ヤバい奴?
「きゃ〜、可愛い!!」
高速に入って最初の休憩で碧と運転を変わったのだが、早速碧はスマホを取り出して何やら覗き込んで喜んでいた。
「どうしたの?
青木さんとこの猫部屋ライブストリーミング?」
あそこは相変わらず子猫入居率が高いから、ほぼいつ見ても微笑ましい風景を見られるのは確かだけど。
態々動いている車の中で見る程ではないと思ったけど。
車酔いしたら困るだろうに。
まあ、碧だったら車酔いによる不調も治せるか。
「ペット用見守りカメラを持ってきたじゃない?
あれで後ろの座席が見えるようにさっき場所を調整したの!」
碧がこっちにスマホの画面を向けながら教えてくれた。
いやいや、運転中はちょっとそれを見る自信はないよ。
「寝てるんじゃないの?」
「いや、サービスエリアを出たらちょっとハウスから出てきて、外を見てる」
碧が嬉し気に言った。
家だったら出窓から道を覗き込んで歩いている人やカラスなんかを見る事も多いからね。
源之助にとって、反対車線の車や追い越していく車も動く潜在的獲物なのかな?
サイズ的には獲物と言うよりは脅威な筈だけど、あまり恐れている感じはないんだよね〜。
私は、家で源之助の遊び相手をしているチュー助の視界を共有すればいつでも(ある程度の距離的な制限はあるが)源之助の様子を見れるんだけど、白魔術師な碧にとってはシロちゃんとの関係は私を経由した使い魔契約モドキでイマイチ視界共有がやり難いのか、ペット用見守りカメラを買ってからはそれ経由で出先から源之助を見て喜んでいる事が多かった。
ちなみにチュー助はネズミ霊な私の使い魔1匹で、ネズミ型オモチャを躯体としている。名前に関して突っ込みは受け入れない。
シロちゃんは碧が子供の頃に仲良くしていた近所の白い犬の霊で、犬のぬいぐるみを躯体にしている碧の使い魔モドキだ。
それはさておき。諏訪に1週間単位で行くと言う事で、今回は源之助だけでなく見守りカメラも一緒に諏訪へ移動中なのだが、どうやら後部座席を観察できるように適当にバッグに入れてあったカメラをさっきのサービスエリアで出して固定したらしい。
「そのレンタルWi-Fiの調子はどう?
前回と店が違うけど」
レンタルWi-Fiも色々と細かい条件が違うので、何ヶ所か試してから最終的にどれにするか決めようと、今回は先月と違う店で借りたんだよね。どうだろう?
「特に問題は無いっぽい?
あ」
ゴトっと音がした。
おやぁ?
カメラの固定がしっかりしてなかったかな?
「源之助に頭突きされてカメラが倒れた」
にゃはは。
どうやら外の車に飽きた源之助が、見守りカメラの点滅するライトが気になったようだ。
しっかり固定されていればちょっと興味を持った程度の頭突きは問題じゃないけど、車に適当に固定した程度じゃダメだったらしい。
そんな事を話しながらのんびりと比較的空いている高速を進んでいたのだが。
いつの間にか、後ろにピッタリと張り付くように運転している車が現れた。
「なんか、混んでもいないのに後ろの車が車間距離を変に詰めてくるんだけど。
これって煽られてるのかな?」
さっき運転を交代したサービスエリアを出てすぐには居なかったし、その後誰かの神経を逆撫でするような追い越しとかしたつもりはないんだけど。
「ちょっと近付き過ぎだよね。
右側車線が空いているんだから、詰め寄って走る必要なんてないのに。
とりあえず左側の車線に移って、次のサービスエリアに一旦入ったら?
このまま走って事故なんぞ起こされたら馬鹿らしいし」
碧が言った。
「だね〜。
ああ言う連中って、私が後ろに気を取られて前の車の様子に気付かなくて急ブレーキを踏んでも、ちゃんと避けるか止まるか出来ると思っているのかな?」
まあ、今は右側車線が空いているから右に抜ければ良いだろうけど。右側に車が走っていたら、煽り運転していてブレーキ踏まれたらどうするんだろ?
いや、そんな兆候を見せたらこっちを追い越して前に付けて、私らの進路を邪魔するのかな?
多分私らの場合、交通事故になりそうな場合は白龍さまが守ってくれると思うが。
こっちの車には傷ひとつないのに、あっちのだけ後ろが潰れた場合ってどうなるんだろ?
煽り運転をされた挙句に白龍さまの形に車が凹んでも、私らは関係ない通りすがりとして知らないふりをするよ?




