急だね?!
「なんかさぁ、最近本屋にあるラノベの棚が小さくなってない?
その割に、『書籍化しました、来週発売ですのでよろしく!』みたいな作者のコメントは『なろう』とかカクヨメみたいなサイトでよく見るんだよねぇ」
東京に帰り、一旦部屋に源之助と荷物を下ろした後に車を返し、ついでに駅ビルに入っている大型本屋へ寄った帰りに碧がコメントした。
「確かに!
なんか登録して最新話とか1冊分とかだけ時間をかければ読めるマンガサイトでも、よく見ると意外なほどに小説もそこに出てきてるし」
買ってねアピールをしてなかった本まであって(もしくは買ってねコメントが昔すぎて忘れてるのかも)、気に入ったネット小説の過半数は書籍化している気がする。
「まあ、最近は電子書籍で買う人が多いらしいからね。
部屋も狭くなってきてるし、電車の中とかでもスマホで本やマンガを読む人が多いしで、印刷した本はあまり売れないのかも。
特にラノベなんて、タブレットかスマホで無料サイトの小説を読み慣れている読者がメインターゲットだから、電子書籍との親和性が高いのかな?」
碧が言った。
「言われてみれば、そうだね。しかも、電子書籍だったら想定数だけ売れなくてもあまり損失が大きく無いし。出版社側も電子書籍をプッシュしてるのかもね。
電子版なら出版費が安くなるってことで、ガンガン無料サイトに投稿している小説を書籍化してるとか?」
数を打ちゃあの当たる路線なのかな。
イラストレーターとか校正の人の人件費だってタダじゃあ無いとは思うけど。
どんな本でも、その程度はカバー出来るぐらいは売れるんかね?
「なのかなぁ。
お陰で、気に入った作家がどんどん更新頻度が少なくなって、ある意味かなり迷惑〜」
碧が溜め息を吐きながら言った。
「だよね!!!!
私の気に入っていた作家も最初は毎日アップしていたのに、今じゃあ週に1回更新があれば良い方で。
しかも、本の出版頻度も下がっちゃって、もしかして出版のストレスで小説を書く熱意が消えちゃったのかな?」
まあ、作者によってはガンガン出版しているのに毎日四つぐらい別の小説を更新している人もいるけどね。
あれは凄い。
最近よく見かけるようになった、妙に改行と行間が多くて短い文に体言止めを多用しているいかにも『AIで書きました』って言うような文章じゃないんで、自分で書いていると思うんだけどねぇ。あれだけ毎日文章をアウトプット出来る気力というか構想力というか思い付き力には、感心する。
「まあ、ラノベなんて流行り廃りがあるし、一握りの売れる人はめっちゃ売れてるみたいだけど、そうじゃ無い人は2、3冊で販売停止になる程度しか売れないから、会社を辞める訳にもいかないだろうし。
仕事を終えて帰ってからネット小説を書いたり、出版する原稿を見直したりってかなりハードでやる気が枯渇するのかもね」
碧が諦めたように言った。
「『なろう』やカクヨメはそのまま無料版を読めるけど、アルファシティなんかはネット版を消しちゃうから、ある意味読者としては更新速度が落ちるんだったらネット小説は書籍化されない方が良いぐらいなんだけどね〜」
出版したくて書いている人にそんなことを言ったら、作者への裏切りなのかもだけど。
でもさ、書籍化の話が出てきたせいで、出版と執筆と日常の仕事なり学業なりとの両立が難しくて更新できずに話がエタるんだったら、それはそれで読者への裏切りとも言えない?
そんな事を話しながら家に帰ったら、兄貴からメールが来ていた。
おやま。
「来月兄貴が結婚するんだって〜。
ちょっと諏訪に行く時期の調整が必要になるかも」
「はぁ??
来月って随分と急だね??
式場にキャンセルでもあったの?」
碧が目を丸くして聞いてきた。
そっか、結婚式場ってもっと前から予約するのか。
自分も個人的な知り合いも結婚したことがないから、どのくらい前もって計画するのか具体的な事は知らないんだよね。
「結婚式場は使わずに、本人たちだけで入籍手続きのみやって、親しい人とレストランで披露宴っぽくランチをするだけで済ますんだって」
去年話した時はもっと普通な結婚式も考えているようだったのに。
もしかして妊娠したとか??




