなるのだが、ここはもう少し広いから奥はかなり暗い感じになっている。
それでも、両側の壁沿いに置いてある組み立て終わったラックはしっかり見えた。
「有難いけど、なんかここまでやって貰うと悪い気もするね〜。
あと、ちょっと暗いから外にソーラーパネルを設置して、モバイル電源を充電させて照明を付けようか。
ライトはラックに適当にクリップする感じので良いと思うけど」
中を見回しながら碧が提案してきた。
「そうだね。
こっちの壁には午前中なら日が当たるから、外の壁に固定しちゃってケーブルを上のルーバーの間から通せば良さげだよね。
あとでもう一度ホームセンターに行こう」
ネットで買う方が安いかもだけど、ここら辺だったら大きな郊外のホームセンターでもネットと同じぐらいの値段で買えるんじゃ無いかね?
「だね〜。
だけどまずは、尾山さんにお礼を言ってお金を払わないと!」
碧が頷きながら言った。
「碧パパにも連絡して、そっちにもお礼を言っておく方が良いんじゃない? 手伝ってくれたみたいだから」
焼き菓子か和菓子でもお礼に持って行くべきだよねぇ。ここら辺で買ったのを渡すか、東京で買って来月に渡すか、ちょっと悩ましいかも。
取り敢えず、碧は家へ電話。その間に私は聖域のあちこちで草が山積みになっていり段ボール箱を一つずつ集めて洞窟の中に入れていった。
まずは前からあった保管室モドキの方へ先に積んでいく。
が、碧の電話が終わったところでそっちは一杯になってしまった。
新しい倉庫モドキ方はちょっと暗いが……ドア付近から積んでいけば良いかな?
詰みすぎるとそれが光を遮っちゃって奥がさらに暗くなるが。
「なんでも、丁度いいアルミの壁素材と扉がいつも使っている工務店にあったって朝食を食べてたら尾山さんが来たんで、慌てて食べ終わってこっちに来てやってくれたんだって。
お金も既に払ってあるって〜」
碧が教えてくれた。
え〜。
尾山工房(だったっけ、あそこの名前?)の領収書だったら経費として計上できそうだけど、父親からの領収書じゃダメじゃない?
碧パパが尾山さんから領収書を貰っているなら金額分を払ってその領収書を貰えばいいけど。
まあ、『倉庫の壁と扉設置費用』ってちょっと微妙な名称だし、場所をどう説明するのか不明だから経費として計上するのは諦めるかな?
万が一税務調査に引っ掛かったとしても、聖域まで税務署の人に来させるのは難しそうだからねぇ。それとも税務調査って住所と写真でも見せればいいのかな?
「取り敢えず、ソーラパネルと照明とモバイル電源を買いに行く際に、和菓子でも買ってきて尾山さんに渡す?
お金を払ったにしても、急いでくれたのとかラックを組み立ててくれた分のお礼は必要だよね」
あの工房のおばさんとか働き始めた碧の幼馴染(?)の絵梨花さんとかは洋菓子の方が好きかもだけど、初老なおっさんは和菓子の方が好きそうなイメージだ。
甘いもの自体があまり好きでなく、工房の女性陣に譲るかもだけど。
「だね〜」
と言う事で、ホームセンターで必要な物を買い、ついでにその側にあった美味しいと言う評判の和菓子の店でお礼の品を買って尾山工房へ。
「あっという間に壁と扉が出来ていて、びっくりしました!
本当にありがとうございます」
尾山工房に行って、おじいさんに和菓子を渡しながら碧が礼を言う。
私もついでに頭を下げておいた。
「良いんですよ、和紙で酷い中抜きをされていたのが発見されたのは碧ちゃんのお陰だからね!
お互い様よ!」
奥の部屋へ繋がる扉の方から前回会ったおばさんが声を掛けてきた。
おじいさんも頷いている。
かなり無口なんだね、このおじいさん。
口下手じゃあ商売にマイナスだよ?
まあ、おばさんがそれをカバーして余りあるんかもけど。
取り敢えず、絵梨花さんの騒動の時に退魔協会による中抜きがバレた件で恩を感じていたから頑張ってくれたのかな?
マジで情けは人の為ならずって感じだね〜。
取り敢えず。
あとは頑張って草を倉庫スペースに入れて、来月用に商品を作ろう。
バル◯ンを焚くのも忘れない様にしないと。
なんか山もオチもありませんでしたが、聖域改造編と言う事でこの章はこれで終わりにします。
明日は休みますが、明後日からまたよろしくお願いします。




