フラグ?!
「本当にこのクッションとアイピロー、良いわよねぇ」
お土産代わりに快適生活ラボのアイピローとクッションを碧ママに出したら、にっこり笑いながらすっと碧ママの個人的な部屋に隠された。
碧パパと取り合いをしてるのかな?
それとも宮司の家と言うことでちょくちょく出入りする氏子さん達に狙われているのか。
刈った聖域の草を貰っているし乾燥用のスペースも使わせてもらっているので、諸々の使用料として一応毎月一つずつ渡すことになっている。
碧は聖域の本質的な主である白龍さまの愛し子だから使用料を払う必要があるのかは微妙なところだけど、快適生活ラボは私と碧の合同会社だし私は赤の他人だからね〜。
気持ち良く使わせてもらうために、私らの工夫の成果を渡すのも悪くないだろう。
「以前も言いましたが、1日2回以上は使わない方が良いので気をつけて下さいね。
単に眠れなくて困っている時は不眠用のお守りを使う方が無難です」
アイピローは頭痛の元になりがちな視神経とかの負荷をリセットさせる効果があるので、あまり使いすぎるのはよくないと思うんだよね。
「うふふ、大丈夫よ。
一回あれで楽になったのにまた頭が痛くなる様だったらもう諦めて『病人です!』って宣言して休む事にしているから」
碧ママが言った。
「だけど、碧と凛さんはそんなにしょっ中こちらに来る必要があるのかい?
なんだったらこちらで一族の誰かにバイト料を払って聖域の草刈りをしてもらって切った草を送る様に手配するよ?」
碧パパがちょっと心配そうに聞いてきた。
「聖域の素材目当てだけじゃないの。東京でいつでも仕事できる状態でいると、退魔協会からガンガン次から次へと依頼を回されそうじゃない?
それが嫌だと思って、ちょっとこっちに避難してる意味もあるの。
上手くいかなそうだったら美帆ちゃん旦那のところの社員寮から引き払うから、心配しないで」
碧がリビングの方へ進みながら説明した。
と言うか、この話は既にしてある筈なんだけどね。
やっぱ親って子供の行動をいつまで経っても色々と心配するもんなのかな?
諏訪に戻る分には心配する要素は少ないと思うけど。
「ああ。
確かに東京で暮らしていると日帰りでかなり遠方まで行けるから、遠慮なく仕事をするよう頼まれるね」
碧パパが頷きながら言った。どうやら彼もそんな経験をしたみたい?
まあ、碧パパは神社の修繕費稼ぎの為に仕事はガンガンやっていたんだろうけど。
「そ。だから月の半分はちょっと不便なこっちにいる事にして、仕事を減らせないか試すつもりなの」
碧がにかっと笑いながら応じた。
「あ、そう言えば。こっちに歩いてくる途中でなんか呪われてる人を見かけたけど、諏訪にも呪師がいるの?
昔はそれ程見掛けなかったと思うんだけど」
碧がちょっと首を傾げながら尋ねた。
「学生の生活範囲はそれなりに狭いからな。
諏訪でも昔からの呪い呪われている人はいたよ。
ただまあ、最近は少し増えた気がしないでもないね。
情報の拡散でダメ元でも試そうと考える人間が増えたのかも」
少し嫌な顔をしながら碧パパが応じた。
なるほど。
SNSとかブログとかで色々と情報が出て、その中には呪詛とか悪霊の話もあるんだろう。
ネットが広がる前は情報は雑誌とか新聞がメインだったから、国や退魔協会のコントロールがある程度は利いていた筈。呪詛の話なんかも人から人へじゃないと広がらず、不特定多数への瞬間的な拡散は無かったんだろうね。
今じゃあSNSなりブログなり動画なりでいくらでも色々と情報を発信出来るからなぁ。
情報が拡散してそれに触れる人がいたら、たとえ嘘や詐欺だと思っても、殺したいぐらい恨んでいる相手にダメ元でも試そうとする人間が出てくるのは不可避なのだろう。
実際に詐欺師もそれなりに多いんだろうけど。本物もいるのが痛いところだよね〜。
「じゃあ、厄祓いの収入は増えてるの?」
碧がちょっと嬉しげに聞く。
やっぱ由緒ある神社の一族としては、街の人に頼られていると嬉しいのかな?
「多少は?
嘘くさい霊媒師とかに引っ掛かる人は多いし、酷い場合なんかは厄祓いの様子を動画に撮って面白おかしく馬鹿にした感じで動画サイトにアップしたがる人もいて、中々頭が痛いんだが」
碧パパが言った。
あ〜。
やらせっぽく、『呪いなんて無いのに金を踏んだくる悪徳神社』みたいな動画をアップして炎上させて広告料を稼ごうとする奴もいるんだろう。
「かと思ったら死にそうだ!!って騒いで予約もせずに押しかけて来る人も居るしね」
碧ママがため息を吐きながら言ったら……インターホンの音がなった。
フラグ?!




