5章 ドイツへ 7節
「そう、じゃあみんなでドイツに行きましょう。なんだか楽しみになってきたわね」と、キャスリンはわくわくしてきていた。
「お前、やけに楽しそうだな」と、トムがキャスリンを見てそう言うと、
「だって、人が幸せになるのを手伝うって、楽しい事じゃない」と、自分が幸せになるかのように、楽しそうにそう言った。
「まあ、そういうお前が好きなんだけどな」と、トムはキャスリンに聞こえない位の小さい声でつぶやいた。
それから三人は、どうすればうまく、みんながドイツに集まるようになるのか、話し合ってみた。
美奈代は、孝一がアメリカに居て、アメリカからドイツまで一緒に行くとは考えにくく、孝一が居ると判れば再び姿を消すかもしれなかった。
そこで、キャスリンと二人だけでドイツに行くように思わせ、ミュンヘンまでは孝一たちとは別行動で行く事にした。
あつしには、孝一がドイツのサッカー観戦しようと、有無を言わせず返事をさせ呼び出す事にした。
桂子には、キャスリンがアメリカから客が一緒にミュンヘンまで来る、とだけ伝えておいて、誰が行くか伝えない事にした。
そして、ミュンヘン駅に着いた時、迎えに来るようにと、国際電話で伝えたのだった。