ストレスを感じている知り合い
「なんか、ポプリ用の香り袋と言うかサシェと言うかを探していたら、アロマワックスの型って言うのを見つけた。
自分で作れるなら、アロマワックスの中に符と聖域の雑草を入れて固めるのもありかも?」
ネットの検索で出て来たページを碧に見せながら相談する。
意外とサシェって大きいのが多くて、手のひらに持って隠すのには向かなそうなんだよねぇ。
「アロマワックスねぇ。
確かに中に符を入れられそうだけど、握ってたら溶けちゃうとか手がベタベタになるとか、大丈夫なの?」
碧が画面を覗き込んで聞いた。
「確かに?
基本的に、胸ポケットにでも入れておく感じかな〜。
でもちょっとずっしりして服のラインが崩れるかも」
中に符を溶かし込めるって良いな〜と思ったけど、溶かして固める手間もあるし、やっぱ微妙かなぁ。
「考えてみたらさ、ポプリ入りのサシェと言うか香り袋と言うかだって、中にエッセンシャルオイルっぽいのを垂らして匂いを強化させているんじゃない?
だとしたら、紋様を内側に描いた符に雑草を挟んで二つ折りにして糊で止めて、上にエッセンシャルオイルを垂らしてポプリと一緒に袋の中に入れれば良くない?
和紙だからそう不自然でもないでしょう?
そうしたらラミネートする必要もないかもだし」
碧が提案した。
「良いね、それ!!
多分ポプリのサシェを長時間握りしめる人はいないと思うけど、1時間ぐらい汗をかいている状態で握っても紋様が流れ落ちたりしないのを確認して大丈夫そうだったら、全然ありだよね!」
薄い目に作れば、胸ポケットに入れておくとか、首から吊るしてシャツやブラウスの中に入れておくのも可能だろうし。
ちょっとお守りっぽく見える模様の袋を見つけられたら、それこそ海外のお守りをお土産で貰ったんだと主張すれば試験会場で持っているのが発覚しても持ち込みを咎められないかもだし。
「そうしたら、まずは恐怖緩和の魔法陣をストレス緩和に修正しなきゃだね」
魔力を込めて魔法陣に集中すれば、欲しい魔法陣や修正した魔法陣を新しく作れるのが魔導師だ。
転生してもその能力は消えなかったので、頑張れば作れるだろう。
碧は魔導師になる鍛錬や教育を受けていないせいか、そこまで意図的に紋様を修正は出来ないようだ。だが、それなりに何か能力が無意識下に働きかけるのか、集中して時間を掛けて試行錯誤したらそれなりにいい感じに符が出来上がることが多いらしいので、血流アップの符もそのうちに出来るだろう。
寒くなる前に上手く出来上がったら私らの諏訪での生活が冬の間も快適になりそう。
まあ、ホットカーペットで床を温めておけばなんとかなると期待したいけど。
あとは……ポプリもどきにするハーブの組み合わせも少し試行錯誤しなきゃだよねぇ。
普通にストレートにラベンダーとかカモミールとかだけを入れておいたら、なんで効果があるんだって言うのが怪しくなりすぎる。
まあ、元々快適生活ラボの商品は効果があるから1万円以上のを毎月買うんだから、普通の代物じゃないのは買っている方も分かってはいるんだろうけどね〜。
◆◆◆◆
「う〜ん、こんな感じで良いかな?」
数日後、出来上がった魔法陣を書き上げて、私はそれを睨んでいた。
「終わったの?
それにしてはなんか難しい顔してるけど」
横から碧が聞いてきた。
「いやぁ、どうやってこれを試そうかと思って。
山登りで疲れるとか、翌日に筋肉痛で辛い思いをするとかも一種のストレスだけど、精神的なストレスじゃないからこれの効果は多分ないと思うんだよねぇ。
恐怖も多少混じったストレスを感じてそうな知り合いで、退魔師の事を知っている人って誰かいるかな?」
青木氏や柳沢氏は私らの職業を知っているけど、どちらも自分の事務所のトップなんだからそこまでストレスを感じてないんじゃないかなぁ。
と言うか、トップが感じるストレスって恐怖ベースな感情からくるストレスとは違うんじゃないかと思うから、この符を使っても上手くストレスを軽減する方向に働かなそうな気がするんだよね。
「翔も受験は終わっちゃったし、あいつは元々そこまで緊張するタイプじゃ無かったしねぇ。
そう言えば、凛の大学の知り合いで妹が呪われてたのを助けてあげた人が居たじゃない?
彼はどうかな?
普通に新入社員として働いているなら、ある程度は仕事でストレス感じているんじゃない?」
碧が指摘した。
確かに?




