エピローグ
あつしと美奈代は、東京に帰ってきて、二人で聖橋の所まで来た。
この先に、あつしのアパートがあるので、二人で帰る所だった。
あつしが、ふと足を止め物思いにふけるようにたたずんだ。
2年前大学を卒業して、旅行に出た時の事を思い出したからだ。
あの時ここを通ろうとした時、どこからともなく聞こえてきたメロディ、そしてその後、美奈代の事を思い出したことなどだった。
あの時に、リュックの中に入れていたオルゴールは、今、アパートの押入れにしまってあった。
帰ったら二人で聞いてみたいと思ったその時、美奈代が
「何考えてるの」と、聞いてきた。
「私はね、あの夏休みの時の事を思い出してたの」と、にっこり微笑んだ。
あつしはこの微笑だけで十分だと、思った。他に無いも要らない、ただ美奈代がそばに居てくれればそれで幸せだと思った。
そんな二人を、遠くから見ていた男が居た。
その男は雨雄と言い、その雨雄の頭に直接メッセージが入った。
「ぼっちゃん、そろそろ行きましょうか、時間がありません。帰る時間は同じ時間にしないとまずいですよ。これからチャペルの方にも寄るんでしょう」と、言う内容の通信だった。
「判った」と、雨男が返すと、雨男の姿はスッと消えた。
雨男たちは時空を越え、一つのチャペルの上に宇宙船で居た。
センサーでチャペルの中で行われている、あつしと美奈代のの結婚式を、細部にわたって見る為に低空で居たのだった。
その宇宙船は偽装のため周りに霧を発生させていて、あたかも雲のように見せかけていた。
このエピローグは、本作品の流れとは少々異なっています。
それは、私が書いたもう一つの作品『青い蝶』へと繋がっている為です。
作品中にも通常ではありえない事が起こっていますが、それらは『青い蝶』を読んで頂ければ、疑問が解決されると思います。
その為にも、ぜひ『青い蝶』の方も読んで頂ければ幸いです。
尚、『青い蝶』のジャンルはSFになります。