背景
西浦が帰ったあと、次の予約までまだ30分ぐらいあったのでお茶を淹れながらあいつのサイトの事とかを碧に説明した。
「正義の味方面して詐欺師や悪徳業者を発見!って感じな動画をアップするヨーチューバーってやつ?
最初は悪徳業者や詐欺師の話を聞いたらそれなりに調べて悪事を暴いていたみたいなんだけど、実際に調べて本当にやっているあいつが暴けるようなみみっちい悪事をアップするよりも、もっと派手な詐欺とかをやっているって誤認させるような編集をして炎上目当てな動画にする方がアクセス数が増えるって気付いてからは、ほぼでっち上げと勢いで適当な動画を創り上げてるみたい」
西浦の記憶から読み取ったところ、最初の頃の真面目にやった動画よりも、疲れてて適当にそれらしく纏め上げた動画の方がアクセス数が伸び、しかもそちらは後から西浦の誤解で冤罪だった事が分かったのだ。
ここで謝って謝罪動画でもアップするならまだしも、『でっち上げの方がアクセス数が伸びる』と理解したあいつはそれ以降はどんどんでっち上げと誤認目的な動画を作るようになっている。
うっかり間違えて悪の道に入ったのではなく、人生の分岐点で、意図して悪い方のルートを選んだクソッタレだね。
今では冤罪だと揉める方がアクセス数が増える事に気付き、最低な事に敢えて冤罪狙いで動画を作っている。
「迷惑〜。
で、なんだって私のところを狙ってきたの?
確かにカリスマ祈祷師なんて怪しい名称だけど、多額の寄付金を踏んだくる訳でも無いのに」
碧が顔を顰めた。
「あいつの叔母が以前ここに慢性胃炎で来た猫のリリちゃんの飼い主らしい。
しかも、いい年してお小遣いを強請りにしょっちゅう家に上がってて、その際にリリちゃんを虐めていたみたいだから、慢性胃炎の原因もあいつなんじゃない?
一応動画でうっかりやらかすように意思誘導しておいたけど、上手くいくかは不明だね〜」
顔を出して写っている訳じゃ無いから、うっかり失敗したところで別のハンドルネームでまた似たような動画チャンネルを始めれば良いんだし。
「う〜ん、色々と嘘っぱちな暴露系動画で迷惑を掛けてるなら、それをうっかり自白するような事があったら元の迷惑を掛けられた被害者に動画のリンクを送って訴えるように唆してみようか。
何件か訴訟が続けば弁護士代で首が回らなくなるかも?」
碧が提案した。
確かにね。
それなりに定期的に収入を得る為に、そこそこ勤勉にでっち上げな暴露動画を公開しているので被害者の数は多い。
それに関して何人が西浦を訴えられるだけのやらかしをアイツがするかは不明だが、ある程度の数にはなると期待しよう。
その後に来たのは便秘が酷く、出る時は血便になると言う患獣で、実は大腸癌だったニャンコ君。
そして今日最後の患獣は糖尿病な犬だった。
猫って一日の殆どを寝て過ごすし、上手におねだりして食料を必要以上にゲットしちゃうせいでデブな子が多いから糖尿病な患獣もそこそこ来るのだが、散歩しなきゃいけない犬は太り過ぎると抱き抱えなきゃいけない飼い主にも体重が増えたのが実感できるせいか、そこまでデブな子は多くはないし、糖尿病の子も猫よりは少ない気がする。戸建て住まいで抱き上げる回数が少ない子だったのかな?
マンションだと毎回共有部では抱っこして移動だから、太り過ぎると飼い主の腕への負担が大きくなるんだよね〜。
だがまあ、碧に掛かればチョチョイのちょい(かどうかは知らないけど30分は掛からない)で治るので、治療先としては断然お得!
獣医だったら週2、3回通って透析して薬も継続的に投与して、毎日血糖値を確認する道具も必要でって事で手間暇と費用が掛かる上にペットにも飼い主にもストレスなのだ。
それが碧は1万円一回払いだけで完治。
獣医にとっては収入源を減らされて良い迷惑かも。
まあ、取り敢えず糖尿病の検査結果が残っているような近所のかかりつけの獣医には数年間は行かないように意思誘導してあるので、碧の活動がバレないと期待しておこう。
さて。
今日の祈祷は終わったので、西浦の活動をチェックだ。




